筋生理の実験をする際には、細胞膜を傷つけないように細心の注意を払います。細胞膜に傷がつけば、サンプルとして使用できなくなるからです。細胞の取り扱いはリンゲル液などの人工細胞外液中にて行うのですが、その際にシャーレの底に腱を固定するために、シャーレの底にシリコンゴムを張ります。前任校では実験室の冷蔵庫にシリコンがあったので、それを決められた分量を混ぜ合わせてシャーレに流し込めば、1日後には完成していました。大体、一気に10個ぐらい作ったものでした。こちらでも、以前書いたように張力測定を行うべく準備をしています。ほぼ、完了しているのですが、シリコンが上手くいきません。業者さんに調べてもらったのですが、少し硬すぎて上手く混ざらなかったのです。再度、調査してもらっているのですが...。年明けには実験を始められそうです。
税制改正大綱がまとまったそうです。中身はまだ吟味していませんが、結構耳当たりの良いことがあるようです。この不景気の状況下で、本当に良いのでしょうか。もちろん、動くことは必要と思います。動くことによって見えてくることもあるでしょう。でもその動く方向性はしっかりと吟味して決定することが必要だと思います。なにせ国の行うことですから、1億2千万人の日本人はもちろん、世界経済にも与える影響は少なくないでしょう。もし必要なら、時間をしっかりととって議論してもらいたいものですが、本当に議論し尽くしたのでしょうか。税制は国の収入源に関することですが、大学では学納金が重要になります。学納金すなわち学生の確保ということになります。ですので、大学にとって入試という業務は最も大切な業務であるといって間違いないと思います。一人でも多くの受験生に受験してもらい、少しでも良い学生を獲得したいと、全ての大学が考えていることと思います。皆が同じように求めて努力している中で、どのように大学としての特徴を形成して、アピールしていくか、これがこれからの大学に求められているのではないでしょうか。
大学の研究者にとって教育と研究が義務であると考えます。どちらも要求されます。短期大学や専門学校、高等学校、中学校、小学校などの教員との違いはそこにあると思います。短期大学以外は、基本的に教員ですが、大学や短期大学(高等専門学校も)、教授、准教授、講師(専任講師)、助教などと教員職の呼ばれ方が変わっています。でも短期大学と大学では要求されるレベルが異なると考えています。少なくとも大学の教員には教育以外に研究を行う義務があると思います。もちろん、学内のその他の業務(委員会など)や社会貢献などその他の業務もあります。全てをやらなければならない大変な職業です。ですので、ある程度のステータス?のようなものがあるのではないかと考えています。さて、職業や社会に置かれた状況によって、その義務は人それぞれだと思います。一概に、これが義務ですと定義できないと思います。でも、納税は多くの人に課された義務であると考えています。税金がないと国は施策を打てなくなります。その税金の大枠が今日決まるようです。その一部が昨日発表されましたが、国の運命を握る税金に関しての議論として、そして国民への説明としてあの程度でよいのでしょうか?と疑問を感じました。正解がどこにあるか分かりませんが、なんとなく釈然としません。さらに説明された方が決められた税金を払っていないなどの疑惑もあるようで、説得力にかけるような気がします。国の根幹を決める大切な事柄です。これにより、私達のような末端の研究者(大学教員)の業務などにも大きな影響があるのです。今年の選挙のように、国民が声を上げてそれなりに反映されたかと思いきや、結局は届かないというような状況になってしまうと...。選挙って?という感じにならなければ良いのですが。
研究計画。これは非常に重要です。バックグラウンドをしっかりと押さえ、何が問題とされているのかをきちっと見分けなければなりません。現状分析です。これは、研究以外でも重要なことです。政治の世界でも同じだと思います。暫定税率の維持が事実上決まったようです。この件には、本当に現状分析を行ったうえでの計画だったのでしょうか。研究ならば、多くの場合やり直しがききます。しかし、国策の場合は.....。とはいても、研究でも簡単に間違っていたのでやり直しますというわけにはいきません。やはり周到な準備が必要です。ソユーズは今日、ISSへ向けて飛び立ちましたが、こうした宇宙技術を考えると間違いが許されないことが良く分かります。もちろん、失敗から学ぶこともたくさんあります。でも、やはりしっかりとした計画、これが大切ですね。
