つれづれ写真ノート

   カメラと写真 そして世の中の色々なこと---

明石・魚の棚ぶらり

2018年11月21日 | 旅行

明石市の「魚の棚(うおんたな)」といえば全国の食通に知られた、海産物の豊富な商店街。

たまたま、市内のイベントへ行く機会があって、ぶらり歩きしてきました。

 

魚の棚」。高いアーケードのシャンデリアの灯りは8個、タコが足を広げたよう。

 

名物のタコです。

 

タチウオをさばいて…

 

すぐ天ぷらに。

昼の漁で上がったばかりのトレトレ。これは、美味いに決まってる!

 

あなご天、タコ天もあって、どれも美味しそう。

魚の棚のほぼ中央にある、良く知られた天然マグロのお店「鮪屋 海路(かいろ)」。天ぷらも良く売れていました。

 

タコの煮物の店。

夜店のように、串に刺して、歩きながら食べられるようにして売っている店も。

 

スルメ。結構なお値段。

 

立ち食い寿司の「ほのか」。

魚の棚は、寿司が美味いともっぱらの評判。時間がある時に、一度ゆっくり味わってみたいものです。こういう気軽に入れる寿司店もいくつか。リーズナブルな感じで良いですね。

 

ともあれ、明石に来たからには、「明石焼」を試さなくては。

「あかし多幸」。

 

次々に焼き上げられる「明石焼」。

 

ドーンと15個の明石焼が、赤い台に乗って来ました(600円)。

大阪名物のたこ焼より柔らかく、フンワリ、ポタポタ。出汁(だし)に付けて頂きます。好みでソースや抹茶塩をかけて。

ボリュームがあるので、二人で分け合う女性客も。

 

出汁のおかわりができます。

 

こちらも明石焼の店「よし川」。来店した有名人の写真がいっぱい。

魚の棚では老舗だそうです。

ちなみに、地元では明石焼のことを「玉子焼」とも呼んでいます。

 

「ハセ蒲鉾」。土産に、上天ぷら、しょうが天など4種類を買って帰りました。

プリプリ弾力があって美味しい。魚のミンチを使ったメンチカツ風の天ぷらも面白かったですね。

 

店先にずらりと並ぶ、活きのいい鮮魚。さすが魚の棚。

 

フーテンの寅さんでも出てきそうな映画の宣伝と思いきや、よく見ると隅っこに、『★この作品はフィクションです。「魚の棚」は女性の笑顔あふれる商店街です。』と、お断りが入っていました。

 

 

スーパーでは味わえない、昔からの商店街の雰囲気。

 

鮮魚と地酒の居酒屋。

 

「かるく一杯」の文字が、のんべえには悪魔的。ウ~ 無性に入りたい欲求にかられますが、のめりこむと帰れなくなるのでガマン、ガマン…

 

JR・山陽の明石駅前。2016年12月に開業した新しい複合施設「パピオスあかし」。

ここでイベントがあったので見てきました。

 

「あかし玉子焼ひろめ隊」の隊長(左)とダンスボーカルグループ CHERRSEE(チェルシー) のトークショー。

CHERRSEE は以前、明石で公演した際、明石焼(玉子焼)に大ハマり。「あかし玉子焼PR大使」になったそうです。

 

タコの帽子をかぶったCHERRSEE 。

日本人5人、タイ人1人。タイ人のLENA(レナ、左端)は、物おじしないユニークなキャラで人気。笑顔が素敵なMIYU(ミユ、左から2番目)も、個人的には好き。プロデューサーは韓国の「勇敢な兄弟」。 韓国で練習し、日本でデビュー ・ 活動している異色のグループです。

館内のイベントスペースには開場前からファンが詰めかけており、男性が大部分の中、東京から来たという女性もいました。

 

「あかし玉子焼ひろめ隊」の隊長さんは、背中に大きな明石焼を背負い、アピール度が抜群。2年前、東京で開かれた「B-1グランプリスペシャル」で、明石市が優勝したときも、PRにつとめたそうです。

来年(2019年)11月には、「B-1グランプリ全国大会」が明石市で開かれるので、また活躍しそうですね。

 

このあと、CHERRSEE が歌とダンスを披露(後日、YouTube にアップする予定です )。

 

明石市出身の気象予報士、蓬莱大介さんを招いてのトークショーもありました。

 

パピオスあかし2階のガラス張りイベントスペース。17:15 からクリスマスツリーの点灯式が行われましたが、遅くなるので、早めに切り上げて帰ってきました。

 

JR明石駅のホームから見た明石城。

櫓(やぐら)だけでなく、天守閣があったらもっと観光客がふえるのに~ というのが率直な感想。

 

------------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

  キヤノン EOS 6D Mark II

   EF24-105mm F4L IS USM


クイーン・エリザベス大阪入港

2018年03月22日 | 旅行

有名な豪華客船「クイーン・エリザベス」(Queen Elizabeth  90,901トン、運航会社 キュナード・ライン)が3月15日と22日に、大阪港に入港。

15日に見てきました。

 

3月15日、大阪港に入港したクイーン・エリザベス。

 

三代目となるこのクイーン・エリザベス、大阪に入港するのは2016年に続いて2回目。

 

今年1月に英国サウサンプトンを出航、123日間世界一周の途中、大阪に立ち寄ったもの。

世界一周の一部として、今回初めて大阪発着のクルーズも組まれていました。

大阪発着のクルーズは、大阪発(3月15日)~高知~広島~鹿児島~釜山~大阪着(3月22日)。

 

ちょうど開港150年を迎えた大阪市としては、記念事業の一環として、入港に合わせて「クルーズ・カーニバル」という、盛大なイベントを実施。(大阪市のページ参照)

天保山岸壁の商業施設マーケット・プレイス内で、入港歓迎セレモニーがありました。

 

入港歓迎セレモニーで、大阪天満宮の招福娘からクイーン・エリザベス船長に花束を贈呈。

船長さんは女性なんですね。

さすが女王陛下の英国…

 

大阪市の関係者と一緒に鏡開き。

 

日英のプレゼント交換もあり、なごやかに。

 

新聞社はヘリを飛ばしていました。

こちらも何とか上空から巨大な船体を撮りたい、というわけで、観覧車に乗ってみました。

 

観覧車から見たクイーン・エリザベス。

 

さらに海上からも撮りたい!と、今度は観光船「サンタマリア」に乗船して大阪港をクルーズ。

(我ながら、ようやるなァ…)

天保山岸壁から出る、帆船型の観光船「サンタマリア」。

45分間のクルーズは、夕暮れということもあり詩情たっぷり。久しぶりに潮風に吹かれ爽快でした。

 

これらの映像を、2本の動画にまとめていますので、ご覧ください。

 

<動画チャンネル登録 お願いします>

 

豪華な雰囲気を楽しめる、このクイーン・エリザベスの船旅。

気になるのは料金ですが、富裕層でないとムリと思いきや、一人20万円台からOKとのこと。

クルーズのコース・客室のグレードによるものの、案外手の届きそうな設定ではあります。

とはいっても、夫婦で40万円以上。それなりの余裕がなければ、おいそれとは踏み切れませんけど。

 

