・老年期を生きる上での対外的な三大重要課題が「カネ」「無縁」「独居」とされる。
・詐欺師はプロです。「おかしい人が騙される」のではなく、「まともな人が騙されておかしくなってゆく」のが実情なのです。
・年配男性の得意とする「三大話」・・・・聞きかじりの知識をひけらかして誇示したり、過去の栄光や成功談を鼻にかけた手柄話や自慢話。「昔はよかった」「以前は○○だった」で始まる思い出話や回顧録。人へ何かを教えたり、諭すふりして、上から目線で語る教授話や説教。
・地域で孤立しがちな元エリート・・・他人の話を聞かない、聞き入れない。尊大な態度を貫く。命令口調が多い。女性を軽視する。肉体労働を拒む。
・時代とともに常識は変わる。近年、孫への接し方や子育ての新常識をイラスト入りで明記した「祖父母手帳」なる小冊子が人気を博している。
・高齢者との会話では、「ループ」(繰り返し)と「ワープ」(話題がいきなり飛ぶ)の特徴がみられる。
・老人の三大定義は「乾く、歪む、縮む」です。
・高齢者にとって、あまりに行き過ぎた身辺整理は心の活力を失い、記憶の扉をも閉ざしかねない。持ち物が減れば身軽にはなるが、物欲を欠くのは生きる意欲の枯渇にも通じる。人により、心を満たすものが、”モノ”である限り、物を得るのが喜びであり、幸福感をもたらす以上は、その楽しみさえも奪って「余計なものを増やさずにおとなしく老い続けろ」と強いるのは甚だ酷な話である。
・長い人生経験の中で、どのような状況でも、自分を”活かして”生かす力を養ってこなかった人、生きるセンスを培えずにいた人ほど、長く延びた老いの日々を苦心して送ることになる。
・加齢は残酷だ。目も耳も、歯も骨も、筋肉も関節も、内臓も毛髪も年を重ねるごとに弱っていく。親兄弟をはじめ、友人知人も一人ずつ減っていき、蓄えをも含めて基本的には、すべてが少しずつ失われていくなかで、人生終盤となる老年期を実り豊かに過ごすためには、何を増やしていくか。 人としての成熟、内面を豊かに肥やしていく以外にないのではないか。
・社会システムは、それまでの「何んとなく生きて、ほどほどで死ねる」時代から、「限界まで生きて、仕方なく死ぬ」時代を作り出した。
・人は生きてきた通りに老いる。歩みのままにしか老いない。65歳を機に達観することもなければ、人徳者にもなれるわけでもない。何を優先し、何をおざなりにしてきたか。何を吸収し、何を排除してきたか。何と出会い、誰と繋がって、どんな縁を紡いできたか。
人生の集大成である老年期 にこそ、成長と歩みのすべてが表出するのだ。
新郷由起 『絶望老人』