ニコンの新しいフルサイズ(FXフォーマット)一眼レフ「Df」(11月28日発売予定)を、先行展示していたニコンプラザ大阪で触ってきました。
往年のフイルム一眼レフを思わせる、レトロなボディー。見に来るのはかなりの年齢層だろうと予想していましたが、そうでもなかったですね。今はレトロなものが人気なのか、若い男女を含め予想以上の人だかり。
展示機はブラックとシルバーの2台しかなく、触るのにしばらく待たされました。
「Df」のシルバーボディ。キットレンズの「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)」つき。
よりレトロ感があるのは、やはりブラックよりシルバー。
手に持ってみました。「がっしりしたカメラ」という印象。
ニコンのフルサイズカメラの中で最小・最軽量(本体のみ710g)なのにもかかわらず、ごつい印象なのは、かなり厚みがあるため。また直線的なデザイン、上部のメカニックの重厚さが、そう感じさせるのかもしれません。
手に取った瞬間「おっ軽い!」とまでは感じませんでした。適度の重量感があります。
キットレンズAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition) を取り外してみると、レンズ自体は大変軽いです(190g)。ティーザー広告で見たように、旅行などで手軽に持ち運べそう。通常のAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G と光学系は同じで、シルバーリングやAi-Sレンズのゴムローレットを採用、「Df」のデザインに合うようにしたとのこと。
さてボディー上部のダイヤル群。
向かって左から順に…
・単純至極のモードダイヤル(M、A、S、Pだけ。D600などのAUTOやSCENEはありません)
・ON/OFFスイッチとシャッターボタン(懐かしいケーブルレリーズ用のネジ穴あり)
・大きめのシャッタースピードダイヤル(最高1/4000秒)とレリーズモード(単写、連写低速・高速、静音、タイマー、ミラーアップ)を選ぶレバー(連写は最高約5.5コマ/秒)
ペンタ部(内蔵フラッシュなし)をはさんで、向かって右側は…
・上下2段のダイヤルは、上が露出補正(±3段)、下がISO感度(常用はISO100~12,800、拡張でISO50~204,800相当)
また、前面「Df」のロゴマークの横にはサブコマンドダイヤルがあります。
ダイヤル主体の操作系を採用した理由について、ニコンのホームページでは、
『カメラが撮影するのではなく、あなた自身がカメラという道具を使って撮影する。そのことを実感できるダイヤル操作主体の操作系で、カメラを操ることの愉しさ、撮影プロセスの奥深さを味わっていただきたい。そのために、Dfは上面に大きな金属製メカニカルダイヤルを採用しました。電源OFF時も含め、カメラの上面でISO感度、シャッタースピード、露出補正の設定値を常時視認できるという安心感があり、またこれらを随時変更できるため、設定や露出を直接的にコントロールできます。』
と説明しています。
MADE IN JAPAN の文字がうれしいですね。日本製の品質、信頼性の証。
この2段のダイヤル操作ですが、
上の露出補正ダイヤル。真ん中のロックボタンを押しながら回します。
下のISO感度ダイヤルは、MADE IN JAPAN の刻印左側にあるロックボタンを押しながら回します。
この上下2段のダイヤル操作に関する限り、はっきりいってやりにくいです。
ロックボタンを押しながら回すのが、慣れないとむずかしい。かといってロックボタンがないとちょっとした拍子に回ってしまいそうで困りますね。
撮影する光の加減に応じて露出を変えたいとき、不器用な私としては、このダイヤル操作がスピーディーにはできないような気がします。
たとえば刻一刻明るさが変わる夕暮れ時にダイヤル操作だけで適正な露出補正、ISO感度にしようと思うとオタオタするのでは…
(まあ、完全マニュアル機ではないので、P、S、Mいずれかのモードにしておけば、カメラのオート機能が助けてくれます)
しばらくこのカメラを操作しているうちに、「オイ、いまの露出設定、それでいいの?」とカメラから怒られているような気がして、妙な緊張感がグッと胸に来ましたね。
写真を撮るときに、ある意味で「覚悟」のようなものを強いる、硬派のカメラのような気がします。
背面。ファインダー部が大きいですね。覗いて撮る、これぞ一眼レフの基本。
ファインダーは視野率100%、倍率0.7倍でD600/610と同じ。見やすいです。
AFポイントは39点(クロス9点、f/5.6超~f/8未満は中央33点、f/8は中央7点)と、これもD600/610と同じ。
動画機能がないので、もちろん動画関係のボタンはありません。スチール写真に特化!
マウント部にある露出計連動レバー(写真中央)は、非AI方式レンズを装着できるよう可倒式を採用。
非AIレンズが使えるのは「Df」の大きな特徴。ボディー外観がレトロなだけでなく、レトロなレンズも使えるということ。
ただし、非AIレンズを使うにはそれなりの手順があります(以下はニコンのホームページより)
『使用する非AI方式レンズは9本まで、事前にレンズ情報(焦点距離、開放絞り値)を登録しておけます。登録した非AI方式レンズを装着し、該当するレンズNo.を選択してレンズ情報手動設定の露出計連動方式を[非AIレンズ]に設定。レンズの絞りリングで設定した絞り値をサブコマンドダイヤルでカメラにもセットして撮影することで、開放測光による適切な露出が得られます(露出モードはA、Mのみ対応)。』
内部のセンサーと画像エンジンはフラッグシップ機である「D4」と同じ。
画素数は1625万画素と、D800、D600/D610には劣りますが、おもにプロが使う「D4」並みの画質と言われれば、文句はつけにくいですね。
しかも「D4」並みの高感度性能が期待できそうです。さらにISO感度が拡張で204,800相当まで設定できるというのは、趣味用のカメラとしてはオーバースペックではないかとさえ思えます。
順番待ちの人がいるので、あまり長時間触れませんでしたが、すごいカメラだという感触を持ちました。ただ、ユーザーはこのマシンを飼いならす“パワー”が要求されそうです。
東京では「Nikon Df 体験イベント Nikon Digital Live 2013」(11月16日、17日)があり、阿部秀之さんらプロの話が聞けます。
大阪でも同じイベントがあればいいのにと思いますが、今回はないようですね。
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撮影カメラ ソニーRX100