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MATTのひとりごと

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第1回スチールギター・フェスティバル

2010年07月05日 | スチールギターフェスティバル

米国の独立記念日(7月4日)に第一回のスチールギター・フェスティバルがワイキキ・ビーチウォークで開催されました。

唯一つのハワイ生まれの近代楽器ともいえるこのスチールギターの祭典が「第一回」とは、なんとも奇異な感じを受けます。先日マウイ島でヘンリー・アレン主催のスチール・ギター・フェスティバルが開催されたほか米国各地でたくさんのスチールギター・フェスティバルが開催されているのですが、ここオアフ島での「フェスティバル」はなんと初めてなのです。

ロイ・サクマが努力して築きあげて「ウクレレ・フェスティバル」が今年第40回を迎えるなか、アラン・アカカを中心としたスチール奏者が結束し、スポンサーを確保した結果、この会が開催できることになったのです。

もともとハワイでは絶滅寸前であったスチール・ギター文化を再興しようとメインランドから1980年代に移住してきたジェリー・バードの肝煎りで「ハワイアン・スチールギター協会(HSGA)」を発足させるとともに「スチール・ギター・ホオラウレア(催し)」をスタートさせ、当時存命であったビリー・ヒュー・レン、バーニー・アイザックスJrをはじめ貴重なスチール奏者たちの演奏を一般の人達に紹介し始めたのです。
その一方でアラン・アカカやケイシー・オルセンたち若手のスチール奏者達を育成することでスチールの復興に注力しました。
彼ら若手の奏者たちはそれぞれ実力を蓄えてトップレベルにまで達したのですが、残念ながらハワイでの音楽環境がスチールを不要とするようになり、彼らの牙城であったハレクラニのハウス・ウィズアウト・ア・キーですらスチールが聴けなくなりました。

当時若手であったアラン達もベテランの年齢となり、それぞれが若手を育成するようになったこともあるのでしょう、HSGAを中心にふたたびジェリーの念願である「ハワイでスチールギターを普及させる」という目標に向かってこの「スチールギター・フェスティバル」開催が決定したのです。

会場は2年前に美しく再建されたルワース通りの「ワイキキ・ビーチウォーク」の芝生広場の噴水のところにステージを設け、芝生に椅子を置いたりゴザを用意して聴衆にくつろいで聴いてもらえるように配慮していました。

私自身は自宅から折り畳みいすを持参し、のんびりと5時間を楽しませて貰いましたが、途中強い日差しが降り注いだので日焼けを心配したのですが、幸いにしてこの場所は高層ビルの谷間であったため1時間ほどで強い日差しは消えてくれました。

会場には二つのテントが用意され、その一つには現存する各社のスチールギター10数台と

ビンテージのスチールが展示されていました。

そしてワークショップに使う作りかけのスチールもありましたが、コンピューター制御で作成されているので大変きれいな加工品でした。

もうひとつのテントでは午後1時からワークショップが開催され、アラン・アカカによる「ハワイアン・スチールギターの歴史」と

ハワイ大学のニール・スコット博士による「スチールギターの作成」というテーマで興味ある講義がありました。

2時からお待ちかねの5人のスチール奏者の演奏がはじまるのですが、それに先だって総合司会のブリックウッド・ガルテリア(元HARA:ナー・ホークー主催団体の会長で、歌手、市会議員)と

ハリーBソリアJr(ハワイアン音楽の歴史に詳しいDJ、ライナーノーツ筆者)の二人が登場し、

HSGA会長ポール・キムの挨拶などがありました。

トップ奏者はグレッグ・サーディナと

ジミーズ・バフェ専属のミュージシャンたちによる比較的現代的な演奏でした。

続いては幻のハワイアン・グループ「サンズ・オブ・ハワイ」のスチール奏者デイヴィッド”フィート”ロジャースの甥であるロナルド・カナヘレが

自分の弟子であるアブリーゴ・ファミリーと一緒に演奏しました。

アブリーゴ一家はお兄さんが15歳でギターとスチール・ギター、妹が12歳でウクレレと歌、そして弟が7歳でなんとパキニ(一本弦のバケツ・ベース)を弾く、というユニークなグループで、妹のファルセットはライアテアのデビュー当時よりも澄んで伸び伸びと歌っているので今後が楽しみです。弟のパキニはちょっとタイミングにバラ付きがありますが、この難しい楽器に挑戦しているだけでも称賛に値します。

