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徳川光圀が世子へおくった伝言

2018-08-01 20:06:41 | 水戸

 

 養子である3代水戸藩主綱條(つなえだ)へ、2代光圀は10件にまとめた伝言書をおくったそうです。立原翠軒(たちはらすいけん)がまとめた「西山遺聞」にあります。以下はそのおおまかな紹介です。下の文は命令の感じですが、実際の文章は「思(おぼ)しめし候事(そうろうこと)」「お心得ならせらるべく候事」といった非常に丁寧な表現です。だて(伊達)、強盗、算盤などの出てくるのが光圀流なのでしょう。

読書
 身のためになって用も足りるし、年をとってからの慰みになるので精を出すように。

武芸
 どれも少しずつは心掛けるよう。槍は取扱が難しいが良き程に習うように。

剣術
 自分の守りとなるので、心得がなければならない。居合を練習しているのはもっともなことで、「抜口」(刀を抜くときの形なのでしょうが、よくわかりません)をよく研究して稽古するように。


 自分は2尺5寸(約75cm)以上の長刀は手に余った。脇差しは1尺7寸(約51cm)から2尺(約60cm)まで、刀は2尺3,4寸(約69-72cm)までにすべきで、だて(おしゃれ)をしたければ鞘だけを長くすればよい。

軍法
 大将として軍法を知らないわけにゆかない。匹夫の勇のような役に立たないようなことなどを教える軍学者がいるが、近習に謙信流の軍法を知っている栗田七兵衛がいるので聞くように。

軍学の根本
 七書が根本で、その内の孫子、呉子が専要だが、夜盗、強盗の話にもよいことがないわけではない、それらを取捨選択する心得が必要である。

算盤
 数字の計算を心得るよう、たとえば戦陣での人の配置を見積もるにも必要である。(光圀は若い頃から土地の坪数を計算することを心掛けていた 青山)

大将の宝
 城や甲冑は必要だが、士卒が心を合わせていることがすべてにまさる。人をよく見立てて、ご恩を感じ、怨を含まないように召し使うべきである。

筋目
 家中諸士の家系を知らなければならない。記したものもあるから、ご所望ならお上げするし、人びとの物語もおきかせしよう。

身持
 万一、どのような時節に野陣をはっても体の痛みなどのないように、健康に心を配った。健康は習慣からのものであるから、健やかであるよう常に心掛けた。これらの事をよく考えるように。

水戸光圀の話あれこれ(4)

コメント
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