観世九皐会 五月定例会 5月10日 午後1時~4時45分 矢来能楽堂
番組
● 能 『寝 覺』
シテ:観世喜正 前ツレ:小島英明 ワキ:森常好 ワキツレ:舘田善博 森常太郎
天女:新井麻衣子 河井美紀 龍神:佐久間二郎 坂真太郎 間:中村修一 後見:鈴木啓吾 奥川恒治
太鼓:観世元伯 大鼓:亀井洋祐 小鼓:観世新九郎 笛:藤田六郎兵衛
地謡:永島充 長山耕三 桑田貴志 中森健之介 中所宜夫 弘田裕一 駒瀬直也 遠藤和久
● 狂言 『酢 薑』
シテ:石田幸雄 アド:高野和憲 後見:中村修一
● 仕舞
・安宅 : 長山耕三
・誓願寺: 観世喜之
・網之段: 遠藤喜久
地謡:小島英明 中森貫太 遠藤和久 坂真太郎
● 能 『鞍馬天狗』 白頭
シテ:長山禮三郎 ワキ:殿田謙吉 ワキツレ:則久英志 梅村昌功
牛若丸:長山凛三 稚児:新井弘悠 佐久間瑞稀 桑田大志郎 桑田潤之介
間:高野和憲 飯田豪 後見:永島忠侈 永島充
太鼓:小寺真佐人 大鼓:國川純 小鼓:幸清次郎 笛:寺井宏明
地謡:鈴木啓吾 小島英明 中森健之介 河井美紀 中森貫太 五木田三郎 観世喜正 遠藤喜久
「ねざめ」と読む。これだけでは何をテーマにした能なのか分からない。解説を読んで解った。長野県の木曽に、「寝覚めの床」という景勝地があるがこの寝覺なのだ。能ではこの寝覺の床に三帰翁(みかえりのおきな)という仙人が住んでいて、長壽の仙薬を持っていることになっている。それを時の天皇である醍醐天皇(延喜帝)が求め、勅使が木曽の里にある寝覺を訪れるところから曲は始まる。舞台には一畳台が運ばれ、続いて大きな作り物(テッペンに松が飾られてる)が一畳台の上にセットされる。勅使役であるワキの一行が正装して悠然と舞台に出てきて名乗る。そこに老若二人の樵(シテと前ツレ)が現れ・・・・・・・・やがて夜になる。
この曲は余り演じられることはないそうだ。しかしこの曲は楽しい曲だ。天女二人。龍神も二人。それぞれ華麗な装束をまとっている。三帰翁も豪華な装束だ。この翁、実は医王仏という仏様の化身である。面は鼻瘤悪尉という面だそうだ。鼻筋に大きな瘤があって、いわゆる容貌魁偉。立派な頭巾を被っていて、とっても偉そうに見える。これらが皆役どころで舞を舞う。天女は優美・華麗に。龍神たちはキビキビとした動きで闊達に。翁はとっても重厚に、ゆったりと楽を舞う。間の狂言方までも小舞を舞った。・・・・・・そして夜が明け始め、三帰翁は仙薬を勅使に授けた後、木曽の桟橋を渡り姿を消すと、勅使の夢は醒めるという物語なのだ。見所満載だ。
仕舞「安宅」は短かったけれど、大きく、キレよく豪快な印象の舞で良かった。
能「鞍馬天狗」。子役というか牛若丸がよかった。橋掛かりを出てくるときから何か目立っていて、それが80分くらいの長い舞台でも消えずに、しっかりと詞章とこなしていた。