リーダー?のロナルドのスチールは左利きのため見ている側に混乱が起こりそうです。左利き専用のスチールを使っているのは当然ですが、なぜか音量の調節は右回しで最大になるように設定されていました。


そして次の出番は本日のお目当てのひとりジェフ・アウ・ホイと

彼の所属しているジェフ・テヴェス・トリオの演奏でした。

期待にたがわず彼の演奏は素晴らしいもので、一音一音が納得できる音を出していました。そして初めて知ったのですがバッキングをするときにトーンバーを弦の上で常に左右させていて、目的のタイミングにピタッと目的の音を出していました。
このあたりは別にインタビューをしたいと思っていますが、グループの記念撮影後に

確認したところハレクラニに週3回出演していると今月のハレクラニ発行資料にもあるのですが、残念なことに現在はカニカピラ・グリルだけに出演しているとのことでした。・・・ということはハレクラニではグレッグのグループ「ポオケラ」が火曜日にスチールを聴かせてくれるだけの状態のようです。

ジェフ・テヴェスは普段ジェフ・テヴェス・カルテット(でもメンバーはなぜか6人!)として活動していて、古き良き時代のハパ・ハオレ・ミュージックを中心としたCDもリリースしています。(ジェフ・アウ・ホイの写真が小さいので彼だけを拡大してあります。)
このアルバムでジェフ・アウ・ホイはスチールのほかにピアノ、バイブ、ギター、アップライト・ベースを弾いていますが、スチールの出番はあまり多くありません。やはり彼のソロ・アルバムに期待したいところです。

続いてアラン・アカカと

ジ・アイランダースの演奏でした。ベースのギャリー・ケアヴェ(もちろんギャリー・アイコ)は前日に日本から戻ったばかりとか。

このステージではアカカの若いお弟子さんたちもステージで演奏しました。最初の生徒さんは14歳で

二人目は年齢は不明ですが

2008年にハワイアン音楽の殿堂「Hawaiian Music Hall Of Fame」入りをした名歌手パラニ・ヴォーンの

息子さんとのこと。三人目はカリフォルニアから来た15歳といずれも今後が楽しみな奏者たちでした。

続いてケイシー・オルセンと

ケイシー・オルセン・トリオの登場です。以前は「ハイラム・オルセン・トリオ」だったのですが、息子に名前を渡したのでしょう。ケイシーが「オジサン」になったぶんお父さんのハイラムは「おじいさん」になった感じでした。

会場のパノラマです。大きな写真でお分かりのように参加者数は200名以下と少ないのですが、これでウクレレ・フェスティバル並みの数千名が押しかけたらこの会場ではとても収容できないので、丁度良いところかもしれません。

最後に今まで登場した5名がケイシー・オルセン・トリオをバックにジャム・セッションを繰り広げるのですが、まずはスタート前の記念撮影です。

そしてセッションはそれぞれの奏者が1~2コーラスずつ弾いて次にまわし、最後に全員で弾くというパターンで賑やかに行われました。アドリブに入った途端に奏者の実力が現れるのも面白かったです。

