骨の細胞が作るオステオカルシンというタンパク質を長期間経口摂取することで、全身の代謝が活性化することが明らかになったそうです(財経新聞)。オステオカルシンは、血糖値を低下させるホルモンであるインスリンの分泌を促進することが既に明らかにされているそうですが、長期間摂取した際に全身のエネルギー代謝にどのような影響が出るのかは解明されていなかったそうです。そこで、雌のマウスに週3回のペースで3ヶ月間に渡ってオステオカルシンを飲ませたところ、空腹時の血糖値が低下し、糖の処理能力が改善することが分かったというもの。また、オステオカルシンは小腸で24時間程度留まったり、吸収後は全身の循環血液中に存在したりすることで、全身の糖代謝を活性化することが明らかになったそうです。さらにオステオカルシンの血中濃度を高めるための物質を同定し、併用することが期待されているそうです。
幻と言われていた黄色いアサガオを咲かせることに成功したというニュースが先日報道されていました(財経新聞)。アサガオは、元々は青い花を咲かせるそうですが、これまでの品種改良で赤・桃・紫・茶・白などが開発されてきたそうです。しかし、カロテノイドやオーロンといった黄色の色素を大量に含むアサガオは存在していなかったそうです。今回、黄色い花を咲かせるキンギョソウの色素を合成する「カルコン配糖化酵素遺伝子」と「オーロン合成遺伝子」をアサガオに導入したところ、黄色の色素オーロンがアサガオの花弁中で合成され、黄色いアサガオが開花したというもの。黄色い花はもちろん、これまで存在していなかった多様な色や形をしたアサガオが実現できると期待されているそうです。いろいろな研究がありますね。
顔を逆さに見せると側頭葉の神経細胞は顔であることを認識するが、個体や表情に関する情報量が減少するとう論文が先日発表されたそうです(財経新聞)。顔を逆さにすると見分けにくくなることはよく知られているそうです。例えば上下逆さの顔は目や口に画像操作を加えても気付きにくい現象をサッチャー錯視と呼ばれているそうです。しかし、この時に脳がどのように働いているかという詳細は明らかになっていなかったそうです。今回、ヒト・サルの顔画像や単純図形を使い、正立または逆さの状態で提示した時の側頭葉視覚連合野内の神経細胞の活動を記録。その結果、脳内ではまずヒトかサルか画像かの判別をしその後に個体や表情を処理していること、そして顔を逆さに提示すると個体や表情の情報処理量が減少することが分かったというものです。さらに研究を進めることで生体の顔認識メカニズムの理解が深まり、顔認識システムの開発に貢献することや、顔の認識ができない(相貌失認)疾患や認知症などで個体・表情認知の機能が低下する病態のメカニズム解明にも寄与することが期待されているそうです。
米国航空宇宙局(NASA)は、米国カリフォルニア州の水量減少を明確に示す衛星画像3枚を先日公開したそうです(AFPBB NEWS)。いずれも地球の重力の変化を精密に測定するNASAの衛星「Gravity Recovery and Climate Experiment、GRACE」が捉えたもので、水量が少なくなるにつれ、画像の色は緑からオレンジ、赤へと変化するという画像です。最も大幅に水量が減少したのは、Central Valleyを含むSacramento RiverとSan Joaquin River流域の盆地地帯だそうです。農業のために組み上げる地下水が増えたことが、水量が減った原因の一つとされているそうです。2011~14年にこれら2河川の流域で失われた水量は、年間約15立法キロメートルに上り、これは同州の住民およそ3800万人の年間水使用量を大きく上回っているということです。
人間は肉体的な死を迎えた後も意識を持ち続けている可能性があるとした、重度の心不全に陥った入院患者2000人以上の調査に基づく異色の研究論文が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。今回の研究の目的は、心臓や脳の活動が停止する臨床死から回復した人々が語る「臨死体験」などの現象を調査することだったそうです。研究では、心停止患者2060人のうち、蘇生した330人の中の101人に対して、後に2段階に及ぶ詳細な聞き取り調査を行ったとのこと。データは英国、オーストリア、米国にある15か所の病院の心停止患者2000人以上に関するものとのこと。その結果、39%の患者が、心臓が再始動する前に意識があることを自覚していたが、その間に起きた出来事については明確な記憶がないと答えたそうです。恐怖、暴力などの感覚やデジャブ(既視感)を感じたり、親族、動物、植物などの映像が浮かんできたりしたと答えた患者は全体の46%。一方、体から分離する感覚といった一般的によく知られている臨死体験を報告した患者は9%。また2%の患者は、肉体的に「死んでいた」間に「見た」り「聞いた」りした出来事を明確に思い出せると回答。このように答えた患者のうちの1人は、研究者らが患者の臨死体験の継続時間を測るために3分間隔で鳴らしたブザー音を2回聞いているとも。不思議な研究です。