(カメラマニアとしては「そんなお金があったら、極上レンズを買いたい!」 というのが本音…)

 -------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

   Canon EOS 6D Mark II

    EF70-300mm f/4-5.6L IS USM

    EF16-35mm f/4L IS USM

--------------------------------------------------------------------------

関連記事

  ・『クイーン・エリザベス、初の大阪発着クルーズに就航』(WEB CRUISE)

  ・『豪華客船クイーン・エリザベス、大阪港入港 世界一周中』(朝日新聞)

  ・『クイーン・エリザベスが大阪港入港 初の発着クルーズ開催』(産経WEST)

  ・『クイーン・エリザベス 船内の様子 』(2014年 クラブツーリズム 動画)

  ・『クイーン・エリザベスのフォーマルナイトディナー・夕食をブリタニア・レストランで』(2015年 Jun Munakata  動画)

  ・『大阪港クルーズ客船 入港情報一覧(平成30年)』(大阪市)


京都小旅行(西本願寺)

2017年06月06日 | 旅行

本山に参拝

5月の末に、京都で個人的な仏事があり、その機会に西本願寺を家族で見物してきました。

家の宗派、浄土真宗本願寺派の本山にあたり、正式には本願寺。京都では東本願寺と区別するため「お西さん」という呼び名で親しまれています。

 

西本願寺の御影堂門。

ちょうど、門主の代替わりに伴う「伝灯奉告法要」が昨年秋から今年5月末まで営まれており、華やいだ雰囲気です。

全国から団体の参拝者が貸し切りバスで詰めかけていました。協賛行事のひとつとして、いつもは見られない書院や飛雲閣の特別公開もありました。

 

御影堂門を入った正面にある御影堂(ごえいどう)。親鸞聖人の木像を安置する巨大な建物で、国宝。

寛永13年(1636)再建。平成11年度から21年度にかけて「平成の大修復」が行われました。大屋根も内部も、とてもきれいです。

 

御影堂の内部。重要な行事はここで行われます。「伝灯奉告法要」のための参拝者用の椅子が堂内を埋め尽くしていました。

 ← クリックで拡大します。

 

金色さん然、最高レベルの荘厳(しょうごん)が施され、中央に親鸞聖人の木像。左右に歴代門主の御影。

 

右手にある阿弥陀堂(本堂)。これも国宝。要するに、いたるところ国宝です。

 

阿弥陀堂の内部。

よく言われることですが、西本願寺では本堂である阿弥陀堂のほうが、親鸞像を安置した御影堂より小さいのです。

 

とはいっても立派な阿弥陀堂。

中央に本尊・阿弥陀如来の木像、左右にインド・中国・日本の念仏の祖師と聖徳太子の影像が安置されています。

 

2 つのお堂にお参りしたあと、書院(国宝)を見学することに。

 

こういう機会でないと見られない書院。しかし撮影禁止!

 

キヤノンEOS 6D とEF16-35mm F4L IS USM でガッチリ撮ろうかとも考えていたこの旅行。

こうした撮影禁止の場所もあり、結果的にコンパクトカメラで済ましたのは正解と言えなくもないですが、残念なことは残念。

203畳敷きの「対面所(鴻の間)」など大広間を高精細、シャープに撮ってみたかったですね…

 

書院の中には面白いところが色々ありました。

「雁の間」では、飛ぶ雁を彫った欄間のすき間から、隣の「菊の間」の壁に描かれた月が見えます。「月に雁」。誰が考えたのか”雅(みやび)”な趣向。

「雀の間」は、竹林の中を飛ぶ雀が68羽描かれたとされているのに実際は66羽。ということで「さては2羽抜け出したか?」と画芸の極致を讃える伝説。

たくさんの巻き物が格子状の天井に描かれた廊下。「書物の大敵・鼠を退治するため猫が1匹だけ描かれています。探してみてください」と案内の人。みんな上を向いて探すこと… 私は見つけられませんでした。

観光客向きの話題ですが、詳しくは西本願寺のページをごらんください。

 

次に、同じく特別公開の「飛雲閣」へ。

「飛雲閣」。

金閣、銀閣とともに京都三名閣の一つ。秀吉が贅を尽くして建てた広大な邸宅「聚楽第(じゅらくだい)」の一部といわれます。

 ← クリックで拡大します。

 

観光客が記念撮影していたので、撮影OKと思い撮影(以前、撮影禁止だったという話も)。

しっとりと情緒のある庭園ですね~

三層からなる楼閣。上から二層目には三十六歌仙の絵。

 

庭園での音声ガイドによると「飛雲閣」はもともと池の中の島に建てられていたそうで、その名残りの、舟をつけるための石段がありました。別名「舟入の間」とも。

部屋の中では、予約によるお茶席の最中でした。

 

豪華な彫り物がある鐘楼。

 

最後に、有名な「唐門(からもん)」を見に行きました。

「唐門」(国宝)。

西本願寺を囲む築地塀の南側、特別な儀式の時しか使用されない門です。

桃山時代の絢爛たる彫刻で埋め尽くされ、あまりに見事なので日の暮れるのを忘れることから「日暮らし門」とも。

日光東照宮の陽明門と同様、濃密な世界です。

 

 ← クリックで拡大します。

 

一番上の方には唐獅子(からじし)、その下には麒麟(きりん)。

一説に、右の麒麟がキリンビールのロゴの元になったと。でも、そもそもキリンビールのロゴをデザインしたのが誰か分からないらしいので、何とも言えませんねェ…

 

扉に描かれた、様々な姿で躍動する動物。彫り師のすぐれた技量をうかがわせます。これも唐獅子?

 

左右には中国の故事をもとにした浮彫が。

古代中国では、俗世間での栄達を拒む高潔な人を良しとする思想があり、それを描いています。

 

唐門右側にある「耳を洗う許由(きょゆ)」。

何で耳洗ってんの?

皇帝・尭(ぎょう)が自分の天下を譲るという申し出を聞いた高潔な許由は、耳が穢(けが)れたといって川の水で耳を洗い、箕山(きざん)に隠れたという逸話。それを表現しています。

 

こちらは左側の巣父(そうほ)。そんな穢れた川の水を牛に飲ませることはできないと、牛を引いて引き返す図。

そろいもそろって、ポリシーのある方々。

いまの日本にはいないんじゃないでしょうか。

 

まあ、自分としても高潔ではない方なので、大きな口をたたけませんが…

 

----------------------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ   ソニーRX100


京の文化財散歩(大覚寺の嵯峨菊)

2015年11月09日 | 旅行

京都の冷泉家公開を見に行ったときの続きです。

 

冷泉家を拝観したあとは、すぐ近くの京都御所(秋の一般公開、10月30日~11月3日)へ行っても良かったのですが、これまで何回も見ているし、地下鉄今出川駅から続く人の波に圧倒され、今回はパス。

