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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

ヤチダモ再び

2009-02-10 | 研究ノート
・会議のためにつくばへ。相変わらず山手線はとんでもない人である。ホームに溢れている人が電車に吸い込まれるたびに、不思議な気持ちになる。常磐線は逆方向なので割合とゆっくりとSavolinenのLocal adaptation の論文を読む。産地試験の歴史とlocal adaptationの検出の関係も述べられており、自分自身の用語の整理に役に立つ。

・会議終了後、Iさんと6月に開催される形態シンポ関連の打合せなど。発表内容、プレゼンの中身などについて情報を得ることができ、ようやくイメージが湧いてきた。ヤチダモの雪上散布種子も無事に保存されていることが分かったわけだが、これらの今後の方向性に関しても議論する。雪上種子は2005年に拾ったものだが、完全な形状をしている種子だけを対象に、番号をつけて画像解析することになった。改めてデータを眺めると、210のプロットから3500ほどの種子を拾っていて、空間分布も結構面白そうである。

・その後、父性解析を試みたヤチダモの苗畑データについても相談に乗ってもらう。母親の方は比較的反復があるが、父親の方はやむを得ないことだけれど当然のように異様にバランスが悪いデータセットになっている。Iさんからは、母親効果のみのモデルとそれに父親をランダム効果として組み込むモデルを比較して、間接的に父親の効果を検討するというアイデアを頂いた。反復もランダム効果として入れると良さそうだが、果たしてlmerはまともに動くのか・・・。

レアアレル

2009-02-07 | 研究ノート
・金曜日、Uくんと二次林の遺伝構造についてディスカッション。それほど新しい知見はないかと思われていたデータだが、やはり個体数が多いというのは素晴らしい。詳しくみると、面白いことがいくつか明らかになりそうである。さらにシュミレーションを行うことで、いくつか新しい知見が得られそう。

・関連文献、Hawley et al. (2005) Silviculture alters the genetic structure of an eastern hemlock forest in Maine, USA. Can. J. For. Res. 35: 143–150.を読む。非施業林、択伐林、DBHリミット(DBH24cm以上の個体を選択的に伐採)林で遺伝子組成を比較している。択伐林では表現型が劣る個体から伐採されるので、レアアレルがより伐採されている!?

・既存研究では、レアアレル頻度が高い集団は表現型が劣る(成長率が低い)という関係があるらしい(定説??)。さらに、レアアレルを持っている集団(個体?)は現在の環境ではあまり良くないが、将来の環境変動では有用になるかもしれないという論旨になっているのだが、うーむ。

・Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematicsに掲載されたSavolainenらによる局所適応と遺伝子流動に関する総説を読んでいたら、当方のヤチダモ2成分正規分布モデル論文が引用されていてびっくり。やっぱりこういう論文に引用されると嬉しい。それはともかく、この論文は今後のためにも熟読しておく必要がありそうだ。

標高別試験地の論文構想

2009-01-23 | 研究ノート
・今日のゼミでは、Oさんによる富良野のGISデータ基盤の整備の話がインパクトがあった。当方が富良野にいたころには、実用レベルにはまだ時間がかかりそうだったGISだが、施業レベルでの浸透が進み、研究サイト・データとしても使えるデータが相当に充実している。とりあえず、アカエゾマツ各サイトの環境データとしても使えそうなデータが整備されているようで、後日、具体的な相談をできることになった。

・標高別試験地の論文構想についてOさんと1時間ほど打合せ。解析の方法、用いる図表、イントロとディスカッションのロジックなどを整理。議論するうちに、論文としての位置づけもクリアーになり、ようやく書けそうな気がしてきた。もう少しデータを整理して再解析をする必要はあるが、やっぱり議論することは大切である。久しぶりに論文ノートの本領発揮となるか・・・。

地がき論文改造

2009-01-16 | 研究ノート
・地がき論文の考察を考える。イントロを大きく改訂するとなると、考察も当然大幅改訂になるわけだが、こちらは混迷してきた気がする。英語でこのまま進めると訳が分からなくなりそうなので、一度、日本語で書き直す。ううむ。このまま作業をしているとはまりそうなので、一度、Iくんに送って議論してから進めることに。

・油断している間に、査読がいくつも重なってしまった。しかも、一つはかなり重い。しばらくは、どんな審査依頼が来ても、とてもじゃないが断るしかない。今回の査読は出来は悪くないので、勉強にもなるんだけど・・・。

・ヤチダモ種子の散布実験のデータを掘り返してみる。だいぶ忘れていたのだが、ようやく記憶が戻ってきた。種子の重さ、風速、滞空時間、距離などをまとめてみることができるようにデータの形式をそろえる。このころはまだRを使っていなかったので、データセットが分かりにくいといったらない。そろえるだけで結構な時間がかかってしまう。再解析で何か見えてくるだろうか・・・。

トドマツ交雑論文修正稿、投稿

2009-01-13 | 研究ノート
・朝から弥生。生協にて、パソコンの電源アダプターの別売りを購入。ノートパソコンを持ち歩くと、電源アダプターが意外と重い。”これを自宅と職場に置いておけば、とっても楽ちん”、というフレーズに惹かれてしまった。これで少しはかばんが軽くなる・・・はず。

・トドマツ交雑論文の英文校閲が戻ってきたと思ったら、いきなり違う原稿ファイルが添付されている。これはちょっとひどいミスだ、ということでクレームを出すと、即座に平謝りのメールと正しいファイルが返ってきた。おいおい・・・。

・この雑誌に修正原稿を提出するのは初めてだったので、最初は手順が分からずに少々戸惑う。いつものことながら、投稿が完成するまでは気が抜けず、意外なほど時間がかかってしまう。修正コメントも追加できていることを確認し、ついに投稿!うーし、後はいい結果を期待しつつ待つだけである。

抽出マシーン

2009-01-09 | 研究ノート
・Sさんのご協力を得て、ヤチダモ種子の種皮からDNAを抽出を試みる。液体窒素で冷やしつつビーズで粉砕しようと試みるが、ヤチダモ種皮は繊維質かつ硬く、まるで歯が立たない。ということで、久しぶりに乳鉢と乳棒を用いてゴリゴリと・・・。福岡時代を思い出してしまった。液体窒素+乳鉢&乳棒でも、なかなかパウダー状にならず、種皮はなかなか手ごわい。

・すりつぶし後はDNA抽出マシーンにセット。DNA抽出マシーンを初めて利用させてもらったのだが、セット後に放置できるというのは有難い。議後に濃度測定をすると、それなりに取れていたが、PCRにうまくかかるかが問題である。

・Kさんから地がき論文に関するコメントを頂く。一つ一つが的確、かつ、自分では考えることがなかった視点なので、非常に有難かった。この分野の論文を書くのは初めてなので、やっぱり論文の位置づけが不十分であることがよく分かった。自分じゃ見えないもんだよねえ。当方もこういうコメントができるようにならなければいかんのだが・・・なかなか。

競争効果

2009-01-07 | 研究ノート
・アカエゾ論文の修正稿〆切りが迫ってきたので、こちらで修正できる部分の改訂を行う。元の原稿、修正原稿、審査者からのコメントを見比べながら、修正原稿に手を加えつつ、審査者へのコメントを作成する。いきなりパソコンで打つと失敗することが多いので、いったん紙に書き込んで数時間放置。夕方から再び再開し、Tくんに送る。

・標高別試験地の最新データを元に、各樹種の隣のプロットの平均直径、平均樹高、BA合計、個体数などのデータを元データに反映させる作業。地図を見ながらアカエゾの左隣、右隣にいる樹種のデータを手作業でコピー。こればっかりは自動化できないので慎重に作業する。とりあえず、個体数(密度に相当)とBAを隣プロットの競争効果を考慮するために、樹高と胸高直径を説明するモデルに加えてみる。

・例えばエゾマツでは、標高だけで説明するとAICは3824なのに対して、隣のプロットのBAと個体数を入れると3778、BAだけを加えると3791のように改善される。アカエゾでも同様に、隣のBAが大きくなるとDBHが小さくなる。しかし、その他の樹種では意外なほど改善されず、例えば、トドマツでは標高だけモデルのAICが2424なのに、標高+隣のBA+隣の個体数では2428、標高+隣のBAで2426となる。



・思ったよりも隣プロットの影響を受けていないということで、ほっとするやら拍子抜けするやら・・・。個体数の影響はプラスになっていたりして、単に生存率が高いところが大きくなるという変な傾向も拾っているようなので、これは抜くべきだろう。全体的に見ると、やはり競争効果を加えた方がAICの合計値はかなり小さい(エゾマツとアカエゾマツの影響が大きいというのもあるが・・・)。とりあえず、隣プロットのBAを加えた競争効果を考慮したモデルを用いるのが良さそう。