冬の山。雪景色を遠くから眺めるときれいです。が、いざ、その雪の中にはいると、そこには死の危険が待っています。「冬山で凍死」などという悲しいニュースが報道されました。ヒトは恒温動物で、体温は環境温に影響されずにほぼ一定に保たれています。しかし、この一定保つという機能は、我々のからだを構成する生きた細胞によって生み出されているので、細胞の働きが悪くなると、体温は変化してしまいます。たとえば、寒冷環境に曝されると、体温を一定に保つために、からだの中で様々なことが起こります。まず、熱をたくさん作るという反応です。熱は高い方から低い方へ移動しますので、寒冷環境下では体の熱、つまり体温は外気に奪われてしまいます。どこまで奪われるかといえば、外気温と体温が等しくなるまでです。ですので、奪われる分だけ、熱をたくさん作らなければなりません。では熱は何から作られるのでしょうか。それは、グルコース(糖)をはじめとする栄養素を燃焼させて作ります。ですので、十分な栄養がなくなると体温を維持できなくなります。もちろん、この熱は熱を目的に作るというより、エネルギーを作る過程で熱という副産物ができるのです。したがいまして、栄養素が少なくなってくると、細胞エネルギー自体が十分作れなくなるので、約60兆個の細胞の集合体であるヒトの体の機能も維持できなくなります。そのため、できだけ体温を外気に奪われないようにして、栄養素を節約する必要があります。その反応は鳥肌や皮膚が青ざめる現象になります。鳥肌が立つというのは、体毛を立たせる立毛筋が収縮することでできたでこぼこです。毛穴に一致した膨らみです。いわゆる小さな力こぶです。皮膚をでこぼこにして、かつ体毛を立たせることで、皮膚表面の風の流れを抑制させるのです。皮膚がつるつるだと、風通しがよくなり体温を奪われやすいということです。この時、筋肉が収縮するので、エネルギーが発生して熱も生まれます。また、皮膚が青ざめます。これは、表皮に近いところの毛細血管に血液が十分に流れていないことが原因です。毛細血管が収縮しているのです。血液はからだの中心を通過します。そして全身を約1分間で一周します。つまり、からだの中心から熱を体の隅々まで運ぶ役割もあるのです。外気温が低い場合、皮膚に近い血管に流す血液量を減少させることで、熱が外気に奪われるのを抑制しているのです。ですので、寒い場合には青ざめるということになります。通常は、手のひらに顕著にsy仏げんしますね。顔が青ざめると、かなり状態が悪い可能性があります。さらに、からだががたがた震えることもありますね。これも寒さ対策の1つです。筋肉を収縮させて熱を作っているのです。ですので、寒い時にはからだがふるえるのです。でもそのうちふるえなくなります。これは、筋収縮には莫大なエネルギーが必要になるのですが、そのエネルギーが不足してくると震えることもできなくなってくるのです。だんだんエネルギーが少なくなってくると体温が徐々に低下し始めます。すると、細胞の働きが低下してきます。もちろん脳の働きも低下します。脳の働きが低下すると眠くなってきます。起きているより寝ている方がエネルギーを節約できるという利点もあります。ただ、逆に考えるとエネルギーを節約するということは副産物である熱産生も少なくなるということです。ですので、寝てしまうと、体温はますます下がってしまいます。すると、細胞の働きが低下し、体温が低下し、という悪循環が進行します。そうしていくうちに、脳の機能が停止してしまうことになります。ですので、できるだけ寝ないようにすることが必要です。また、熱を奪われないように工夫するということも必要になります。登山の際にはチョコレートなどの高カロリーで携帯に便利な食品を非常食として持ち歩くのはそのためでもあるのです。私たちの細胞は活動に最適な温度があります。その温度を保つことも健康を維持する第一歩になります。空調や衣服で体温調節をこまめにするべきと考えます。
脂質異常症。以前は高脂血症と呼ばれていた病態です。この治療薬として一般によく利用されているものに「スタチン」製剤があります。この「スタチン」は肝臓でのコレステロール合成を抑制する薬物です。したがいまして、血液中のコレステロール濃度が下がるという効果をもたらすことになります。脂質異常症の患者は世界的に見ても非常に多く、そのため「スタチン」は世界で最も売られている薬であるそうです。しかし、このスタチンですが、わずかですが副作用が見られる場合があるそうです。1~3%ぐらいの割合で、筋肉痛が見られるというのです。この筋肉痛は、骨格筋細胞の崩壊によるものらしいのです。どうして「スタチン」が骨格筋を壊してしまうのでしょうか。その原因については様々なことが言われいるようですが、その1つに小胞体ストレスという現象がかかわっているということです。小胞体ストレスというのは、細胞内で新しいたんぱく質を合成する時に、上手く正しい正確なたんぱく質が作れないといういわゆる「品質管理」が上手くいかない状態を指します。難しくなりますので、詳細についてはまた別の機会に述べることにしますが、「スタチン」はコレステロール合成を抑制するのですが、その結果最低限し必要なコレステロールの合成にも支障をきたしていいる状態と考えられるそうです。コレステロールといっても、様々な種類があり、それぞれ役割があります。「スタチン」はこうしたコレステロール合成に影響をもたらしますが、たんぱく質の合成にコレステロールの一種が関係しているので、「品質管理」が上手くいかなくなるということです。でも、こうした副作用が出現するのは100人に1人から3人ということですので、多くの患者さんにとっては問題ないとのことです。
筋生理の集い、1年に1回開催されています。歴史は非常に古く、日本の筋肉研究の基礎を築いた研究会です。日本の筋肉研究は世界最高水準にありますが、これもこの研究会あってもののです。世界的な筋肉の研究者が各々の実験データを持ち寄り、時を忘れてディスカッションしたということです。初めて参加したのは20年程前になりますが、以来できる限り参加しています。自分の考えをサポートするような意見をもらえたり、逆に否定するような厳しい意見をもらえたり、ハッとするような意見をもらえたり、非常に刺激になっています。生理学者の中に入ると、自分の考えの浅さを痛感させられます。今回も1つヒントをもらいました。早速、試してみようと思っています。また少し元気をもらえたひと時でした。
