言葉のクロッキー

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三番叟フォルム

2017-01-04 | 能・芸能

東京国際フォーラム開館20周年記念事業      J-CULTURE FEST(にっぽん・和心・初詣)  FORM
公演:2017年1月2日   会場:東京国際フォーラムホールB7
出演
    狂言師   野村萬斎
    能楽師   観世喜正
                  メディアアーティスト   真鍋大度
                  サウンドアーティスト   e v a l a
                  照明アーティスト     藤本隆行

番組

● 半能  「高砂  八段之舞」
          シテ(住吉明神):観世喜正           後見:観世喜之 永島忠侈

          ワキ(旅の神職):森常好     ワキツレ(従者):館田善博 森常太郎  

                笛:一噌隆之  小鼓:鵜沢洋太郎    大鼓:亀井忠雄 代 亀井洋祐   太鼓:林雄一郎

                地謡:坂真太郎 佐久間二郎 永島充 鈴木啓吾 馬野正基 観世敦夫

●  三番叟 FORM
                野村萬斎


さほど大きくはない会場。正面に巨大なパノラマスクリーン。さほど高くない天井や舞台サイドには数々の照明・映写器具がセットされている。舞台周辺のベースとなる色は黒、真っ黒。客席はパイプ椅子が整然とならべられていて、正月気分のいろいろな服装をした観客でいっぱいだった。まず会場が真っ暗になった。安全灯も消してまったくの真っ暗。やがてスクリーンに江戸城内部がモノクロで再現される。かずかずの部屋を風のように通り抜け、能舞台にたどり着く。鮮やかな色彩に彩られた鏡松の舞台が再現されている。囃子に導かれ旅の神職たちの登場。照明の効果か、装束が一段と色鮮やかに見える。半能ではあるけどやはり見せ場は後半の住吉明神の舞にある。住吉明神が人々の長壽と国の平和を寿いて軽快に颯爽 と舞う。もともとの神舞がさらにつけ足されて緩急が加わり、舞台いっぱいに拍子を踏み、舞巡る。「高砂」では、音響効果はなく、演者も囃子も生だった。能舞台に比べれば空間の容量がまるで違って大きいので、生の声は吸収されてしまうのだけれど、それでもキレ良い動きと力強い謡は十分に伝わって胸のすくような舞台だった。舞台に誰もいなくなると、会場は再び真っ暗になった。すると揚幕と思しきところでカチカチと音がして、大きな線香花火のように火花が散った。真っ暗な空間だけにとても良く見えた。スクリーンに「FORM」のロゴが映し出され、演者、萬斎師が闇夜から浮かび上がるように登場し、ロゴの「O」を背にし、まるで大きな満月を背負っているかのようにとても大きく見えた。ここから映像と音響の渦の中での「三番叟」となる。囃子は録音したものでそれにマッチするように演者もマイクを使用。どんなマイクか知らないけれど、鋭い掛け声や謡が効果音・映像とよくマッチしていた。「揉ノ段」が終わって、舞台は暗転し、常座と思しきところで、黒い面を付け、鈴を持ち「鈴之段」の始まり。舞台では鈴の音がしているなくらいの音量だけど、ここではこれにもマイクが仕込んであるのかどうかわからないけど、シャリンシャリンと明瞭に力強く聞こえよくわかった。またパノラマスクリーンにはモノクロで抽象的な画像がジェットコースターのように映し出され独特の雰囲気を生み出していた。「三番叟」自体はいつもの通りだけれど、全然違和感がない。もしろ超モダンな和舞台という感じがした。萬斎師のオーラのようなものが、超近代的な機器の効果に打ち勝っているということかもしれない。客席は照明を落としているので舞台が一際引き立っていた。
演目は合わせて1時間くらいだったけれど、正月に相応しい爽やかな、強さに溢れた華やかなひと時だった。
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