健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

遺伝性聴覚障害の治療

2017-02-20 08:30:57 | 研究
聴覚障害を持つ実験用マウスが良性のウイルスを使った遺伝子治療によって聴力を得られるようになったとする2つの研究論文がNature Biotechnologyに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。世界保健機関(WHO)によれば、遺伝性の聴覚障害のある人は世界で約1億2500万人とされるそうです。まず1つ目の研究では、特定の遺伝性聴覚障害を治すことのできる遺伝子を、良性ウイルスを使ってマウスの内耳まで輸送。それまでの同様の研究では失敗が繰り返されていたそうですが、今回はウイルスを「正しい場所」に届けることに成功し、内耳で音波を調整する働きをする「外有毛細胞」に注入することができたそうです。この技術によって「これまで達成できなかったレベルまで」聴力と平衡感覚を回復させることができ、マウスは人間のささやく声が聞こえるようになったそうです。2つ目の研究では、アッシャー症候群の突然変異遺伝子を持つマウスに対し、同じようにウイルスを使った治療を試みたそうです。アッシャー症候群は主に子どもが発症する遺伝性の希少疾患で、聴覚障害や平衡感覚異常、時に失明まで引き起こすそうです。生まれた直後のアッシャー症候群のマウスに対し、異常がある内耳の有毛細胞に正常型の遺伝子をウイルスを使って輸送したところ、これまでにない大きな成果が得られ、治療したマウス25匹中19匹が80 dBより小さい音が聞こえるようになったというのです。ちなみに、人間の通常の話し声の大きさは約70dBだそうです。遺伝性の聴覚障害者の治療に道を開く可能性があると期待されているそうです。

http://www.afpbb.com/articles/-/3117112
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