言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

関寺小町・石橋

2011-07-01 | 能・芸能
亀井忠雄の会  古希記念

・『三番叟』  野村萬斎

・『関寺小町』  観世清和 観世三郎太
         宝生 閑  森 常好  宝生欣哉  殿田謙吉
         亀井忠雄 大倉源次郎 藤田六郎兵衛
         片山幽雪 大槻文蔵 木月浮行
         梅若玄祥 観世銕之丞 梅若万三郎 片山九郎右衛門
         観世喜正 梅若紀彰 山崎正道 坂口貴信

・連調
・一調 「笠之段」 浅見真州  山本 孝
     「花 筐」 大槻文蔵  幸 清次郎

・『石 橋』  片山九郎右衛門  観世喜正  観世淳夫  関根祥丸
        森 常太郎
        亀井忠雄 観世新九郎 観世元伯 杉信太朗
        梅若玄祥 梅若万三郎 清水寛二
        観世銕之丞 浅井文義 浅見真州 梅若紀彰
        山崎正道 坂口貴信 林宗一郎 武田宗典

能楽囃子・葛野流大鼓方で人間国宝、亀井忠雄師が古希を迎えるにあたって企画された一番。本人こだわりの能楽師・狂言師が参集し記念の芸を披露した。目玉は「関寺小町」。能楽シテ方観世流の二十六世宗家、観世清和師(52歳)が百歳の老女小野小町を初演することだ。これは江戸時代の十九世宗家以来、約二百年ぶりに舞ったことになるのだ。本来なら30年、演ずるのが早いのかもしれない。この演能は宗家の強い希望というよりも、亀井本人の強い希望があったのかもしれない。長い序の舞がある。この舞を本当に百歳になる老女が舞ったらどんな風なのだろうかと観ながら思った。日本舞踊かなんかを修めた老女の何人かに稽古つければ舞える人がいると思うけど。「沽券にかかわります!!」と拒絶されるのだろうな。そのくらいの芸人がいると思うけどなあ。
『三番叟』。切戸口が音もなく開き、朝顔色?の長絹・色違いの袴を佩き、鼻の下に立派な八の字髭をたくわえた細身の人物が現れ、地謡座の位置に着座した。ここで始めて萬斎師だと気がつきました。他の長期公演との兼ね合いでしょう。ビックリしました。直面で「揉之段」と「鈴之段」をモダンに力強く、軽々と舞ってくださいました。日本古典の舞を舞いながら、日本の土の香を全くと言ってもよいほど感じさせない「三番叟」。こんなふうにも舞うことができるのだとつくづく思いました。
「石橋」は半能。ワキの名乗りがある程度で、大部分は白頭の親獅子、赤頭の子獅子達四人の舞いだ。紅白の大きな牡丹をあしらった一畳台が二台、舞台前面に置かれ、その上に獅子達が飛び上がり、踏みならし、橋懸りまで含めて入り乱れて動き回る舞いは、観ていて気持ちよかった。ひとしきり舞って獅子達が揚幕の中に消えてこの能は終った。