健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

サーカディアンリズムとセロトニン

2012-10-21 08:30:48 | 研究
24時間周期の睡眠・覚醒リズムが、神経伝達物質「セロトニン」の働きによって脳の深部で統合されて生まれていることが突き止められたそうです(医療介護CBニュース)。人や動物、植物は「サーカディアンリズム」と呼ばれる24時間周期のリズムを自律的に持ち、睡眠や覚醒もこのリズムの制御を受けています。以前もこの話題をここで取り上げました。このサーカディアンリズムについては、脳の視交叉上核(SCN)が主時計であることは知られていましたたが、サーカディアンリズムの形成過程についてはほとんど明らかになっていなかったそうです。今回、うつ病とも関連する脳内のセロトニンを除去する物質をラットに投与し、脳の各領域を調べた結果、SCNだけがサーカディアンリズムを保ち、睡眠・覚醒機能を維持していることが分かったというのです。SCNからのサーカデイアンリズムは、セロトニンの作用を受けた前脳基底部・視索前野領域に伝えられ、睡眠・覚醒機能を統合し、24時間周期の睡眠・覚醒リズムを生み出すと結論付けられることに。今後、セロトニンとうつ病、不眠、睡眠リズム障害などの体系的な理解が深まる可能性があり、これらの疾患に対する科学的知見に基づいた治療に貢献すると期待できるそうです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9月の平均気温が過去最高に

2012-10-20 08:30:12 | 研究
気象庁は、今年9月の世界の平均気温(速報値)は平年よりも0.24℃高く、9月の気温としては、統計を開始した1891年からの122年間で過去最高となったと発表したそうです(NATIONAL GEOGRAPHIC)。気象庁は地球の陸域1000~1300地点、海域での緯度・経度1度刻みの観測データを基に、全地表面の月平均気温を算出し、1981~2010年の30年間の平均値と比較したものを速報値として発表しているそうです。これまでの9月の最高値は2005年と09年の+0.22度だったそうです。今年9月の平均気温が高かった地域は、陸域では日本付近のほかシベリア、欧州東部、北米西部、南米南部、海域では太平洋の熱帯域や北西部、インド洋、北大西洋などだったそうです。気温が高かった要因としては、陸域では高気圧に覆われて晴れたことや暖気の流入など、太平洋熱帯域の海面水温が高かったのは、今夏に発生したエルニーニョ現象の影響が考えられるそうです。9月の世界の平均気温は100年あたり0.60度の割合で上昇しており、近年は高温の月が現れやすくなっている。その要因としては、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中濃度の増加に伴う地球温暖化や、十年~数十年ごとに繰り返される自然変動が重なっているものと考えられ、そのために今年9月の世界の平均気温が高くなったとみられるとも。今年9月の日本の平均気温は平年よりも1.92度高く、過去最高値。長期的には、100年あたり+1.15度の割合で上昇しているとも。そうですか。確かに今年は暑かったですね。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゲノムの変異を守る仕組み

2012-10-19 08:30:25 | 研究
ゲノム(全遺伝情報)変異を守る小さなRNA(リボ核酸)が作られる仕組みの一端が明らかになったそうです(日刊工業新聞)。ゲノムは「トランスポゾン」という“動く遺伝子”によって傷つけられるそうですが、通常は30塩基程度の小さなRNAがトランスポゾンの活性を抑え、ゲノムを守っているとされているそうです。これまで、小さなRNAは長い1本のRNAから切り離されて作られると予想されていたそうですが、詳しい仕組みは不明だったそうです。今回、このRNAの産生に関与すると考えられてきた「Zucたんぱく質」の分子構造をX線解析で解明、RNA産生との関連性を証明したものだそうです。がんなどの病気の原因となるゲノム変異のメカニズム解明や、Zucたんぱく質が関与するとされる不妊症の発症機構解明にも貢献するとかんがえられているそうです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

認知症防ぐ遺伝子変異発見

2012-10-18 08:30:28 | 研究
認知症のアルツハイマー病になりにくくなる遺伝子変異が、アイスランド人を対象とした研究で見つかったそうです(47 NEWS)。アイスランドの遺伝子解析企業などのチームが同国の1795人のゲノム(全遺伝情報)と病歴の調査で特定したもの。アルツハイマー病は、脳にアミロイドベータという有害なタンパク質が蓄積するのが特徴で、問題の変異は、アミロイドベータの前身「アミロイドベータ前駆体タンパク質(APP)」をつくる遺伝子の中にあったそうです。APPの特定の場所が酵素で切断されるとアミロイドベータになるそうですが、変異があると酵素がAPPを切断しにくくなるということのようです。実際、チームが試験管内で変異ありの遺伝子を使って実験したところ、できたアミロイドベータの量は通常より40%も少なかったそうです。この遺伝子変異を持つアイスランド人は千人当たり数人というレベルだそうですが、変異があるとアルツハイマー病にならずに85歳を迎える確率が5倍以上になるそうです。またアルツハイマー病ではない80~100歳の高齢者の認知機能を調べた結果でも「変異あり」の人の方が、認知機能の低下の度合いが少なかったとも。APP遺伝子の変異は約30種知られているそうですが、大半は早期発病など病気の悪化に関連するもので、防ぐ方向に働く変異の発見は初めてとのこと。通常の老化に伴う認知機能の低下を防ぐ働きもあるとみられており、同じ効果を薬剤で実現できれば認知症予防に有効だそうです。この研究成果は、あのネイチャーに発表されているそうです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活習慣病と遺伝と環境

