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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

水辺の鳥から

2009-02-10 | その他あれこれ
・久しぶりに試験地に出勤。連絡調整だけで午前中は終わりとなってしまい、ううむ。ついにスギ花粉が飛び始めたらしい。が、ニュースを見るまでもなく、当方の鼻は敏感に反応しており、自分自身が検出キットになりそうである。既にマスクは装着しているのだが、これから2-3ヶ月は厳しいシーズンである。

・標高別造林試験地のデータ解析再び。標高と標高の2乗の両方を説明変数に入れると、二次関数での最適化ができる。stepAICで調べると、何種かは一次回帰の方が当てはまりがよいものの、ほとんどは二次関数の方がよくフィットしている。多少おかしな樹種もあるが、割合とよく推定できている。

・次に、樹高を測定した30個体のデータを用いて、DBHと樹高の関係式を求める。さらに、その推定式を使って全個体の樹高を推定し、最終的なvolumeを算定するためのコードを書く。相変わらず美しくないコードだが、何とかR上で樹種ごと・サイトごとの合計Volume(D2Hの総計)を計算できるようになった。なるほどこちらの方が、林学的には分かりやすい指標だ。

・GIS管理を行うため、試験地の区分けに3人でくるりと見回る。カラスが集団でカエデ林付近に集まっており、それなりにおどろおどろしい雰囲気をかもし出している。それにしても、せっかく樹林があるので、鳥の種類が分かるとずいぶんと楽しそうである。個人的に、水辺の鳥と山野の鳥という薄いハンドブックを購入したので、まずは初心者向きといわれる水辺の鳥を片手に遊水地辺りを歩いてみよう。

ヤチダモ再び

2009-02-10 | 研究ノート
・会議のためにつくばへ。相変わらず山手線はとんでもない人である。ホームに溢れている人が電車に吸い込まれるたびに、不思議な気持ちになる。常磐線は逆方向なので割合とゆっくりとSavolinenのLocal adaptation の論文を読む。産地試験の歴史とlocal adaptationの検出の関係も述べられており、自分自身の用語の整理に役に立つ。

・会議終了後、Iさんと6月に開催される形態シンポ関連の打合せなど。発表内容、プレゼンの中身などについて情報を得ることができ、ようやくイメージが湧いてきた。ヤチダモの雪上散布種子も無事に保存されていることが分かったわけだが、これらの今後の方向性に関しても議論する。雪上種子は2005年に拾ったものだが、完全な形状をしている種子だけを対象に、番号をつけて画像解析することになった。改めてデータを眺めると、210のプロットから3500ほどの種子を拾っていて、空間分布も結構面白そうである。

・その後、父性解析を試みたヤチダモの苗畑データについても相談に乗ってもらう。母親の方は比較的反復があるが、父親の方はやむを得ないことだけれど当然のように異様にバランスが悪いデータセットになっている。Iさんからは、母親効果のみのモデルとそれに父親をランダム効果として組み込むモデルを比較して、間接的に父親の効果を検討するというアイデアを頂いた。反復もランダム効果として入れると良さそうだが、果たしてlmerはまともに動くのか・・・。

ビギナーズラックは続かない

2009-02-08 | その他あれこれ
・バスケット公式試合の応援に府中まで出掛ける。第一試合はレベルの差がかなりあり、余裕の展開。しかし、1年生だけになると、ボールをゴールまで運ぶのもなかなか思い通りにいかない。次の試合まで時間があったので、JR武蔵野線に乗って東京競馬場へ。駅から競馬場までは、雨が降っても風が吹いても大丈夫なようにフードつきの道が整備されている。

・競馬場はこぎれいな印象。競馬新聞を片手に赤ペンを手にした、いかにも”それらしい”人から、若人・カップルと多様な人々が集っている。天気も良かったのでベンチに座っているだけでも気持ちがいい。ところで、現在の競馬はかなり進化しているようで、買い方が複雑で難しい。係員に丁寧な解説をしてもらってようやく理解。1レースだけ軽く運試しをしてみた。以前、小倉で試したときには見事に当たったのだが、ビギナーズラックは続かないようで・・・。



・失意のもと、試合観戦に戻る。運を使い切らなかったのがよかったのか、第二試合も最初はもたついたものの、最後はスリーポイントが面白いように決まり、終わってみれば圧勝。次の相手はシード校。バスケットは今度が勝負である。

レアアレル

2009-02-07 | 研究ノート
・金曜日、Uくんと二次林の遺伝構造についてディスカッション。それほど新しい知見はないかと思われていたデータだが、やはり個体数が多いというのは素晴らしい。詳しくみると、面白いことがいくつか明らかになりそうである。さらにシュミレーションを行うことで、いくつか新しい知見が得られそう。

・関連文献、Hawley et al. (2005) Silviculture alters the genetic structure of an eastern hemlock forest in Maine, USA. Can. J. For. Res. 35: 143–150.を読む。非施業林、択伐林、DBHリミット(DBH24cm以上の個体を選択的に伐採)林で遺伝子組成を比較している。択伐林では表現型が劣る個体から伐採されるので、レアアレルがより伐採されている!?