地下鉄とJRを乗り継いで、嵯峨野の大覚寺に向かいました。恒例の「嵯峨菊展」(11月1日~30日)が開かれています。

 

JR 嵯峨嵐山駅から大覚寺までは、徒歩約17分。

この距離は微妙ですね~

歩けないこともない、とはいうものの、疲れるのでタクシーを使いました。

 

大覚寺。明智陣屋(正面)へ続く石畳。

 時代劇のロケに良く使われている大覚寺。こんな風景を使ったシーンもあったかも…

 

平安初期、嵯峨天皇の離宮・嵯峨院として建立されたのが大覚寺の前身。お寺になったのは貞観18年(876年)。真言宗大覚寺派の本山です。

明治時代初めごろまで、代々天皇・皇統の人が門跡(住職)を務めた格式高い門跡寺院。いけばな「嵯峨御流(さがごりゅう)」の総司所(家元)としても知られています。

 

さっそく嵯峨菊がお出迎え。

大覚寺ではこの時期、いたるところに嵯峨菊が飾られています。

 

境内の拝観と「嵯峨菊展」へは、式台玄関の横から入るようになっていました。

 

式台玄関(正面、玄関幕があるところ)の前に並ぶ嵯峨菊。

 

たくさんありますね~ 

拝観する前に、ここで花を撮ることにしました。

 

黄色の嵯峨菊「御所の秋」。

 

 
嵯峨菊は、嵯峨天皇の時代に、大沢池の菊ヶ島に自生していた野菊。その後江戸時代にかけて改良、洗練された古典菊です。

江戸菊や肥後菊と並ぶ日本三大名菊の一つとか。

 

花を先端に三輪、中ほどに五輪、下に七輪咲かせるように仕立てるのが王朝風。つまり「七、五、三」。

かぼそい、ほうきや茶筅のような花の姿。人によっては「どこが良いの?」と思うかもしれませんが、ありふれた菊より凛として優雅で、個人的には大好き。大覚寺の「嵯峨菊展」にも12年前に来ています(古い話…)。

 

ここの嵯峨菊は、おもに次の4色の品種でした。

上の写真の「御所の秋」(黄)のほか、「御所の雪」(白)、「御所の綿」(朱)、「御所の春」(ピンク)。

 

「御所の雪」。

 

「御所の綿」。

 

「御所の春」。

 

撮っているうちに、どんよりとしていた曇り空がにわかに晴れてきました。

 

秋空に映える嵯峨菊。

 

撮影後に、キヤノンのRAW現像ソフト「Digital Photo Professional 4」でピクチャースタイルを「風景」にして、青空を強調しています。それにしても、日差しが強くなると、こんなにも写真の色調が変わるんですね~

 

嵯峨御流のいけばなも展示されていました。

 

玄関の横から中に入り、これから建物の拝観です(料金は大人800円・小中高生600円)。

 

大玄関(式台玄関)松の間。

狩野永徳筆の障壁画の前に置かれているのは、ここで院政を行った後宇多法皇使用の御輿。

(説明書きに、「文化財保護の立場から国宝の文化財や重要文化財の仏像、障壁画、装飾画等は収蔵庫に収められております」とあるので、境内の障壁画などには複製が使われている可能性もあります。どれが複製かは確かめませんでしたが、まあ大体、想像はつきます…)

 

宸殿(しんでん)へ向かう途中の中庭。

 

宸殿(しんでん)。

江戸時代、後水尾天皇より下賜された寝殿造りの壮大な建物。

徳川2代将軍秀忠の娘で、同天皇の中宮となった東福門院和子が、女御御殿の宸殿として使用していたものだそうです。

広縁や建物をつなぐ廊下はすべて鴬(うぐいす)張り。

 

宸殿の周りを彩る嵯峨菊。

 

ピンクの嵯峨菊。可憐です。

 

宸殿の前庭で「嵯峨菊展」が開かれていました。

 ← このサムネイルをクリックすると大きな画像になります。

 

4色の嵯峨菊をひとセットにするのが決まりなのか、整然と鉢が並んでいました。

 

 

 

 

 

嵯峨菊を撮るのは一応ここまでにして、あとは順路に従って色々な建物を巡りました。

仏前など一部の場所を除いて、自由に撮影できたのが有難かったですね。

 

まず宸殿の中から。4つの大きな間があります。

 

これは「紅梅の間」(22畳)。見事な襖絵は、狩野山楽の「紅梅図」。

 

 「紅梅図」の部分。

 ← クリックすると大きな画像になります。

 

鶴を描いた「鶴の間」 (12畳)。

 

「牡丹の間」(33畳)。襖絵は狩野山楽の「牡丹図」。これも素晴らしい。

天井の様式からしても格式の高い部屋。

 ← クリックすると大きな画像になります。

 

 「柳松の間」(18畳)。

 

  「柳松の間」の御簾(みす)。

 

寝殿造りの特徴のひとつ、蔀戸(しとみど)。

 

次は正寝殿へ。

 

中庭を隔てた向こうにある正寝殿。こちらは12の部屋を持つ書院造り。

 

回廊を通って行きます。左の方が正寝殿。

縦の柱を雨、直角に折れ曲がっている様子を稲光にたとえ「村雨の廊下」と呼ばれます。床は鴬張り、天井は刀や槍を振り上げられないよう低く造られているとのこと。

 

正寝殿の「竹の間」から、奥の「御冠の間」(上段の間とも)を見渡したところ。「御冠の間」は鎌倉時代、後宇多法皇が院政を執った部屋。

 

手前の「竹の間」を飾る、四季の農作業を描いた襖絵「四季耕作図」(16面)が見もの。複製ですが、それなりにドラマが…

 

狩野山楽が描き、竹の間を飾っていたとされる襖絵で、いつの間にか海外に流出、屏風に仕立てられてアメリカのミネアポリス美術館に所蔵されていました。

これをキヤノンが「綴(つづり)プロジェクト」(文化財の未来継承)のひとつとして取り上げ、ミネアポリス美術館の協力も得て、「四季耕作図」の高精細複製品を制作。2014年に大覚寺へ寄贈。250年ぶりの里帰りということで話題になりました。(キヤノンのニュースリリース参照)

ちなみに、複製にはキヤノンのデジタルカメラ「EOS 5D Mark III 」を使用。多分割撮影したものを1枚の画像に合成、特製の和紙に大判プリンターで印刷したそうです。

大覚寺では、この作業を記録したキヤノンのドキュメンタリー動画も放映していました(キヤノンの動画ページ参照)。

キヤノンのいい宣伝になりますねェ…

 

上の写真から「四季耕作図」をアップにしてみました。これは右側。

 

「四季耕作図」左側。

(光の状態が悪かったので、色の調子がよくありませんがご勘弁を)

 

「竹の間」に掲示されていた読売新聞の紙面。

 

正寝殿「賢人の間」。

 

正寝殿「鷹の間」。

 

正寝殿の東側の廊下からは、腰障子の下にウサギの絵が見えました。

 

元禄時代の渡辺始興筆「野兎の図」。

 

可愛いですね。

 

このあと、霊明殿へ。

廊下の右側に見える霊明殿。

総理大臣を務めた斎藤実が昭和3年(1928年)、東京に建てた日仏寺の本堂を移築したもの。

 

霊明殿から廊下を振り返ると、朱色がまぶしく反射していました。

 

色々な建物が立ち並ぶ境内。中央は法隆寺の夢殿を模した勅封心経殿。

嵯峨天皇ら6天皇の直筆般若心経を収め、60年に一度しか開けられないそうです。

 

右側は、大覚寺の歴史に大きな役割を果たした人々の尊像を安置する御影堂(みえどう)。建物は大正天皇の即位のさい立てられた饗宴殿を移築。

 

勅使門。

 

御霊殿(安井堂)。

京都・東山にあった安井門跡蓮華光院の御影堂を移築した建物で、江戸時代中期の様式。中央には、後水尾天皇の等身大の僧形像が。

 

安井堂天井雲龍図。

内部の装飾が美しいお堂です。

 

格天井(ごうてんじょう)の板に描かれているのは、密教法具や花鳥など。

 

天井のアップ。

一つひとつ見ていくと面白いです。

 

五大堂に来ました。ここが大覚寺の本堂です。

 

五大堂。

不動明王を中心とする五大明王を安置。

 

大沢池に面し、広いぬれ縁(観月台)があります。

 

大沢池の眺望。

 

嵯峨天皇が離宮造営にあたって、唐の洞庭湖を模して造らせた日本最古の人工の林泉。

中秋の名月の夜にはここで「観月の夕べ」が催され、池に張り出した特設舞台(いま小鳥が群れているところ)で満月法会があります。

写真の中央上あたりに月が昇るので、一度撮りたいと思っている場所のひとつ。

 

五大堂のお守り授与所で見かけた嵯峨菊香。

11月限定、1100円。どんな香りがするのでしょうか…

 

                  ◇

 

京の旅の楽しみといえば、食事も大切。

ただ、時間に余裕がなくて、この日は大覚寺門前の「しぐれ茶屋」ですませました。

「しぐれ茶屋」。

 

こういう茶屋で頼むのは大体いつも「にしん蕎麦」。

立ちのぼる湯気に、旅の疲れが癒されます。

 

大覚寺ではこれからの紅葉の時期に、夜間特別拝観「真紅の水鏡」(11月13日~12月6日)という催しもあります。

大沢池にライトアップされた紅葉が映り、写真になりそうですが、

さてどうしましょうか…

 

-------------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

   キヤノン EOS 6D

    EF24-105mm F4L IS USM

   ソニーRX100

--------------------------------------------------------------------------------------

関連記事・サイト

   ・大覚寺ホームページ

   ・『古典菊の魅力 Part 1』(2014年11月10日記事)

   ・『古典菊の魅力 Part 2』(2014年11月12日記事)

   


京の文化財散歩(冷泉家公開)

2015年11月06日 | 旅行

11月3日の文化の日、ぶらっと京都へ行ってきました。

秋の「京都非公開文化財特別公開」(10/30~11/8)の期間中で、普段は見られない冷泉家(れいぜいけ)が公開されていました。

 

冷泉家。周りは同志社大学。

 

京都御所(御苑)の北、今出川通りを隔てたところにある冷泉家は、平安・鎌倉時代の歌人、藤原俊成、定家父子を祖先に持ち、800年も続いている「和歌の家」。どっしりとした塀に囲まれた屋敷は、現存する最古の公家屋敷として重要文化財に指定されています。

伝統と格式を重んじる京都の、ある意味で象徴のような場所ですね。

かなり前、「冷泉布美子が語る 京の雅 冷泉家の年中行事」(聞き書き・南里空海、集英社)という本を読んで以来興味を持ち、いつか訪ねてみたいと思っていました。

 

「冷泉家特別公開」の看板が立てられた表門。

 

公開は他の特別公開文化財と比べて短く、10月31日から11月3日までの4日間だけ。拝観料は大人800円、中高生400円。

あらかじめ分かっていたことですが、内部の撮影は禁止になっていました。

なので門の外から撮るしかありません。

 

表門から見た冷泉邸。このあたりまでが撮れる限界。

玄関を目隠しするための、格子状の「立蔀(たてじとみ)」が見えます。

 

珍しいのは表門の屋根の両側にある亀の瓦。

仁王像のように「阿吽(あうん)」の姿が対になっています。これは向かって右側の、口を開いた「阿」の亀。

 

こちらは口を閉じた「吽」の亀。

 

なぜ亀の像があるかというと、冷泉家が京都御所の北に位置していることから、「四神」のうち北を守る「玄武神」(亀と蛇の姿)を表したものだそうです。

また、屋根の中央の梁にもう一匹、木彫りの亀が北向きに屋敷を見守るように祀られているとのこと(ちょっと見えませんでした)。

この亀については、「冷泉布美子が語る 京の雅 冷泉家の年中行事」で冷泉布美子さんが面白いことを話しています。

京都の大半を焼き尽くした天明の大火(1788年)で、冷泉家の屋敷も御文庫(藤原俊成、定家などの書物を収めた土蔵)だけを残して焼失。2年後に再建の地鎮祭を行っていた時のこと、

『裏の相国寺から来たのでしょうか、一匹の亀がノソノソと現れたのだそうです。それを“繁栄之吉瑞也”と喜び、冷泉家の表門の梁に、木彫の亀が冷泉家を守護するかのように置かれるようになりました。私どもの分家に下冷泉家がございます。下冷泉家に対して、うちは上冷泉家と呼ばれておりますが、それがいつの間にか“亀冷泉”と呼ばれるようになりましたのは、庭のあちこちに亀がノソノソと歩いていたからだそうです。娘たちがまだ小さいこ頃、庭の亀をたいそう怖がって、見ると泣いておりました。』(冷泉布美子さん談)

 

この日の特別公開では、水のせせらぎがある庭も拝見しました。亀は見かけませんでしたが…

 

冷泉邸の見取図と拝観順路(赤い線)。

(冷泉家に失礼とは思いましたが、ネットで見つけた見取図に、拝観順路の赤い線を加えた画像。あくまで記事の参考。公式なものでは全くないので、再掲載・配布なさらないようにお願いします。下絵の見取図は「わくわくドキドキ DOUBLE HEART」さんのブログから引用しました。官公庁などの資料かと推測します。出所は未確認。)

 

台所の土間を内部から、玄関、座敷、御文庫は外から見学、係の人が説明してくれました。

 

<台所土間>

黒ずんだ柱と高い天井の土間に、白く塗られたかまどが2つ。「おくどさん」といって、正月や神事に使われるもの。土間の正面の梁に「しゃぐま」という大きなワラ束が吊り下げられていました。祇園祭の長刀鉾に使われ、祭が終わると冷泉家がもらい受け、魔よけとして飾るならわしだそうです。

