健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

イレッサの副作用をセルベックスで抑制できる

2011-10-31 08:30:47 | 研究
肺がん治療薬イレッサが引き起こす副作用の間質性肺炎が、一般に広く使われている胃薬のセルベックスで抑えられる可能性があること発表されました(ASAHI.COM)。イレッサの投与で起こる副作用の間質性肺炎は、肺が繊維化して硬くなり、呼吸ができなくなる病気です。副作用が起こる仕組みを調べたところ、イレッサの投与により、ストレスに対して細胞を守る働きをしているたんぱく質「HSP70」が減ることを発見したそうです。そして、HSP70の減少により、副作用の原因である肺の繊維化が起こることを明らかになったそうです。なぜ、これまで分からなかったのでしょう。HSP70はいろいろな細胞に普遍的の存在している物質で、ストレスに対する抵抗性をもたらすタンパク質です。一方、胃炎や胃潰瘍の治療薬として使われているセルベックスは、HSP70を増やすことがすでに知られています。イレッサを事前に与えたマウスにセルベックスを投与すると、間質性肺炎を抑えることができたそうです。他の疾患にも関係しているような気がします。ちなみに、当研究室でもセルべックスを用いたHSP誘導とその生理作用に関する実験を行っています。もちろん、主なターゲット臓器は骨格筋ですが。
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