健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

薬剤耐性菌のまん延と世界経済危機

2016-09-30 08:30:38 | 研究
すべての既存薬に耐性を持つ強力な細菌「スーパーバグ」のまん延により、2008年の世界金融危機と同レベルかそれを上回る世界的な経済危機が誘発される恐れがあるとする報告書を世界銀行グループ(World Bank Group)が発表したそうです(AFPBB NEWS2)。抗菌薬への耐性は増加傾向にあり、今後、多くの感染症が再び治療不可能となり、生活困窮者が増えて各国は多大な代償を払う事態に陥ると予想されているそうです。この問題に関する最近の調査結果の予測では、2050年までの世界全体の経済的損失は100兆ドル(約1京円)に上るとも。世界銀行グループは2017年から2050年までを予測した最新の報告書を発表し、世界で最も貧しい人々と国々が最も大きな打撃を受ける可能性があると指摘。この報告書によると、スーパーバグのまん延によって、2050年までに極貧状態に陥る恐れがあるのは最大で2800万人。その大半は開発途上国の人々だそうです。報告書は「世界は現在、1日1.9ドル(約190円)で暮らす極貧層を2030年までになくす方向におおむね向かっており、極貧層の人々の割合を3%未満に抑えるという目標に近づきつつある」ものの、「抗菌薬耐性により、この目標は達成不可能となる危険性がある」と指摘。さらに、低所得国は2050年までに国内総生産(GDP)の5%以上を失う恐れがあると述べているそうです。また、世界の輸出量は2050年までに最大3.8%縮小し、家畜の生産は年間2.6~7.5%減少すると予測。一方で世界の医療費は2050年まで1年につき3000億ドルから1兆ドル(約30兆円から約100兆円)程度増える可能性があるとしているそうです。
http://www.afpbb.com/articles/-/3101461
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