子ども手当の所得制限が、年収2000万円で調整されている?ようです。一部の報道では、財務大臣が年収1億円という発言をしたらしいです。いずれにせよ、どういう趣旨で制限値を決めているのでしょうか。そもそも所得制限を行う目的が何か、これを明確にすべきと思います。高額所得者に子ども手当を支給しないことが目的なのか、それとも財源確保が目的なのか。それによって、所得制限額が変わってくると思います。しかし、今回の所得制限に関しては、どちらが目的なのか明確な意思表示がないのではないでしょうか。それともわざと何となく様々な意見を報道させて世論を探る、という巧妙な政治手法なのでしょうか?わざとなら、かなりの曲者ですね。いいかわるいかは別にして。
多くの日本人は、明確なビジョンを求めているのではないでしょうか。もしそのビジョンが正しいものなら、そこへの道筋が多少変わったとしても、許容できるのではないでしょうか。ところが、今の日本には将来ビジョンがない?見えない?はっきりしない?といった状況でしょうか。
社会で子どもを育てるとして選挙を戦い、支持された民主党。ところが、その社会基盤が子どもを育てるような状況になくなってしまいそうな状況です。だとしたら、社会基盤を立て直すことが第一になると思います。ところが、子どもは子ども、社会基盤は社会基盤、外交は外交と、それぞれ独立した政策を目指していると感じます。もちろん、それぞれは必ずしも間違っているとはいえないものもあります。でも、個々には正しくとも、総合すると間違っているという政策もあると思います。そうした視点が欠落しているのか、感じられないのです。おそらく、今後多くの日本人が感じられなくなってくるのではないでしょうか。だとすると、意外と.....。本当にこの先どうなるのでしょうか。不安です。
多くの日本人は、明確なビジョンを求めているのではないでしょうか。もしそのビジョンが正しいものなら、そこへの道筋が多少変わったとしても、許容できるのではないでしょうか。ところが、今の日本には将来ビジョンがない?見えない?はっきりしない?といった状況でしょうか。
社会で子どもを育てるとして選挙を戦い、支持された民主党。ところが、その社会基盤が子どもを育てるような状況になくなってしまいそうな状況です。だとしたら、社会基盤を立て直すことが第一になると思います。ところが、子どもは子ども、社会基盤は社会基盤、外交は外交と、それぞれ独立した政策を目指していると感じます。もちろん、それぞれは必ずしも間違っているとはいえないものもあります。でも、個々には正しくとも、総合すると間違っているという政策もあると思います。そうした視点が欠落しているのか、感じられないのです。おそらく、今後多くの日本人が感じられなくなってくるのではないでしょうか。だとすると、意外と.....。本当にこの先どうなるのでしょうか。不安です。
目標を達成するためには、戦略の立案が必要と考えています。また、戦略の立案には、関連事象の詳細な分析が不可欠であるのはいうまでもありません。これは研究以外のことにも当てはまることだと思います。ではその戦略はどの程度のスパンで考えればよいでしょうか。また、その修正は?というとなるとなかなか難しいものがあると思います。研究であれば、結果が出ればその時点で、分析と必要に応じた戦略の修正が可能であると思います。ですので、とにかく早く結果を出すことが重要なことになるのだと思います。サンプリングだけして温めておいては何もなりません。やはり、こうしたスケジュールも戦略の一部になるということです。でも、研究のようにそう簡単に事象を分析できないことも多々あります。その際のスパンはどのように考えればよいでしょうか。また、その考える単位が組織レベルだったりすれば、そのスパン設定の考え方や取り組み方も変わってくるでしょうか。いずれにせよ、将来を見据えた戦略と戦略を確実に実行していくための組織・体制の確立が両方必要となると思います。
ロスアンゼルスエンジェルスに松井選手が移籍しました。今朝、会見を放送していましたが、何となく縁を感じます。今年のワールドシリーズの優勝決定の瞬間、学会でノースカロライナにいて、TVで見ていました。そして、松井選手がMVPを獲得して、お立ち台に上がって大声援を受けながらインタビューに答えていたのを鮮明に覚えています。その後、来年開催されるExperimental Biology 2010という学会に登録しましたが、この学会が開催される場所がアナハイム。アナハイムというと、ディズニーランドを連想される方が多いのではないでしょうか。ロスアンゼルス国際空港から少し南の車で1時間程度の場所にある温暖な非常にゆったりとした場所というイメージがあります。ロスアンゼルスエンジェルスは、以前のチーム名はアナハイムエンジェルス。数年前にロスアンジェルスエンゼルスに名称が変更されたと記憶しています。エンジェルススタジアムは学会会場の近くにあるようなので、チャンスがあれば訪れてみたいと考えています。