フィナーレは会場の参加者が手をつないで「ハワイ・アロハ」の演奏ですが、パラニ・ヴォーンも歌に加わりました。

来年の「第二回」は7月3日(日)に予定しているそうですので、ご覧になりたい方は今から計画に入れておいてくださいね。


20 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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詳細なレポートで・・・・ (「あたごウクレレ」)
2010-07-06 14:35:24
楽しく読ませていただきました。サウスポーもおられて、左仕様もあるのに驚きました。
全員でスチール弾かれるのも面白そう。
まさしくスチールギターオフ会のような。
殆どの方がスタンドを使用せずに膝に乗せて演奏されるんでね。
バケツベース・・・ジョージ根本さんの奥さんが弾かれてましたが久しぶりに見ました。
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「あたごウクレレ」さん (MATT)
2010-07-06 14:49:43
いつもコメント一番乗りをいただき、ありがとうございます。
ハワイだけでないと思いますが左利きの方が大変多いのです。日本では「恥ずかしい」と子供の頃に矯正させてしまいますが、こちらではそういう意識がなく、ウクレレやギターをサウスポーで弾く人はとても多いです。
厳密にはブレースの配置なども違いでしょうしカッタウェイに至ってははっきりとわかるモデルが多数販売されていますが、さすがにスチールのサウスポー用は見かけません。
でも、基本的にはボディーの中に組み込むコントロール用のポテンショメーター(可変抵抗器)の取り付けだけの問題と思いますので、もっと見かけても良いはずです。まぁそれだけ人口が少ないのでしょうけど・・・・
バケツ・ベースというかオリジナルは金タライを使った「ウォッシュタブ・ベース」で、マカハ・サンズ・オブ・ニイハウの初期にも使っていました。
専門のサイトもあり単純に弦の張力を変化させるものだけでなく、テコの原理で大幅な張力範囲を実現させたり、数本の弦を持つもの、さらには指板を設けたり、果てはタライではなく風呂桶を使った「バスタブ・ベース」なんていうものまであります。
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疲れました・・・! (Boo!)
2010-07-06 21:58:24
写真が多すぎて(笑)。

 それにしても、アカカにしてもC.オルセンにしても、すっかりおっさんになりましたね。ついこの間まで、若手だと思っていたのに。そんな中でも、ジェフはやはり若いですね。音は収録しなかったですか?聴きたいなあ。
 
>バッキングをするときにトーンバーを弦の上で常に左右させていて

 それはとても参考になります。常にスタンバイの気持ちでバッキングに徹しているのでしょう。さすがです。

 これだけの奏者が集まっているのに、聴衆の少なさが残念です。スチールギターの置かれている状況がわかります。
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行きたい! (たぬき)
2010-07-06 23:31:35
来年は行きたいなあ・・・。

MATTさん、招待して!!!
(せめて飛行機代だけでも・・)
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Boo!さん (MATT)
2010-07-07 01:02:58
いやはや、自分はさておいてみんなオジサンやお爺さんになってしまったものです。
ハレクラニに出ていたグループのなかでアカカとケイシーを除いて(今度はこれが正解)ハイラムだけが残っている訳ですから。
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たぬきさん (MATT)
2010-07-07 01:04:54
それは名案ですね。
我々夫婦を一時帰国旅行にご招待していただけたらそれと交換にたぬきさんのエコノミー代金を負担する、というのではいかが?
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Hapa Haoleソング (イィヴィ平野)
2010-07-07 21:16:49
CDのタイトル、Lovely Sapphire of the tropicsは私の好きな歌のひとつで、家でよく歌ってます。

ハワイでこのような歌がまだ歌われているということは!
貴重な歴史的音楽の発掘・保存がなされていることは、大変嬉しいことです。
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さすがイィヴィさん! (MATT)
2010-07-08 01:01:05

それではこのアルバムのコンテンツを
1.Lovely Sapphire of the Tropics/Sol Bright
2.Kaulana Ke Kuahiwi A'o Haleakala/Alice Johnson
3.Dance the Hula in the Sea/Gerda, Alvin K.Isaacs
4.Hinano/Sol Bright
5.Kaulana 'O Waimanalo/Sam Naeole
6.Ali'ipoe/William Makaehu
7.Ku'ipo 'Onaona/Maddy Lam
8.Pua Ahihi/Maddy Lam, Mary Kawena Pukui
9.Nani/Alice Namakelua
10.Pledge of Love/Irmgard Farden aluli
11.Wahikaahuula/Ruth Lilikulani, J.Noble
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やっぱりいいなぁ (paul okubo)
2010-07-08 15:59:32
来年は行きたいなぁ。

Booさん・・アランがおっさん・・
私と同じ年です。私もすっかりおっさんだなぁ。
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ポールおじさん! (MATT)
2010-07-08 19:14:51
絶対に来てください。
独立記念日(翌日)の花火も楽しめますよ。
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