・エゾマツとアカエゾマツでは見かけ上は標高が高くなってもDBHが低下するとは限らず、むしろ730mくらいでピークを示すように見える。しかし、競争効果(隣プロットのBA)を考慮すると、標高が高いほどDBHや樹高が低下することが分かった。樹種によって異なるのは、隣のプロットにどの樹種がくるかという組合せの問題があるからだろう。何はともあれ、完全ではないにせよ、ある程度は隣のプロットの影響を考慮した上で、標高が成長に及ぼす影響を評価できそうである。

個体位置図

2009-01-06 | 研究ノート
・昨日、取得した測量データを元に個体位置図作成を試みる。grade、degreeともに何とか変換方法が分かった。三角関数sinとcosを使ってXY座標にするのだが、最初は逆に使ってしまい、裏返しの位置図を作成してしまった。樹種ごとにプロットするまで間違いに気がつかなかった。危ないところである。ようやくバブル図で個体位置図を作ると、トウカエデやモミジバフウの群落が思い出されてなかなか楽しい。プロットの実感があると、個体位置図は見ていて飽きない。

・論文査読あれこれ。集中して読むと、ようやく頭に入ってくる。コメントする内容を考えながら、少しずつ読み進める。昨晩からトラブル続きだったトドマツ交雑論文の校閲依頼もようやく完了。今回は校閲会社の年末年始の”閉店”にまつわるメンテナンス業務にやられた感がある。全体として遅々として進まないものの、それぞれに何とか前進はしているようである。

・Mくんから標高別試験地の最新データを送ってもらったので、これを元に再解析。なぜかコードが走らないと思ったら、チョウセンカラマツ×カラマツをチョウカラ×カラマツと修正していたせいだった。この簡単なミスが分からずに、しばらくうろうろとしてしまった。しばらくデータに触っていないと、恐ろしいくらい記憶がなくなっているものである。〆切り間近になるとパニックになりそうな危険な香りがするので、とりあえず講演集のたたき台を作成。どこまで面白くできるか、これからが勝負である。

灯り

2008-12-25 | 研究ノート
・10時にYさんを迎えて最終(?)ディスカッション。考察の組み立て方についていくつかアドバイス。長い論文になると、一体自分がどこに立っているのか見えなくなることは当方も経験済みである。ここが一番辛いところだろうが、もがくうちに見えてくるものがある(はず!)。

・午後からCさんが訪ねてきて、まとめ方相談。こちらも迷いの森に入っているところを救出(?)できたのか・・・。長い論文をまとめていく過程では、思い切って捨てる部分も必要である。全体のロジックが大切だということを今更ながら実感。当方にとってはようやく流れがすっきりと分かった気がしている。

・DBHのデータから樹高を推定するにはどうすればよいか・・・。そういえば、Natureに掲載されたNathanのLDDの論文に載っていたと記憶していた。改めてチェックすると、この論文では各樹種について、最低15本の個体の樹高を実測し、残りは推定している。Log(H)とBAの回帰を求めているような・・・。ふうむ、少し調べると、同じような試みをしている人たちもいるようで・・・。

・試験地では、電灯関連の工事が完了(トイレ電灯はちょっとしたハプニングもあったが・・・)。帰り道がずいぶんと明るくて安全になり、いい感じである。家に帰ってからサンタさんからのプレゼント”恐竜ブロック”を一緒につくる。レゴの中でもこいつは難しい・・・。

理論武装

2008-12-22 | 研究ノート
・トドマツ交雑論文の修正方針についてIくんと相談。Minor Revisionという結果は嬉しいのだが、査読コメントについては必ずしも全ては納得できていない。今回は、しっかりと反論する必要もありそうだということで、理論武装するための文献調べなど。遠交弱勢のメカニズムについて、もう少し整理する必要がある。

・ヤチダモ種子の重量測定と形態解析のための写真撮影。結局、スキャナーで取り込んだ画像が満足できずに、もう一度、デジカメで撮影することに・・・。Iさんに手伝ってもらい、重量測定→種子並べ→デジカメ撮影→個別に袋詰め、という一連の作業。Iさんのお陰で何とか時間内に完了。

・午後から弥生。会議終了後、Sさんの修論について相談。木造文化財に必要な天然木材資源を立木の状態で評価しようという研究なのだが、何が方法で何が結果なのかが把握するのに苦労する。Y先生と3人で色々と質問したりコメントしたりしているうちに、ようやく全貌が分かった(当方にとっては、思った以上に面白かった!)。これからの成長が楽しみ(!?)・・・だ。