発表されたばかりのキャノンEOS 5D Mark Ⅲのスペックや、スペシャルサイト(下写真)をながめていました。
高嶺の花とは思いつつ(ボディだけで最安価格¥322,180)…
スペックを眺めていて感じたことを書いてみます。
5D Mark IIと比べて、画素数は120万画素アップの2230万画素に。
ニコンD800の3630万画素が先に出ただけに、もっとアップすると期待していたファンからは残念の声しきり。でもこれぐらいのアップにとどまったのは、“出し惜しみ”ではなく、それなりの理由があると思います。
◇高感度に力点
キャノンのHPでは「高画素化と高感度を求め、ギャップレスマイクロレンズを採用」と説明されています。
詳しく調べてみると5D Mark IIの撮像素子一つ一つの画素サイズは6.4×6.4μmで、新しい5D Mark Ⅲの画素サイズは6.25×6.25μmと、少し小さくなっています。同じ撮像素子サイズで120万画素増えたのですから、一つ一つの画素サイズが小さくなるのは当然ですね。
でもそのままだと一つの画素が受ける光の情報量が減るので、感度やノイズの面で悪影響が出てくる可能性がある。しかし5D Mark IIより画質が落ちるのは許されない…。
そこで、画素に光を集めるマイクロレンズ同士の隙間をなくし(ギャップレスマイクロレンズ)、集光効率を高めたというわけ。5D Mark IIが出た時も似たような説明をしていますから、技術的には同じ延長線上にあると思われます。
それに加えて「新フォトダイオード構造と、画素部のノイズを低減させる改良型の画素内トランジスタを採用。S/N比を向上し、高ISO感度を実現しました」とのこと。
5D Mark ⅢのISO感度(推奨露光指数)が常用でISO 100~25600までに拡大した理由は、この画素部そのものの改良の方が大きいのではないでしょうか。
このあたりを読んでいると、高画素化と高感度を両立させた、というよりも、どちらかというと高感度のほうに力を入れたスタンスが感じられます。
このほか、連写性能のアップも課題だったために、CMOSセンサーの処理を高速化させています。
◇ニコンD800は高画素化に集中
これに対してニコンがライバル機のD800で目指したのは高画素化。キャノンとはだいぶ方向が違います。
そもそも現行のD700が1287万画素しかなく、解像感でキャノンのEOS 5D Mark IIはもちろん、他社の機種にも差をつけられていた(口コミによれば)という背景があるのでしょう。
「キャノンや他機種をしのぐ高画素・高解像感」に目標を絞って勝負をかけてきたようです。
D700は、解像感よりは、むしろ高感度で優れていたカメラといわれますが、今回のD800は逆に、ISO感度(推奨露光指数)についていえば、D700のISO 200~6400からISO 100~6400と、少し低感度域へ広がっただけ。高感度面であまり変化はなさそうです。
方向が全く違うキャノンとニコン。さて実際に撮ってみた絵はどうなのか、画質について評価が定まるのはまだまだ先のような気がします。(何かNHKのニュース解説風?)