健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

脊髄損傷の治療

2010-12-09 08:00:21 | 研究
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って脊髄損傷の治療に大きく一歩前進したというニュースが報道されました。脊髄損傷には根本的な治療法がこれまでありませんでした。そこで、幹細胞、特にiPS細胞を使って損傷した神経細胞の再生を試みる研究が行われています。でも、これまではマウスの脊髄損傷モデルによる実験では成功していたのですが、ヒトなどの霊長類では成功例が報告されていなかったのです。そして、今回の研究では小型霊長類であるマーモセットというサルを対象とした成功であるので、その意味は非常に大きいです。今回は頚髄損傷を対象として実験したそうです。また、使ったiPS細胞はヒトの皮膚細胞から作成し、神経幹細胞(?)にまで分化させた細胞を脊髄に移植したそうです。すると徐々に運動機能が回復し、10数日で後ろ脚で立つことができ、6週間後には歩き回れるまで回復したそうです(YOMIURI ONLINE)。iPS細胞による治療の一番の問題は移植した細胞の腫瘍化ですが、今回の実験では3カ月後でも腫瘍は観察されなかったそうです(毎日jp)。ヒトへの治療に大きく前進ですね。でも、iPS細胞の樹立までには半年以上かかるそうです。すると、脊髄を損傷したから何日後までこの治療が有効かも問題ですね。でも、大きな前進であることは間違いないと思います。
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