2012-10-17 08:30:49 | 研究
生活習慣病は遺伝によるもの?生活環境による?生活習慣病という名前から考えると後者の生活環境の要因が大きそうですね。砂糖入り飲料の消費量の増加は、肥満率の上昇と一致しているように見えますが、これらの飲料摂取の肥満の遺伝的要因との関連性についてはこれまで不明でした。砂糖入り飲料の消費と、遺伝リスクにおいて、どちらが肥満への影響に関連しやすいかを検討した研究結果が発表されたそうです(N Engl J Med)。女性6,934例の看護師健康研究(NHS)、男性4,423例の医療従事者のフォローアップ研究(HPFS)、女性21,740例の女性のゲノム健康研究(WGHS)を分析し、遺伝的素因と体格指数・肥満のリスクとの関係で砂糖入り飲料の摂取量との相関関係を検討したそうです。遺伝的素因は、32ヶ所のBMI関連遺伝子座について検討したそうです。その結果、肥満との遺伝的関連は、砂糖入り飲料の摂取量よりもより顕著であるように思われると。肥満に関しては、飲料を飲むという生活習慣よりも遺伝の方が影響が大きいということになるそうです(Medistar News)。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チョコレートとノーベル賞

2012-10-16 08:30:33 | 研究
チョコレートの消費量が多い国はノーベル賞受賞者を多く輩出していることを示した研究が、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。ココアや緑茶、赤ワイン、そしてある種のフルーツに含まれる抗酸化物質のフラボノイドは、「老化による認知能力の衰えを遅らせたり回復させたりする効果」があるとみられています。チョコレートの摂取により個人だけでなく人口全体の認知機能が改善されるとの仮説に基づき、各メーカーが公表する23か国の1人当たりのチョコレート消費量と、国民1000万人当たりのノーベル賞受賞者数の相関関係を調査したそうです。すると驚くべきことに、これらの間には「密接で顕著な線形相関関係」があることが分かったというのです。チョコレートの原料となるカカオ豆は、古代のアステカ人やマヤ人によって飲料の原料として利用されていたそうです。16世紀にスペインの征服者らが欧州に持ち込み、19世紀のスイスで現在食べられている固形のチョコレートに進化したそうです。チョコレート消費量・ノーベル賞受賞者数ともに最も多かった国は当然ながらスイス。米国、フランス、ドイツは中ほどの順位に付け、最下位グループには中国、日本、ブラジルが入ったそうです。唯一の例外はスウェーデン。国民1人が1年間に消費するチョコレートの量は6.4キログラムで、これを基に割り出したノーベル賞受賞者数は14人ほどだったそうですが、実際には32人もの受賞者を輩出。この理由はノーベル賞委員会(Nobel Committee)の「愛国的バイアス」が影響しているか、あるいはスウェーデン人が他国民と比べてチョコレートに対する「感受性」が特に高く、わずかな量でも認知能力を大幅に増幅させているかのどちらかとも。面白いことを考えますね。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第58回日本宇宙航空環境医学会大会

2012-10-15 08:30:24 | 研究
第58回日本宇宙航空環境医学会大会の開催(2012年11月15日(木)~17日(土))までちょうど一カ月となりました。聴講はどなたでもできます(ただし、大会参加費が必要。当日参加登録費などの詳細は下記の大会HPまで)。大会会場は、愛知県豊橋市の豊橋商工会議所です。一般研究発表を募集しています。詳細は下記の大会HPをご参照ください。皆様の参加をお待ちしております。
http://www2.sozo.ac.jp/~JSASEM58/
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

うつ病患者3.5億人

2012-10-14 08:30:46 | 研究
世界保健機関(WHO)は、うつ病患者が世界に3億5000万人余りいるとの推計を先日発表しました(医療介護CBニュース)。この中で、うつ病は早期に治療するほど効果が高いと指摘したほか、患者の半数以下しか必要な治療を受けていないとして、うつ病などへのネガティブな偏見をなくして治療へのアクセス向上を図るべきだと訴えているそうです。WHOは、うつ病の原因について、経済上の圧迫や失業、災害などの環境的な因子のほか、心血管疾患などの体の健康状態が引き起こす可能性もあると指摘しているとのこと。また、出産した女性の5人に1人が分娩後にうつ病を経験しているとも。世界精神保健デー(毎年10月10日)は、世界精神保健連盟が1992年に始めた行事で、今年で20年。今年のメーンテーマはうつ病で、WHOはこれに先駆け、うつ病や他の精神障害の治療の道を広げるよう呼び掛けたもののようです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天の川銀河

2012-10-13 08:30:14 | 研究
宇宙の話です。国立天文台などの研究チームは2日、私たちが住む銀河(天の川銀河)は、これまでの定説よりも2割ほど重いことがわかったと発表したそうです(YOMIURI ONLINE)。宇宙空間は正体不明の暗黒物質で満ちているとされるそうでが、今回の研究から、天の川銀河には暗黒物質が思ったよりも大量に存在すると考えられるそうです。暗黒物質の謎に迫る成果として注目されるものとのことです。スケールの大きな話ですね。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頭が雄、体が雌のクワガタ

2012-10-12 08:30:08 | 研究
頭部が雄で体が雌という珍しい特徴のノコギリクワガタが6月に茨城県で発見されていたそうです(MSN産経ニュース)。クワガタは体長約5センチ。雄の特徴である角のような大顎を持つ一方で、平らな前脚や丸みを帯びた胴体など、胸部と腹部は雌の特徴を持ち、生殖器も極めて雌に近いそうです。雌雄同体は染色体異常が原因とみられ、一定の割合で生じるが、左右で分かれるケースが多いそうです。発見したのは茨城県立竜ケ崎一高校の2年生。千葉県栄町の体験博物館「県立房総のむら」で6標本の展示が始まったそうです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする