富士フイルムの新しいフラッグシップ「X-T2 」(9月発売予定)が、大阪・本町の「富士フイルムフォトサロン 」で先行展示されていたので触ってきました。
2014年2月に発売された「X-T1 」の後継機。一眼レフ風の外観を引き継いでいます。(ニュースリリース 参照)
富士フイルムは、レンジファインダーカメラ風のX-Pro シリーズと、一眼レフカメラ風のX-T シリーズを“ダブルフラッグシップ”としているそうで、今回の「X-T2 」は最新の機能が詰め込まれた、相当に力の入ったモデルになっています。
なかでも、動体撮影に強くなったのと、4K 動画に対応したのが目玉。
FUJIFILM X-T2 。
縦位置パワーブースターグリップ付きで展示されていました。こうしてみると、ミラーレスとしてはゴツイ印象…
たまたまパンケーキレンズ「XF 27mm F2.8 」が付いていました。キットレンズというわけではなく、お客さんの要望で付けたものでしょう。
レンズを「XF 16-55mm F2.8 R LM WR 」に替えてみました。
明るく高画質の標準ズーム。カッコいいですね。
大きいレンズなので、パワーブースターグリップを付けてちょうどバランスが良くなるかも。
「X-T2」の背面。
◆BOOST モードでカメラ性能アップ!
カメラ下部に付ける、オプションのパワーブースターグリップにはバッテリー2個を収容。左側にNOMAL / BOOST モード切り替えレバーがあります。
NOMAL モードだと、たとえば連写が8コマ/秒(メカニカルシャッター時)で、「X-T1 」と同じですが、BOOST モードにすると11コマ/秒にパワーアップ。 同じAPS-C サイズで動体撮影に適したニコン「D500 」やキヤノン「EOS 7D Mark II 」(いずれも連写10コマ/秒)を上回ります。
D500 や7D Mark II 以上!? ホンマかいな、と思うほどの連写性能…
この高速連写にはどうしてもバッテリーが2 個必要だったとのこと。
BOOST モードでは、連写だけでなく、AF速度、撮影間隔、レリーズタイムラグ、電子ビューファインダー(EVF)のフレームレートなどカメラの全体性能もアップするそうです。
レリーズタイムラグが短いと素早く撮影できますし、ファインダーのフレームレートがアップすると、ミラーレス特有のカクカクした動きがなくなり滑らかな表示になるので、「動きもの」中心に撮影する人にとっては、このパワーブースターグリップが必須のアイテムになるかも。
では、パワーブースターグリップがないとどうなの? という質問も出そうですね。実はパワーブースターグリップを付けなくても、メニューからBOOST モードを選ぶのは可能。連写枚数こそ伸びませんが、フレームレートのアップで滑らかな表示は体験でき、AF速度向上も期待できるそうです。ただし、BOOST モードではバッテリーの減りが早いとのこと。
この辺り、ややこしいので、富士フイルムのページ にある一覧表を引用(左右縮小)してみました。
BOOST モードでの性能向上 (パワーブースターグリップを付けるとすべての項目が向上)
実際に、パワーブースターグリップなしでBOOST モードを試してみました。NOMAL/BOOST モードの切り替えを背面ボタンに割り当てておけば簡単にモードの切り替えが出来ます。
BOOST にすると、カメラを横に振った時やズームしたときのファインダーの滑らかさが格段にアップ。NOMALより、絶対BOOST モードの方が気持ちいいです。
フレームレート100fps はすごいですね。これだけでも値打ちがあると思います。バッテリーの減りが早いとしても、予備バッテリーをいくつか持っておけば済むことですから。
パワーブースターグリップを外したところ。
左上は「X-T1 」(グラファイトシルバーエディション)。
◆パワーブースターグリップ付きで連写、連写
今度は、パワーブースターグリップ付きでBOOST モードの連写を試してみました。
11コマ/秒。おお速い!
