言葉のクロッキー

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映画「レイルウェイ」

2014-04-21 | 映画 音楽
原題:The Railway Man   製作国:オーストラリア&イギリス
この作品は、第二次世界大戦下、タイとビルマをつなぐ泰麺鉄道建設に捕虜として作業に狩り出された英国人将校が綴った戦争体験と、その後の人生を回想した自叙伝をもとに映画化した作品だ。戦後70年近くなった今でもこのような映画が製作されることは驚きだけれど、それほど、その戦時体験というのは当事者の心に深く沁みこんで、消すことのできない数々の出来事があったのだろうと思う。そしてその多くは心の傷として折に触れ再現され、その妄想に苦しむのだろう。
原作者は建設作業に狩り出されているときスパイと疑われ、日本軍から徹底的に拷問にかけられる。からくも死することなく生還したが拷問に連なる思い出と、それと密接に関わりあっている日本人通訳を忘れることができない。そして原作者も通訳も、ともにお互いが死んでしまってるだろうと思っていたのが、ともに生きているということに直面する。作者は通訳が生きているという現地へ行くことを決意する。復讐心に燃える原作者。そして結局のところ軍部のウソに踊らされていたということに気が付いた通訳者。原作者は「戦争は犯罪だ」と言い、通訳は「戦争は悲劇だ」と言う。平和な時代になってる時に、かって自分たちが拷問した男が目前に現れたとき、立場は弱い。かっての通訳は、抵抗することもなくやがて諦め「さあ殺せ」という。この後のことは映画になっていない。そして終わり近く「人は、憎しみを乗り越えなければならない」と作者は言い、通訳は作者に心から贖罪し、ともに友人として残り少ない人生を過ごしたのだ。
日本人としてこの映画を観て、けっして快いものではない。立場に弱い日本人役を真田広之が演じた。異常に卑屈になることなく、苦しみを背負った通訳を好演してると思う。

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