言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

観世九皐会三月定例会

2011-03-13 | 能・芸能
・挨拶 観世喜正

・番組

   *能『櫻川』 シテ:古川 充  子方:古川穂奈美
          ワキ:宝生 閑 ワキツレ:宝生欣哉 坂笛 融 大日方 寛

   *狂言『文荷』 シテ:野村万作 アド:野村遼太 小アド:石田幸雄

   *仕舞   ・『鶴亀』   弘田裕一 
         ・『羽衣クセ』 観世喜之 
         ・『善知鳥』  佐久間二郎

   *能『松山鏡』  俱生神:観世喜正   母之亡霊:駒瀬直也 
            子方:奥川恒成     ワキ:高井松男

2日前の11日午後3時頃にM9.0というとてつもない地震が岩手県沖に発生した。「東日本大震災」とネーミングされるほど大規模な地震だ。以後これまで報道機関はその詳細を報道している。東京も例外ではなく、死者も出たし多くの勤め人が帰宅難民となる被害を被った。余震も静まってきたとはいえ、まだ間歇的に発生している。何よりも怖いのは東海沖の大地震を誘発しないかということだ。48時間経って都心の交通機関は正常に運行しているとはいえ、けっして平和な心持ではない。どこか緊張が残っている状況なのだ。そんななかでの演能なのだ。批判はあるでしょう。いつもは挨拶等無いのに観世喜正が冒頭に挨拶に舞台に現れ、理解を求めた。そしてもしものときの対応について説明をした。結果的には何も起こらず終了したけれど、厳しい現実を見ることができた。
さて舞台。今回は能二番とも子方が出て彩りを添えていたように思う。「櫻川」は、自ら自分の身を売ったその身代金を母に捧げ、それを知った母が狂女となって我が子を探し、ついに、桜川で再会し共に故郷に帰るという物語だ。「松山鏡」は亡くなった母の形見の鏡を見て、母に会っていたのだという姫の役だ。前者は物語上男の子なのだが演者は女の子、後者は姫なのに男の子が役を務めた。落ち着いて演技してました。後者は台詞も沢山あってそれ自体、子方にとっては珍しいほどタフな役所なのに臆することなくハキハキと澱みなく対応していたのが印象に残る。将来楽しみ。