認知症のアルツハイマー病になりにくくなる遺伝子変異が、アイスランド人を対象とした研究で見つかったそうです(47 NEWS)。アイスランドの遺伝子解析企業などのチームが同国の1795人のゲノム(全遺伝情報)と病歴の調査で特定したもの。アルツハイマー病は、脳にアミロイドベータという有害なタンパク質が蓄積するのが特徴で、問題の変異は、アミロイドベータの前身「アミロイドベータ前駆体タンパク質(APP)」をつくる遺伝子の中にあったそうです。APPの特定の場所が酵素で切断されるとアミロイドベータになるそうですが、変異があると酵素がAPPを切断しにくくなるということのようです。実際、チームが試験管内で変異ありの遺伝子を使って実験したところ、できたアミロイドベータの量は通常より40%も少なかったそうです。この遺伝子変異を持つアイスランド人は千人当たり数人というレベルだそうですが、変異があるとアルツハイマー病にならずに85歳を迎える確率が5倍以上になるそうです。またアルツハイマー病ではない80~100歳の高齢者の認知機能を調べた結果でも「変異あり」の人の方が、認知機能の低下の度合いが少なかったとも。APP遺伝子の変異は約30種知られているそうですが、大半は早期発病など病気の悪化に関連するもので、防ぐ方向に働く変異の発見は初めてとのこと。通常の老化に伴う認知機能の低下を防ぐ働きもあるとみられており、同じ効果を薬剤で実現できれば認知症予防に有効だそうです。この研究成果は、あのネイチャーに発表されているそうです。
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