エボラ出血熱は致死性が高いが、全ての人が死ぬわけではありません。エボラ熱の重症度には、感染者の遺伝的特徴が関与している可能性があることを示唆するマウス実験結果が、Scienceに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。西アフリカで猛威を振るっているエボラウイルスと同一種のマウス適合型ウイルスをマウスに感染。感染させたマウスの70%が発病し、うち半数余りが肝炎や内出血により死亡。また、感染マウスの約19%は、当初は体重が減少したが、後に2週間で元に戻り、完全に回復。残り11%は、ウイルスに対して部分反応を示し、うち半数足らずが死亡したそうです。この実験結果のばらつきは、今年西アフリカで発生したエボラ熱大流行にみられる傾向とよく似ているというのです。また、病気の進行結果と死亡率には、マウスの特定の遺伝系列に応じた関連性があることが発見できたそうです。死に至ったグループは、病気の重症化につながる血管炎症や細胞死を促進する遺伝子の活性が高く、回復して生き延びたグループは、血管の修復や感染と闘う白血球の生成に関与する遺伝子に高い活性を示す傾向があったそうです。さらに、特殊化した肝細胞がウイルスの増殖を防ぐ助けになっていたかもしれないとも。この研究結果は貴重な情報である一方、論文のデータをそのまま、人間の状況の予測や潜在的な治療法の根拠として用いるのは、現時点では不可能だとも。マウスとは異なり、人間は幅広く異系交配を行い、多種多様な遺伝子の組み合わせを持っているため、人間での遺伝子の影響の評価を難しくしているそうです。
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