普段使う台所は奥の方にあり、かなり広そうでしたが、見られませんでした。

<玄関>

日常の来客や家族が出入りする内玄関と、当主や賓客の出入りに使われる大玄関の2つ。

内玄関の前には目隠しの「立蔀(たてじとみ)」が立てられ、大玄関には、来客が地面に降りることなく駕籠に乗れるように式台(板の間)が設けられています。

<座敷>

庭に面した座敷は、来客の身分の高さの順に「上の間」「中の間」「使者の間」が連なっています(「上の間」は神事にも使用)。

部屋の境に欄間(らんま)がないのは、歌会などの大きな行事のさい、襖を外して全体を一室化するため。襖の模様は黄土色の地に銀色の雲母で型押しした「牡丹唐草」で統一。歌を詠むときに邪魔にならないよう、季節性のある柄は使わないとのこと。

さすが和歌の家。徹底していますね。

 

天皇の勅使などは、玄関ではなく、庭に通じる「塀重門」を通り、座敷縁先の階段から直接「上の間」に上がったそうです。

庭には、(座敷側から見て)左近の梅、右近の橘が植えられています。座敷に、後桜町天皇から拝領の「牡丹図蒔絵文箱」、光格天皇の遺品「菊図象嵌鉄火鉢」などが展示されていました。

<御文庫>

2階建の土蔵。貴重な文書を収めてあり、冷泉家の信仰の対象。

防火を考えて、白い壁の厚さは八寸(24.2センチ)も。木製の屋根は、漆喰の屋根に載せてあるだけで、火災の時、延焼を防ぐために取り外せるとのこと。

最悪の場合に文書を投げ入れる(?)井戸もそばにありました(過去そういう事態はなかったそうですが)。

 

藤原定家自筆の「古今和歌集」「後撰和歌集」「名月記」など国宝5 件をはじめ重文指定の多数の文書、それ以外のものも含めて何万点もの歴史資料がこの御文庫に保存されています。(参考までに、朝日新聞出版が文書を撮影した精巧な複製本「冷泉家時雨亭叢書」を出しています。最終的には100巻!で完結する予定)

いわば日本の伝統文化のタイムカプセル。それを守り続けてきた冷泉家の努力には頭が下がります。

 

それにしても膨大な古文書と広い屋敷… 荘園を持っていた公家の時代ならいざ知らず、現代では個人が維持していくのは相当な困難。このため、昭和56年4月に、将来にわたり恒久的に文化遺産を継承保存する目的で、公益財団法人「冷泉家時雨亭文庫」(理事長は現在、第25代当主・冷泉為人氏)が設立されています。

平成6年から12年末にかけては、屋敷の解体修理も行われました。

 

お土産に買った一筆箋。京の雅(みやび)ですね~

和歌などをさらさらと書ければいいのですけど…

 

かわりに藤原定家の歌をひとつ。

「来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや 藻塩(もしほ)の 身もこがれつつ」(百人一首)

「小倉百人一首」の選者も定家でした。

定家の時代は源平の争乱があったり、後鳥羽上皇が隠岐に流されるなど激動の中。歴史書を読んでいると興味が尽きません。

 

冷泉家見学のあとは、大覚寺の嵯峨菊を見に行きました。

その話は次回に。

 

--------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

   キヤノン EOS 6D

    EF24-105mm F4L IS USM

   ソニーRX100

--------------------------------------------------------------------------------

関連記事・サイト

   ・京都古文化保存協会

   ・『京都非公開文化財特別公開 2015年秋』(朝日新聞デジタル)

   ・『モリサワ文字文化フォーラム 第1回 - 冷泉家の歴史と文化』(2010年)

 


ノスタルジック・ヨコハマ Part 4

2015年03月16日 | 旅行

横浜夜景ふたたび

時間的に前後してしまいますが、横浜に着いた初日、まずパシフィコ横浜の「CP+ 2015」を見て、「ホテルニューグランド」に着いたころにはすっかり夕暮れになっていました。

 

夜の「ホテルニューグランド」本館。

1階の「コーヒーハウス ザ・カフェ」の優しい灯り。

 

フロントは新しいタワー館にあります。ここでチェックイン。

Part 3 まで、クラシックな面ばかり取り上げてきましたが、タワーの方は全く近代的なホテル。超高層の上階には、料金が何十万円もするデラックスなスイートもあります。

 

チェックインを済ませたあと、夜景を撮りに出かけました。

みなとみらいの夜景は以前撮っているので(横浜夜景 2012年2月16日記事)、今回は山下公園周辺で。

 

ホテルニューグランド」のすぐそばにあるハワイアンレストラン「Eggs'n Things」。

 

アメリカっぽいムードが良い感じ。

 

「氷川丸」。

 

ずいぶん昔から係留されている印象があります。ミナト横浜らしい風景。

昼間見るより、しみじみと旅の哀愁が…

 

日本郵船のホームページを見てみると、「氷川丸」は昭和5年(1930年)にシアトル航路用に建造された貨客船。戦時中、政府徴用船や病院船になり、終戦までに3回も触雷しながらも、沈没を免れたラッキーな船です。

昭和35年(1960年)に一線を退き、その翌年、山下公園の海岸に係留・保存されました。

 

横浜マリンタワー

氷川丸が係留されたのと同じ昭和36年(1961年)に建設。観光客の減少で一時営業をやめたこともあるとのこと。でも、横浜港のシンボルとしてよく存続していますね。

 

一度上ってみたかった 横浜マリンタワー 。上から見おろした氷川丸もきれいでした。

 

横浜マリンタワー から、みなとみらい方向を広角レンズで。(Photoshopで画像のひずみを補正しています)

 

こちらは横浜ベイブリッジの方向。

 

さて、次は近くの中華街へ。

エンターテインメントミュージアム「横浜大世界」。

ちょっと入るのをためらう、ド派手さ。

 

「天長門」。きれいですね~

 

「 媽祖」は海の女神。海外に住む中国人にはなくてはならない守護神とか。中華街には「横濱媽祖廟」があります。

 

 関帝廟通りの山下町公園。

ちょうど春節(2月19日~3月5日)が始まる前で、華やかなイルミネーションが点灯されていました。

 

ライトアップされた憩いの場「會芳亭」。

 

中華街のシンボルツリーともいわれるケヤキの大木をバックにした、「四神」のイルミネーション。

 

ホテルでもらった春節のパンフレットに『山下町公園には大きなケヤキの木があります。中華街が繁栄しているのはその木が「ご神木」として中華街を守っていると同時に、街全体に対して活気をもたらす凄まじい「気」を発しているからです。』とありました。

中華街で粘って撮っていた私も「気」のご利益にあずかれたかな…

 

晩ご飯は、関帝廟通りの台湾料理店「秀味園」で。

 

名物「魯肉飯(ルーローハン)」は、豚バラ肉、煮卵、肉のそぼろ、高菜炒めをのせた丼。単品で500円と安いです。ワンタンスープ・杏仁豆腐とのセットを頼みましたが、それでも800円。

なるほど評判通り、トロトロに煮込んだ分厚い豚バラ肉が絶品。ワンタンスープも実に美味しかったです。

ただ、私にはボリューム満点すぎて、ご飯を少し残しました。“ガッツリ”食べたい若い人向きかも…

 