・既存研究では、レアアレル頻度が高い集団は表現型が劣る(成長率が低い)という関係があるらしい(定説??)。さらに、レアアレルを持っている集団(個体?)は現在の環境ではあまり良くないが、将来の環境変動では有用になるかもしれないという論旨になっているのだが、うーむ。

・Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematicsに掲載されたSavolainenらによる局所適応と遺伝子流動に関する総説を読んでいたら、当方のヤチダモ2成分正規分布モデル論文が引用されていてびっくり。やっぱりこういう論文に引用されると嬉しい。それはともかく、この論文は今後のためにも熟読しておく必要がありそうだ。

宇宙基地

2009-02-05 | フィールドから
・Kさんとともに、4-5日で十王町の育種センター訪問。8時過ぎに出発して、11時過ぎに到着、片道ほぼ3時間である。じっくり見るのは実は初めてだが、Wさんの案内で施設内、場内を見せていただくことができた。施設内では実験室が整備されていることに驚く。しかも、それぞれがアクティブな状態になっているところがすごい。



・場内を見せてもらう。久しぶりに八女スギ品種”ヤイチ”を見て感動してしまった(この品種に感動する人も少ないだろうけど・・・)。しばらく歩いていくと妙に見晴らしがよいところが・・・。パラボラアンテナをバックにすると、Wさんの言うとおり宇宙基地のようである(むろん、アンテナはセンターとは無関係なわけだが・・・)。

・場内では当然のことだが、様々な目的でスギ、ヒノキ、マツが植栽されている。精英樹の集植所も見ごたえがあった。しかし、植えっぱなしというわけではなく、吟味しながら思い切った更新もされているようで、こうした点でも見習うべきところもありそうだ。

・ところで、今回は材料もさることながら、杭やラベルなど、細かい樹木管理が目についた。ここではピーチコート紙の薄紙A4と厚紙A3を利用しているとのことだが、特に厚紙の方はかなり長持ちしそうである。これをガンタッカーでNoテープ代わりに打てば、全木調査の問題は解消しそうである。

・セミナーでは、二人でそれぞれの話をさせていただいた。当方は、標高に対する適応の話をさせてもらったのだが、色々と重要な指摘も頂いた。しっかし、こちらから発信できる情報の質を高めていく努力を怠らないようにしないといかんなあ・・。とにもかくにも、いくつか重要な打合せもできたし、研究材料も手に入ったし、おかげさまで充実した2日間だった(センターの皆さん、有難うございます)。

つけ麺温度

2009-02-01 | その他あれこれ
・金曜日で修論発表会が終了。全体的に目立ったのはGISとGLM(GLMM)の普及である。ベイズ統計は1件だけだったが、かなり複雑なモデルも取り入れられつつある。発表会では”学会タイマー”なるものが活躍。時間を設定しておくと、口演時間、討議時間、延長時間を大きく表示しつつ、1鈴、2鈴、3鈴のベルを鳴らしてくれる優れもの。マニアックだけど、こういう需要は結構あったのかもしれない。毎年、あちこちでありとあらゆる”学会”発表が行われているわけだもんねえ・・・。

・子どものバスケットの試合観戦。”いいとこなし”だったわけだが、実は観ているときに限って調子が悪いらしく、他の試合では活躍していたらしい。お昼に駅前の中華そば屋に行く。つけ麺が美味いという評判だったわけだが、なるほど、なかなかの味であった。しかし当方にとって、”つけ麺”の温度というものがいつも気になってしまう。せっかく熱い麺が、”つける”ことで微妙な温度になってしまうと思う。食べ物として、これで完成されているのだろうか・・・。

翼の効果

2009-01-29 | その他あれこれ
・形態シンポの要旨作成に向けてのデータ整理。ヤチダモのタネ飛ばし実験では、種子の翼をはさみで切り取って散布するとどうなるか?という、さらにアホな実験もやっている。ちなみに、このデータは全く公表されていない。同じ母樹のヤチダモ種子60粒を半分に分けて、30粒は翼を切り取り、半分は翼をそのままで交互に散布した上で、飛翔時間と飛翔距離を調べている。