ミラーレスなので当然ですが、連写の振動が強くなく、音も「シャ、シャ、シャ… 」という感じ。
いい感触ですね~
ただ、これだけの高速連写になると、転送速度の速いSDカードを使わないと、画像転送待ちが発生して、せっかくの連写能力を生かしきれないように思います(展示機はそれほど速いカードを入れていないということで、しばし待ちが発生)。
「X-T2」は「X-T1」と同じように、高速転送のUHS-II SDカードが使えます(しかも今回ダブルスロットになりました)。連写を多用する人は、高速カードも欲しいところ。
ますますお金がかかりますね。
富士フイルムでは、「X-T2」を予約して購入した人にUHS-II SDHCカード(16GB)をプレゼントするキャンペーン をやっています。
◆AFはスムーズ
AF が進化したのも「X-T2」の特長。
遠景から近景へカメラを振ってAFを試してみました。全般的にスムーズで速い印象。
「X-Pro2 」で好評だった、背面のジョイスティック形式の「フォーカスレバー」を搭載。直感的に使いやすいです。
「AF-Cカスタム設定」も面白そう。今回は、動く被写体がなかったので何とも言えませんが、16日から7都市で開催される「X-T2体験イベント」で試す機会があるかも… (デジカメWatch 参照)
それにしても、ニコン、キヤノンが得意とした、スポーツ、野鳥、飛行機をダダダダ…と追って連写するようなジャンルに、富士Xシリーズが食い込んでくるとは思いませんでした。
「もう、撮れないものはない」と富士フイルム。
◆便利な3方向チルト液晶モニタ
液晶モニタは3方向チルト式。上下のほか、右横へ開くことが出来ます。
横へ開けるのは縦位置撮影の時、とても助かります。
低い位置から縦位置で狙う場合、液晶モニタがこのように開かないと、思い切り低くかがむか腹ばいになるしかなく、とてもしんどい。
この前、EOS 6D でカタクリの花を撮りに行って、ホトホト参りました。
バリアングルのモニタでも出来る、といえばそうなのですが、バリアングルはモニタがレンズの光軸から離れるのが欠点。それを解決し、どの角度に傾けても光軸からずれないようにしたのが、PENTAX のフルサイズ一眼レフ「K-1 」に搭載された フレキシブルチルト式液晶モニター でした。(ペンタックス「K-1」の魅力(CP+2016 & 体感イベント) 記事参照)
そのPENTAX と同じ仕組みなのか、くわしく見てみました。
液晶モニタを横に開く仕組み。モニタ左端にあるギザギザのついたレバーを上へ押し上げると、モニタがパネルから外れ、横に開けます。
モニタをパチンとパネルに戻すと、今度は上下にチルトできるようになります。
上下にチルトしているところ。横位置撮影でおなじみのスタイルです。
PENTAX 「K-1 」の液晶モニターは、4本の金属棒(ステー)でモニタを支える(浮かす)複雑な構造でした。一方、富士「X-T2」の3方向チルトは、簡便な方式といえます。
◆ボディーはやや大ぶりに
「X-T1 」(グラファイトシルバーエディション)(左)と 「X-T2」(右)の大きさ比較。
寸法的に正確な写真ではありませんが、「X-T2」が大ぶりになったのが分かると思います。
ボディーの横幅が3.5mm 広がり、ISOダイヤル(写真上方)も大きくなっています。
重さは507g で「X-T1 」より67g の増(バッテリー、カード含む)。
まあ、これぐらいの増加なら、個人的には許容範囲かな、と思います。
その他、「X-T2」と「X-T1 」の主なスペックを比較してみました(自分が関心のある項目だけ)。
FUJIFILM X-T2
FUJIFILM X-T1
カラー
ブラック
ブラック/グラファイトシルバー
有効画素数
2,430万画素
1,630万画素
撮像素子
X-Trans CMOS IIIセンサー
X-Trans CMOS IIセンサー
撮影感度
ISO 200~12800
ISO 200~6400
液晶モニタ
3.0型 3方向チルト式 約104万ドット
3.0型 チルト式 約104万ドット
記録メディア
SDカード UHS-Ⅱ対応 ダブルスロット
SDカード UHS-II対応 シングルスロット
連写
約8.0コマ/秒 パワーブースターグリップ装着時は約11コマ/秒
約8.0コマ/秒
4K動画
4K 3840×2160 29.97p/25p/24p/23.98p 連続最大 約10分まで
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シャッタースピード
4秒~1/8000秒(メカニカルシャッター)
4秒~1/4000秒(メカニカルシャッター)
フィルムシミュレーションモード
15モード
11モード
ビューファインダー
0.5型有機ELファインダー 約236万ドット
0.5型 有機ELファインダー 約236万ドット
寸法
幅132.5mm×高さ91.8mm×奥行き49.2mm(最薄部35.4mm)
幅129.0mm×高さ89.8mm×奥行き46.7mm(最薄部 33.4mm)
重さ
約507g(付属バッテリー、メモリーカード含む) 約457g(本体のみ)
約440g(付属バッテリー、メモリーカード含む) 約390g(本体のみ)
起動時間
約0.3秒
約0.5秒
画素数、高感度性能、シャッタースピード、レスポンスもアップ。充実のフラッグシップというところでしょうか。
ちなみに、「X-T2」にシルバーは用意されていませんが、『数日前にオーストラリアのショップのページにあった、X-T2 のシルバーが消えている。』という記事が、噂サイトのFuji RUMORS に出ていました。ひょっとして、後日にシルバーモデルが登場する伏線かもしれません。
◆4K 動画に期待
まだ撮ったことのない4K 動画について、あれこれいうことは差し控えますが、「X-T2」の4K、かなり期待できるかも。
「4K記録は連続最大約10分まで」という仕様が、本格的な映像製作にはどうか… という気もしますが、「X-T2 スペシャルコンテンツ 」にある、サンプルムービーはどれも美しい。
とくに、このモノクロ作品がフランス映画を思わせて、個人的に好みです。
VIDEO
これを撮影したと思われる映像制作者が「(X-T2は)モアレがない。シャープで、GH4(パナソニック)よりもっと映画的だ。」と言っています(Fuji RUMORS )
上のモノクロ作品撮影のメイキング映像も見つけました(Vimeo より)。
X-T2 を手に入れたら、こんな映像が簡単に撮れそうに思えたりしますが…
でも、モデルから始まってアシスタント、機材など製作に必要なものが相当ありそうですね。
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関連記事・サイト
・「X-T2 スペシャルコンテンツ 」(富士フイルムのページ)
・「X-T2 新製品体験イベント 」(富士フイルムのページ)
・『富士フイルム、動体追従性を高めたミラーレスカメラ「FUJIFILM X-T2」』( デジカメWatch)