そう広くないけれど、テレビや雑誌で紹介されて人気のお店。

「昭和38年創業のおばちゃんの味」と張り紙のある店内には、愛相のよいお兄さんがいました。

このお兄さんが私のカメラを見て、

「お客さんのカメラ、いいねェ。カッコイイね。」と、ちょっとあやしい日本語で話しかけてきました。

「キヤノンだよ」

「どこから来た?」

「大阪」

話をしている間にもお客の注文が来たり、料理を運んだりと、忙しいこと。

で、また話しにやってきて「大阪は神戸と近いよネ。神戸の中華街はどう? にぎやか?」

「にぎやかだよ」

「横浜とおなじくらい?」

「そうだねェ」

ちょっと残念そうな顔をしたお兄さん。横浜の方がにぎやかだと言ってもらいたかったのかな~

で、「街は横浜の方が大きいよね」とフォローしておきました。

 

確かに広さで言えば、横浜中華街の方がはるかに大きい。「関帝廟」、「横濱媽祖廟」など名所も多い。でも神戸「老祥記」の豚饅頭なんて、本当によだれが出るほどおいしくて、いつも行列が絶えないんですから。

その辺の微妙なところを、うまく説明できなかった…

 

私が持っていた春節のチラシを見たお兄さん、「もうすぐ、春節でにぎやかだョ」。

獅子舞が街をめぐり、山下町公園では舞踊や中国雑技、武術なども行われる春節のイベント。写真になりそう。

あと数日ズレてれば、撮れたのですが…

 

「もういっぺん来るか~?」とお兄さん。

「ハハハ」と笑って、店を出ました。

 

「秀味園」の看板。

 

春節を撮るために、もう一度横浜に来るなんてムリだよな~ とそのときは思っていました。

ところが、来年の「CP+ 2016」は、2月25~28日開催予定と発表されました(CP+ 2015のページ)。

この日程だと、ちょうど春節の期間と重なるのではないでしょうか。

 

来年、「CP+ 2016 と 横浜中華街の春節を撮る旅」なんてアリかも… と思い始めているところです。

 

「ノスタルジック・ヨコハマ」はこれで終わりにします。

--------------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

  キヤノン EOS 6D

  EF16-35mm F4L IS USM

  ソニーRX100


ノスタルジック・ヨコハマ Part 3

2015年03月15日 | 旅行

ホテルニューグランド」の本館1階には、歴史をしのばせるフォトギャラリーがありました。

 

ホテルニューグランド」のフォトギャラリー。

大正15年(1926年)に起工、昭和2年(1927年)に開業したホテルの歴史が、写真や当時の新聞記事などで紹介されています。

 

開業にあたり、パリから招かれたスイス人のサリー・ワイル初代総料理長を紹介するパネル。

 

ア・ラ・カルトメニューや形式にとらわれないグリルというスタイルを導入。日本の西洋料理に大きな影響を与えたそうです。

当時のメニューには「コック長は此のメニュ以外の如何なる料理にても御用命に応じます」との説明付き。

どんな料理でも作れるという自信、なかなか言えることではありませんね。ある日、体調を崩した銀行家から「何か喉に通りのよいものを作ってほしい」と言われ即興で作ったのが「小海老のドリア」。その後「ドリア」なる料理は全国へ広まることに… 同ホテル発祥の料理のひとつです。

 

ワイル氏のもとで修業、2代目の総料理長を務めた入江茂忠氏のパネル。

 

ホテルニューグランド」発祥で、ポピュラーになったもうひとつの料理「スパゲッティ ナポリタン」を考案した入江氏ですが、修業時代は相当苦労したことが書かれています。

ワイル氏から「日本人がフランス料理を極めたいのなら、味噌汁や漬物を食べてはだめだ」といわれ、長年のあいだ味噌汁や漬物を絶っていた… とか。

戦後半世紀にわたって同ホテルの総料理長を務め、テレビの料理解説をしたり、東京オリンピックでは女子選手村で全国から集まったコックを指揮しました(男子選手村は帝国ホテルの村上信夫料理長が担当)。

 

部屋で見た「ホテルニューグランド」のルームサービスメニュー。

ルームサービスといっても種類が多く、充実しているなと思ったら、料理の伝統があるホテルだったんですね。

 

「当ホテルが発祥の料理」として、ちゃんとスパゲッティ ナポリタン、シュリンプ ドリアが載っていました。

 

再びフォトギャラリーのパネル。

終戦とともに、同ホテルは進駐軍に接収されてしまいます。

 

昭和20年(1945年)8月30日、マッカーサーは315号室に、イギリス、フランス、中国など連合軍首脳もそれぞれの部屋に収まり、ホテル全体が第一期の連合軍司令部と化します。

 

接収が解除されたのは昭和27年(1952年)。喜びがあふれる当時の新聞記事が使われています。

 

進駐軍時代に生まれた食べ物も。

甘いものが好きなアメリカ人のために、プリンとアイスクリームや果物をたっぷり舟形のガラス器に持ったデザート「プリン・ア・ラ・モード」。これも同ホテルから全国のカフェに広まったもの。

 

ところで、私が食べたものと言えば…

ホテルの朝食バイキング。(タワー館5階の「ル・ノルマンディ」で)

 

本当はもっと色々なメニューが用意されていたのですが、とかく旅行中の朝食は食べすぎて体調を崩すことが多いので、控えめにしました。

その代わり、コーヒーのおかわりをして、新聞を読みながらゆっくりと。港を一望できる、眺めの良いレストランでくつろぎました。

 

料理自慢でクラシックなこのホテルに来たのなら、本格的なフランス料理、あるいは英国調の重厚なバ―「シ―ガーディアンII」などを経験した方が良かったかな、と後になってちょっと口惜しく思いましたけど…

 

---------------------------------------------------------------------------------------

関連サイト

  ・『ホテルニューグランドの歴史』(同ホテルのPDFファイル)

---------------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

  キヤノン EOS 6D

  EF16-35mm F4L IS USM

  ソニーRX100


ノスタルジック・ヨコハマ Part 2

2015年03月14日 | 旅行

山下公園に面して建つ「ホテルニューグランド」。左が本館、右がタワー館。

 

「グランドホテル」という外国人経営のホテルが関東大震災で倒壊したあと、その後継ホテルとして横浜市と財界が一体となって1927年(昭和2年)に建設したのが「ホテルニューグランド」。

「外国人賓客用」として作られた豪華な内装が今も残り、横浜市歴史的建造物、経済産業省の近代化産業遺産の認定を受けています。

 

ホテルの本館中庭。

気候のいい時期には、テラス席での食事も楽しそうですね。

 

堂々たる本館の大階段。

映画、TVドラマの舞台によく使われています。

 

階段を上がってみました。

 

創業当時から今も残る時計と綴織(つづれおり)の壁張り「天女奏楽之図」。

 

2階ロビー。こういう風景、普通のホテルにはないですね。

昔はここがフロントになっていました。今は披露宴などの宴会場用のフロアで、一般宿泊用のフロントはタワー館に移っています。

 