・この実験では、翼ありと翼なしの種子を交互に飛ばしているので風速の影響もキャンセルされ、散布順と散布距離のグラフを描くと、見事にジグザグとなっている。むろん、よく飛んでいる方(偶数順)が”翼あり”で、奇数順が”翼なし”というわけだ。平均距離では、翼あり:8.1mに対して、翼なしは 3.6mで有意に”翼あり”が大きい(当たり前だけど・・・)。これだけ翼の効果があるからこそ、”どんな翼にするか”、というのが問題になるというロジックは強引・・・だろうな。

・250文字程度で試験地内の動植物を紹介するというコーナーの記事。最初はシメノウチというカエデ園芸品種について一通り書いてみたのだが、カエデ科の園芸品種そのものについて詳しくないので、どうも自信がない。Tさんからアオキはどうかというアイデアを頂き、Yさんの研究成果を踏まえた記事を書いてみる。かなりマニアックな記事になりそうだが、人によっては興味を持ってくれるかも・・・。もう少し推敲する必要あり・・・だけど。

・2月初めに茨城の十王町の育種センターにお邪魔することになった。その際、ついでにプレゼンをさせてもらえることになったのだが、何を話すべきか・・・。針葉樹の標高に対する適応の話をしようと思うのだが、いくつかの研究成果がバラバラで統合されていない。自分自身でも何がどこまで進んでいるのか整理する必要がある。新しい論文ネタも組み込んで話の流れを作りたいのだが、いやはや時間が・・・。

マスクをするということ

2009-01-28 | フィールドから
・苗畑でスギの雄花を観察。かなり膨らんできたが、まだ指ではじいても花粉は放出されない。花粉が飛び出すのも時間の問題である。既に薬は飲み始めているが、そのうち、マスクをしないといけない時期になってきた。花粉予防には必要不可欠なマスクだが、いつまで経っても好きになれない。



・ポータブル・ハードディスクとミラーリング・ソフトの組合せが、ようやくまともに動くようになった。今までも1ヶ月に1回程度のバックアップは取っていたのだが、これで重要なデータのバックアップができそう。

上野の科学

2009-01-25 | その他あれこれ
・上野の国立科学博物館へ。家族は既にみんな一度ずつ行ったことがあり、当方だけが初めての入場。入場料は大人600円だが、子どもは無料。地球館と日本館に分かれており、地上3階、地下まで驚くほど充実した設備。至るところに剥製があるのだが、その数の多さと展示のきれいさに圧倒される。360度のシアターを観ることを子どもから薦められていたのだが、確かにこのシアターの浮遊感は面白かった。



・マニアックだけど、熱帯の樹高50mの1本の樹木(マメ科)の樹冠から採取した昆虫展示が面白かった。樹冠で殺虫剤を噴霧し、傘を逆さにしたようなトラップを林床に敷き詰めて落下昆虫を採取している。さすがに国立科学博物館はやることがすごいねえ。日本館2Fには、フタバスズキリュウの展示があった。小学生の頃は化石が好きで、フタバスズキリュウの名前は記憶に刻まれていたわけだが、こうして現物を見るとやっぱり感動である。



・上野動物園でみんなの人気者だったパンダ剥製の特別展示もあった。そういえば、子どもの頃、ずいぶん並んでパンダを見た思い出がある。日本館では、稲の品種改良に関する展示もあった。それにしても、国立科学館は一日中遊んでいられる素晴らしいところだ。今回はパスしたフロアもあるので、今度またゆっくり行きたい。

春の気配

2009-01-24 | その他あれこれ
・近くの公園に遊びに行く。ムクドリ(?)が芝生で何かをつついている。この時期、何があるのだろう?今日は雪らしきものが舞っているせいか、人が少ない。くるりと公園を回ると、梅のつぼみがほころんでいる。生き物の活動がほとんどないように思えるのだが、確実に春は近づいている。



・形態シンポに向けて、ヤチダモ散布実験データの再解析。前回はきれいなデータが揃っていた3回の分しか解析しなかったわけだが、色々と実は他にも仕掛けていた。風向風速データを時間別に整理して、Rで解析。飛翔時間と散布距離について、種子の重さ、面積、形の対称成分でどのくらい説明できるかを調べる。



・前回は風のデータがきちんと整理していなかったが、風速データを加えて一般化線形モデルで解析すると、飛翔時間には風の強さは関係なく、散布距離は風が強いほど伸びる傾向がある。嬉しいことに、飛翔時間と散布距離の両方に形成分(尖り)が有意に効いているようだ。ようやく、シンポで使えそうな結果となってきた。

・しかし、かつてのデータセットを再解析しようとすると、Rを使っていなかったころのものはデータがばらばらで、構造を思い出すだけでも大事である。やはり、基本データセットを整備しておくことは重要である。