「義経と弁慶」 2月11日 国立能楽堂
番組
●-解説- 「義経と弁慶 ~長刀の能~ 」 中村健史
●能『橋弁慶』
武蔵坊弁慶: 観世喜之 弁慶の従者: 中森健之介 牛若丸(子方): 観世和歌
都の者: 善竹十郎 善竹富太郎 後見: 観世喜正 永島充
地謡: 桑田貴志 坂真太郎 小島英明 佐久間二郎 鈴木啓吾 奥川恒治 遠藤喜久 遠藤和久
笛: 一噌幸弘 大鼓:柿原弘和 小鼓: 大倉源次郎
●狂言『柿山伏』
山伏: 善竹大二郎 畑主: 善竹十郎 後見: 野島伸仁
●能『船弁慶』
静御前・知盛の霊: 観世喜正 源義経(子方): 桑田潤之介 武蔵坊弁慶: 森常好
従者: 館田善博 森常太郎 船頭: 善竹富太郎 後見: 桑田貴志 遠藤和久
地謡: 中森健之介 坂真太郎 小島英明 佐久間二郎 永島充 遠藤喜久奥川恒 治 鈴木啓吾
笛: 一噌幸弘 小鼓: 大倉源次郎 大鼓:柿原弘和 太鼓: 観世元伯
今回は義経と弁慶を主題とした能2番。解説によれば、弁慶という人物はいろいろと逸話が多く、どこまでがほんとのことなのかよくわかっていない不思議な人物であるという。弁慶について確かなことは、3点しかなく、それらは・僧であったこと・義経の家来だったこと・奥州で亡くなったこと、なのだという。その他の言い伝えはみんな作り話らしい。それだけ弁慶は庶民に人気があったということの裏返しだともいえるとのこと。まず最初の能「橋弁慶」は牛若丸と弁慶が京都五条の橋の上で丁々発止とやりあい、打ち負かされて主従の約束をするお話。能「船弁慶」は、成人した牛若が義経となり、平家との華々しい戦に勝利したが、あまりの鮮やかな戦ぶりに恐怖を感じた総大将の兄頼朝に警戒され、結局命を狙われるまでになり、落ち延びて行く。その時義経の愛妾白拍子の静が、自分も一緒につれていってほしいと懇願するのだが、それはできない話。揺れ動く義経に代わり弁慶が静に別れを説得するのだ。中入り後、舟で落ち延びてゆく途中、にわかに嵐になり、海上に現れた平家一門の亡霊が義経主従を海に引き込もうとする。ここは武力ではなく、祈りでもって対抗する弁慶。海上に現れた平知盛の幽霊と対峙し、祈りでもって退散させ無事海を乗り切ったのだというお話。
舞台では、牛若丸・義経役は子方が務める。橋弁慶では、喜之師の孫が務め、年の差は70あまりある。観ていてしかつめらしい能ということでは全然しなくって、ホンワカとしたものを感じた。今回は子供が出演するということで、学童が多数見に来るよう企画されているとのことで客席にかなりたくさん小学生が観に来ていた。3時間あまりの演能だが、騒ぐでもなく、声上げるでもなく、行儀よかったので、事前にかなり説明がされていたのだろうと推察する。良い企画と思う。また狂言「柿山伏」も、テレビの日本昔話しみたいで、わかりやすい演目なので、楽しめたと思う。