2階ロビー。

 

重厚な2階ロビーの内装。この奥に広い舞台付きパーティー会場「レインボー ボールルーム」があります。

 

本館客室の廊下(3階)。

 

マッカーサーが執務室に使ったという315号室の隣の隣に泊りました。

部屋キーはオーソドックスなタイプでしたが、独特のセキュリティーがありました(ここでは、あえて言いません)。

 

今回の旅行プラン(トーキョーブックマーク)でついた、ホテルのプレゼントのトマトスープ。

美味しかったですよ。

 

-------------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

  キヤノン EOS 6D

  EF16-35mm F4L IS USM

  ソニーRX100


ノスタルジック・ヨコハマ Part 1

2015年03月11日 | 旅行

年に1回、カメラのお祭り「CP+」を見に、横浜を訪ねてきました。

港の夜景をはじめ、中華街、山手洋館巡りも体験したので(関連記事参照)、さて今年はどこを見ようか… と考えて思い立ったのが、クラシックな「ホテルニューグランド」に泊ってみること。

1927年に開業して以来、ベーブルース、チャップリン、マッカーサー、作家・大佛次郎ら著名人が滞在したホテルで、レトロな雰囲気が魅力。

 

最近愛用している「トーキョーブックマーク」で、比較的安く予約できました。

シングル、朝食付き、新大阪-新横浜往復の新幹線料金込みで34,500円。この料金で、名ホテルに泊れるのですから、かなりお得。しかも、80年以上の歴史を刻む本館の部屋が取れました(このホテルには、ほかに近代的なタワー館もあります)。

 

ホテルニューグランド」のシンボル。ロビーへ続く本館の正面階段。

 

この写真を撮れるだけでも、来た値打ちがあります。

戦後間もないころ、マッカーサーもこの階段を上り下りしたんでしょうね…

 

渋く落ち着いた客室。

 

部屋のキ―。

年齢を重ねると、超近代的なホテルより、こうしたヴィンテージなホテルの方がくつろげます。

 

次回も、このホテルを中心に横浜観光の写真を載せます。

----------------------------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

  キヤノン EOS 6D

  EF16-35mm F4L IS USM

  ソニーRX100

----------------------------------------------------------------------------------

関連記事

 ・6D試し撮り・横浜の西洋館 Part 5(2013年2月11日)

 ・6D試し撮り・横浜の西洋館 Part 4(2013年2月11日)

 ・6D試し撮り・横浜の西洋館 Part 3(2013年2月9日)

 ・6D試し撮り・横浜の西洋館 Part 2(2013年2月9日)

 ・6D試し撮り・横浜の西洋館 Part 1(2013年2月8日)

 ・横浜散歩(2012年2月18日)

 ・横浜夜景(2012年2月16日)


京都・だるま寺

2013年08月30日 | 旅行

先日、京都のだるま寺を訪ねた時の写真です。

だるま寺というのは通称で、正式には法輪寺。JR山陰線円町(えんまち)駅から5分ほど歩いたところにある、禅宗(臨済宗妙心寺派)のお寺。境内にたくさんのだるま像があることで有名です。

ちょうどフヨウが咲き始めていました。

だるま寺の境内。

 

だるまの石像。

 

お寺の人が水まきをしたので水滴がかかっていました。

 

観光客もそれほど多くない、ひっそりしたお寺です。

 

フヨウは朝咲いて夕方にはしぼむ1日花。

現世のはかなさを象徴するかのようです。それでもこの時期、毎日新たな花が咲き、華やかに庭を彩り続けます。

過ぎゆく夏を惜しむかのように…

 

境内の達磨堂。「七転八起」の扁額がかかっています。

人生そうありたいものです。

 

堂内に並ぶ、全国から奉納された約8000体のだるまさん。

「おさいせん」と書かれているのが、何ともユーモラス。

 

いろいろなだるまさん。

 

こちらはおなじみの顔。

「七転八起」できるように、おさいせんをあげて拝みました。

 

本堂の前には美しい庭があります。

 

縁側に置かれた牛の像。

禅宗は牛とかかわりが深く、絵画に描かれています。

 

以前見た絵では、

「牛を探しに山へ入る」「牛を見つける」「牛は消え自分だけが残る」「自分もなくなる(空)」「百花繚乱、花咲く世界」「人々に教えを告げるために山を下りる」

という、禅宗における修行の各段階が描かれていました。

それにしてもきれいな、可愛い牛さんですね。

 

-----------------------------------------------------------------

撮影カメラ・レンズ

   キヤノンEOS 6D

     EF24-105mm f/4L IS USM

 


RX100で撮る神戸・北野

2012年10月02日 | 旅行

先日神戸・北野へ行ったときに撮った、「風見鶏の館」などの写真です。

ハイカラな街・神戸にはソニーRX100が似合うような気がして、すべてこのカメラだけで撮ってみました。

北野の雰囲気が出ているでしょうか…

 

写真はカラーとモノクロが混じっています。

 

北野坂で見つけたフランスのガレット料理の店。

 

明治40年に建てられた異人館。当初は別の場所にあり、米国人やドイツ人が住んでいたそうです。阪神・淡路大震災後、神戸市が移築・修復しました。現在、スターバックスの店が入っています。

 

北野のシンボル、風見鶏の館。かつてドイツ人貿易商ゴットフリート・トーマス氏が立てた邸宅。

以下は館の内部。随所にアールヌーボー様式の装飾が凝らされているそうです。

1階食堂。

 

食卓に並ぶ食器。

 

グラスのなかにはカラフルなガラス玉が。でもあえてモノクロにしてみました。

 

食堂窓辺の燭台。

 

 ピアノが置かれた1階居間。ベランダに出られるようになっています。

 

1階応接間。シャンデリアがアールヌーボー風とのこと。

 

応接間テーブルの飾り。

 

1階階段わきの窓とランプ。

 

トーマス氏の書斎。

 

明るい日が差し込む2階、朝食の間の花飾り。

 

歳月を感じさせる、朝食の間の椅子とテーブル。

 

2階の客用寝室。

 

客用寝室のランプ。

 

2階、子供部屋の人形。トーマス氏には娘さんがいました。

 

広くゆったりとした階段。

 

階段の中ほどから見る1階と2階。

 

2階土産物売り場にあった鮮やかなアートグラス。

 

-------------------------------------------------------------------

撮影カメラ   

  ソニーDSC-RX100

撮影データ

  絞り優先AE

       (屋外)  F5.6  1/125~1/500秒

       (室内)  F1.8~3.5  1/13~1/200秒

  ISO 125~800

  露出補正  -1 ~ +1

  画質 RAW

  ホワイトバランス  オート

  クリエイティブスタイル  スタンダード(画像処理段階で一部モノクロに変更)

  画像処理  Image Data Converterで色調、明るさ、コントラスト調整、D-レンジオプティマイザーをマニュアル調整、ノイズリダクションをマニュアルで強めに実施。

 