先日、卵子に精子を人工的に注入する顕微授精による鳥類の孵化に、世界で初めて成功したというニュースが報道されていました(MSN産経ニュース)。顕微授精はヒトの不妊治療などで手法が確立されていますが、卵が大きく受精の様式が異なる鳥類では成功例がなかったそうです。鳥類の受精は、ヒトのように1つの卵子に1つの精子が侵入して成立する「単精受精」ではなく、1つの卵子に数十個の精子が侵入する「多精受精」という様式で行われるそうです。卵自体が大きいこともあり、これまで鳥類の受精過程を体外で再現することは困難だったそうです。研究では卵子に精子を注入する際、1つの精子に精子100個分に相当するタンパク質などの抽出物を注入し、多数の精子が卵子に侵入する状況を再現して、顕微授精によるウズラのひなの孵化に成功したそうです。また、成熟したひなが正常な繁殖能力を持っていることも確認したそうです。この研究を応用すると、卵をたくさん産むニワトリや肉質の良いニワトリといった遺伝的に優れた形質を持つニワトリの作成や、体の組織が冷凍保存されている国産のトキなど、絶滅した鳥類の復活も期待できるということです。
母乳によって脂肪の燃焼機能が活発になる仕組みが明らかになったと発表がありました(YOMIURI ONLINE)。胎児期や乳児期の栄養状態は、何らかの仕組みで記憶され、大人になっても影響を与えることが知られているそうです。例えば、妊婦が過栄養や栄養不足だと、生まれた子どもが成人になってから生活習慣病になりやすいというのですが、その記憶の仕組みはよくわかっていないそうです。研究では、出生直後のマウスの肝臓の遺伝子を解析し、脂肪燃焼に関わる遺伝子は、脂肪が豊富に含まれる母乳を与えてしばらくすると、活発に働くように状態が変化することが分かったというもの。この変化には、脂質と結合して働くPPARαと呼ばれる物質が必要だったそうです。
人間の身長を決める遺伝子変異を697個特定したとの研究論文が、Nature Geneticsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。25万人以上のDNAを比較した結果、遺伝情報の424の領域に位置する単一の変異を697個発見。これは身長の決定に関与すると考えられている遺伝子変異全体の約20%に相当するそうです。これまでの研究で特定されていたのは、全体の12.5%で、残りの変異はまだ発見されていないそうです。身長を決める要因の8割以上は遺伝形質で、残りの2割未満は栄養や他の「環境的」影響によるものということがこれまでの研究で明らかになっているそうです。また従来の研究では、高身長と乳がんおよび前立腺がんのリスク増加、そして高身長と心疾患のリスク減少との間に科学的関連性があることも判明しているそうです。一方で、身長が低いほど寿命が長くなる傾向についてもデータで示されているそうですが、この理由は明らかになっていないとも。
高齢者における嗅覚機能の低下は、以降5年間に死亡する可能性を高い確率で示唆する「前兆」であるという研究論文がPLOS ONEに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。この論文は「全米社会生活健康加齢プロジェクト(National Social Life, Health and Aging Project、NSHAP」の一環として行われた初の在宅調査の結果を基にしたものだそうで、この調査を通じて年齢57~85歳の調査対象者のうち、嗅覚に関する簡単なテストで正確に答えることができなかった人の39%が、その後の5年以内に死亡していたことが判明しているというのです。また、嗅覚機能に軽度の低下が認められた人と健全な状態と判断された人のうち同じ期間内に死亡した人はそれぞれ、19%、10%だったそうです。嗅覚機能の低下は心不全やがん、肺病の診断よりも明確に死期を予測するとされるそうで、これを上回るのは、重度の肝臓障害のみだそうです。嗅覚機能の低下は、直接の死因とはならないものの、体内に何らかの大きな異常が発生したことを表すサインだということです。ただし、嗅覚機能の低下と死亡の明確な関連性は、不明とのことです。
かつて世界で4番目に大きな湖だった「アラル海」が過去14年で縮小を続け、有害な砂をまき散らす広大な砂漠と化しているそうです(CNN)。米国航空宇宙局(NASA)はこのほど、湖の縮小規模を示す画像を公開。アラル海は中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンの国境をまたぐ地域にあり、現在は元の湖の中心だった部分が「南アラル海」と呼ばれているそうです。縮小は今年に入ってピークに達し、南アラル海の東側の部分が完全に干上がったそうです。NASAによると、アラル海には1960年代までアムダリヤ川とシルダリヤ川の2つの川が注ぎ込み、雪解け水や雨水が流れ込んでいたそうです。しかし旧ソ連が60年代、農業用水を確保するため、この2つの川の流れを変え、水を運河に流入させたそうです。この影響でアラル海は縮小を始め、塩分濃度が上昇。肥料や化学物質で汚染された湖底が露呈。この土壌が風に吹かれて周辺の耕作地に広がったため、耕作用にさらに多くの水が必要になったそうです。水位の低下に伴いこの地域の気候も変化。気温の変化を和らげてくれる水がなくなったため、冬は一層寒く、夏は一層暑くなったとNASAは解説しているそうです。