場末の雑文置き場

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ドラマ版「模倣犯」感想

2016年09月23日 | 映画・ドラマ

面白い、と表現するのはあまりにも辛い内容だった。胸糞悪くて、後味悪くて。原作を読んだときも、こんな感じで結構鬱になったのを思い出した。
原作はものすごく長かったけど、夢中になって読んだ。あれは傑作。傑作なんだけど胸に突き刺さってくるものがあって辛い話だから、二度は読みたくないと思った。ドラマ版も二度目は見たくないかも。

今回のドラマ版は映画版よりもずっと出来が良かったと思う。ただ、ボロクソ言われている映画版も私は嫌いじゃない。あれはあれで面白かった。これは私が映画の方を先に見たからそう思えるのかもしれないけどね。後で原作を読んでみたら、たしかに映画はものすごくストーリーを改変していることがわかって、これは原作ファンが怒るのも無理ないな、と思ったので。

映画は制作側がピースを推していたけど、私はピースよりもヒロミに惹かれた。あれで津田寛治をちょっと好きになったんだっけ。
原作ではカズが一番好きだった。一見愚鈍そうなんだけど実は賢いところがいい。そして本当にいい奴なんだよね。なのに殺されたうえ容疑者にされるっていう展開が辛くて辛くて。
ドラマ版のカズも良かったなあ。引き込まれた。原作のイメージからいくとカズはこんなにイケメンじゃない気がするけど、その違和感を打ち消すくらいの演技をしていたと思う。
ピースの不気味さも、なかなかよく再現できていたんじゃないかな。映画版よりもかなり原作に忠実なピースだった。爆発しないし。ある種人間離れした怖ろしさを持っている人なんだけど、ラストではとても人間臭い。惨めでかっこ悪い感じ。そこが良かった。殺人鬼をかっこよく描こうとするようなやり方って、私は好きじゃないので。

ラストは皮肉がきいていた。犯人が捕まった後倒れてしまう有馬と、「これで事件が解決した」と晴れやかな笑顔の前畑の対比。全然ハッピーエンドじゃないのにラストカットが満面の笑顔、ってところにゾッとした。前畑にとっては所詮、他人事なんだよね。
遺族にとっては犯人が捕まってめでたしめでたし終わり、ではない。苦しみはずっと続く。辛いけど、それが現実なんだよな。カタルシスはなくても、納得のいく結末だった。


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