箱根・富士屋ホテル

2012年03月06日 | 旅行

NHKのひるブラで、「和洋折衷!歴史香る温泉街~神奈川県箱根町~」を放映していました(3/6)。

NHKのHPによると…「外国人向けリゾートとして発展した和洋折衷の街、箱根・宮ノ下を散策。その象徴・国の登録文化財で明治11年開業のリゾートホテルや、老舗パン屋さんを訪ねる。」という内容です。

紹介されているのが「富士屋ホテル」。明治11(1878)年開業、日本のリゾートホテルの草分け。外観、内装のこった造りが素敵です。行ってみたくなりました。

フリー素材を拝借。女性誌がよく取材に来るようです。絵になりますね。

 
DSC06989 / ume-y

 

 
DSC06971 / ume-y


横浜散歩

2012年02月18日 | 旅行

CP+を見に行った折に、横浜をぶらぶら散歩したときの写真です。

帆船日本丸。「太平洋の白鳥」と呼ばれたそうです。帆をすべて広げる「総帆展帆」は絵になりますが、日が決まっています。

HPによると、今年の実施予定日はつぎの通り。

4月15日(日) 5月6日(日) 5月20日(日) 6月2日(土) 6月24日(日) 7月16日(月・祝)
8月5日(日) 8月26日(日) 9月9日(日) 9月23日(日) 10月14日(日)  11月4(日)

機会をみつけて撮ってみたい。ただ、お天気でないとね…

 

クイーンズスクエアの中。吹き抜けが気持ち良い。

みなとみらい線に乗って中華街へ行ってみました。

中華街の入り口。

朝なのでほとんどの店は閉まっていましたが・・・

ここは営業していました。

「一個90円」にひかれて、さっそく買いました。

おいしいけど小ぶりです。一人3個ぐらい食べられそう。

中華料理店が240軒ぐらいあるといわれる横浜中華街。中華まんの食べ比べも楽しそうですね。

こちらはパンダまんのお店。

中華街の守り神「関帝廟」にやってきました。「三国志」で有名な武将、関羽が主神。贅を尽くした装飾がみごとです。

堂々たる構え。

屋根の龍などの装飾。ガラス細工なんだそうですよ。

でっかいちょうちんですね。

山下町公園に建つあずまや「會芳亭」。春節のちょうちんがはなやか。

どーんとそびえる「横浜大世界」。エンターテイメント施設のようです。

こんど来るときは、本格中華や飲茶のグルメツアーをしてみたい。

-------------------------------------------------------------------

撮影カメラ

 Canon  EOS KissX4   TAMRON  AF 28-300mm 3.5-6.3 XR Di VC LD Aspherical[IF]Macro

 RICOH  CX1

 


横浜夜景

2012年02月16日 | 旅行

パシフィコ横浜の「CP+」を見たついでに、横浜の夜景を写してきました(フォトチャンネルにも入れています)。

夜景のスポットを手短に回る方法はないかと探していたら、横浜市交通局の観光バス「横浜夜景コース」というのを見つけました。

去年の11/25(金)~今年3/24(土)までの冬季限定。金・土・休日前日だけ運行しています。

横浜夜景コースのパンフレット

18:40に横浜駅東口を出発、市内を回って20:20横浜ランドマークタワーで解散。

ランドマークタワー69階スカイガーデンのワンドリンク券付きで1950円。

ランドマークタワーに上るだけでも1000円とられますから、そのことを考えるとお得です。

 

ただ、ゆっくり写真を撮れたのは、大さん橋国際客船ターミナルぐらいでした。ここでは約25分、夜景を見ながら散策できます。他のスポットはほとんどが車窓からの見学です。

 

大さん橋から、みなとみらい地区を撮った写真。壁紙にしました。

みなとみらい

 

←この画像をクリックすると拡大、ワイドモニター用の壁紙画像(1920×1080)になります。

 

氷川丸と横浜マリンタワー。

 

コース途中で見た横浜三塔のライトアップ。

「クイーン」の愛称を持つ横浜税関庁舎。

 

こちらは愛称「キング」、神奈川県庁。

残念ながら残る一つの「ジャック」(横浜市開港記念会館)は撮りそこねました。ドジですね~。

 

赤レンガ倉庫や、横浜ベイブリッジを車窓から見学しながら、大さん橋へ。

 

最後に横浜ランドマークタワーへ。

スカイガーデンからのながめ。空気が澄んで遠くまではっきり見渡せます。

手前は、みなとみらい地区。クイーンズスクエアやパシフィコ横浜、ヨットの形をしたヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテル、大観覧車のあるコスモワールドが見えます。

横浜港の暗がりを隔てた向こうの明かりは鶴見区。その向こうは東京湾です。

これも同じ方向。手前はクイーンズスクエアの高層ビル。

90度右側方向を見たところ。手前に見える光の帯はかつての線路跡「汽車道」。

港にたくさんの埠頭が並んでいます。ミナト ヨコハマらしい風景。

同じ方角の少し右側。中華街・山手方向でしょうか。

金曜日だったので、スカイガーデンの営業は21:00まで(土曜は22:00まで)。

名残を惜しみつつ下に降りて、ホテルに戻るまで、みなとみらい地区を散策しながら撮りました。

クイーンズスクエアのモニュメントのイルミネーション。

 

大観覧車「コスモクロック21」。月明かりと競演。

 

アメリカンレストラン「ハードロックカフェ横浜」。

 

イルミネーション。

イルミネーションに染まる…

舗道のイルミネーション。

ホテルから見た大観覧車。午前0時過ぎまで点灯していました。

-----------------------------------------------------------------

撮影カメラ

  Canon  EOS KissX4   EF-S 17-85mm  4.5-5.6  IS UTM

撮影データ(横浜三塔以外)

  絞り優先AE  F11  0.8~30秒

  ISO感度  200

  マニュアルフォーカス(ライブビューで拡大)

  三脚、レリーズ使用

   画質  RAW

  ホワイトバランス  オート (Digital Photo Professionalで白熱灯に、または色温度変更)

  ピクチャースタイル  スタンダード

  イルミネーションの一部に、パーシャル クロスフィルター使用

 

撮影データ(横浜三塔)

  プログラムAE   F5.0  1/6秒

  ISO感度  1600

  オートフォーカス

  手持ち撮影

  画質  RAW

  ホワイトバランス  オート (Digital Photo Professionalで色温度調整)

  ピクチャースタイル  スタンダード

 

  *露出補正について  

   イルミネーションは +1~+2補正

   他の夜景は -1程度補正して撮影しましたが、あとでDigital Photo Professionalで明るく修正する結果になりました。

   マイナス補正しないと、全体に明るくなりすぎ、夜景らしくなくなると考えたからですが、結局あとで明るく修正するのなら、露出補正なしで撮影してもいいのかもしれません。

  *その他

   夜景写真は、日没後、完全に暗くなる前がいいとされています。空に明るさが残る方が、人工光と合わせて華やかになります。完全に暗くなると、重い、寂しい写真になりがちです。今回はツアーのため時間帯を選べませんでしたが…