――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
中国の09年の名目国内総生産(GDP)が前年比8・7%増の高い数値を記録、2010年内に名目GDPで日本を抜き、世界第2位の経済大国に躍り出ることが確実になったという。日米欧の主要国が今回の金融危機から確かな足取りで景気回復に進めない中、世界経済の牽引役と目されている一方、不動産バブルで失速のリスクもと伝えるマスメディアもある。
尤も中国経済が失速した場合、日本はもとより、多くの国が打撃を受ける。グローバル化の連動を受けているからなのはわざわざ断るまでもない。2006年1月8日に私のHP「市民ひとりひとり」に《中国が日本を越える日》をアップロードしている。
題名が言っている「中国が日本を越える日」の実現する確立は高まったが、書いた内容が全部が全部でないにしても、部分的でも妥当なものとなっているかどうか、内容の妥当性を吟味してもらいたいのと、殆んどが新聞記事頼りの内容で、2006年当時の新聞記事を振返ってみるのもいいかなと思って改めてここに転載してみることにした。
05年12月20日の朝日新聞夕刊に次のような記事が載った。
『中国、GDP、仏国並みに』
「中国政府は20日、国家統計局が実施した経済センサス(統計調査)によって、第3次産業や個人企業などの実態を反映させた結果、04年のGDP(国内総生産)が16.8%増えたと発表した。
ドル換算すると、04年は世界5位の仏に近い約1・9兆ドル、05年は英国並みの世界4位になる可能性がある。中国政府の想定以上に、第3次産業や民間企業の存在感が高まっていたといえそうだ。
発表によると、04年のGDPは、15兆9878億元(約1・9兆ドル)。従来より、2兆3千億元増えた。増加分の93%は、第3次産業だった。
中国政府は合計3千万余の事業主に対して、千万人の調査員を動員した統計調査(04年12月末時点)を実施。第3次産業や個人企業まで細かく調査したのは初めて。既に一部の結果が発表され、就業人口は第2次、第3次産業とも1億5千万人ずつだった」――
いくらGDPが「仏国並みに」なったとしても、中国の人口は13億、フランスの人口は6千万強として計算すると、一人当りのGDPはフランスに遙かに及ばない20分の1近くにしかならない。また、フランスが中国にGDPで追いつかれたと言っても、フランスの人口を日本の人口に置き換えると、GDP額はさして差はなくなる。日本人一人一人の生産能力が特に高いというわけではない。そこを勘違いして、日本人は優秀だと思い上がらない方がいい。実際に特に優秀なわけではないのだから。日本が中国に追いつかれて、アジアでの日本の活躍の場が狭められたとき、当然GDPも下がる。
逆に中国は国内のみならず、アジアでの活躍の場の拡大に応じて、その生産能力は比例して高まり、GDP(国内総生産)に跳ね返っていく構造を取る。
中国の国民一人当りのGDPの低さは13億人の中国人人口のうち、約60%に相当する8億人の農村住民の都市住民と比較した極端な収入格差が原因と以前から言われている。
中国政府は2004年から2008年まで5年掛けて農民の負担となる農業税の全廃を通して農民収入の向上を図り、都市住民との1人当りの純収入が3分の1とされている収入格差の是正を目指す方針でいたが、それを2年繰り上げて、06年内に全廃に持っていくという。
05年12月6日の朝日新聞朝刊にそのことの記事が載っている。
『中国税収5年で倍増 貧富の差縮小へ農業税全廃』
「中国の05年の税収は3兆元(1元=約14円)に達し、前年比で2割増、5年前の5倍強に達すること見通しとなった。06年度は農業税の全廃や個人所得税の課税最低限の引き上げなどで、広がる貧富の格差に対応するとともに、内需の拡大を目指す。一方、遺産相続税や燃料税など負担増につながる税制度の導入は先送りされそうだ。
中国の財政省によると、05年1~10月の税収は、前年同月比17.5%増の2兆4583億元。とりわけ、企業所得税(法人税に相当)や個人所得税収が3割強も伸びた。05年通年での税収は全体で3兆元に達する勢いで、00年の2倍を超える。国内総生産(GDP)の伸びを上まわる。
中国政府は好調な税収の伸びを背景に、高成長下で広がる貧富の格差の縮小に向けて税制改革を進める。
まず、06年に農業税を全廃する。都市住民には所得税の控除基準があったが、農民はどんなに貧しくても税金を支払わなければならず、中国税制上最大の矛盾とされてきた。さらに、個人所得税を計算するときに所得から差引ける基礎控除額を25年ぶりに全面的に見直し、06年1月から現行の月額800元から1600元に引き上げる。
最低基準の引上げで年280億元の減収が見込まれるため、財政省は『高額所得者からの徴収管理を強化する』(幹部)としている。ただ、遺産相続税や固定資産税といった財産にかかる税については「個人の財産に関わる情報把握が十分でない」「(同)として、早期の導入は見送られた。急増する富裕層の存在と「無産階級」を前提とした従来の税制間の矛盾は残ったままだ。マイカーの普及に伴って検討されてきた燃料税の06年度導入は延期される見通しだ。
また、批判が強まっている外資系企業の優遇税制については、企業所得税率を内外企業で統一する方針が決まった。しかし、外資の直接投資の減少を懸念する商務省を中心とした消極的な意見も残り、結論はまだ出ていない。
『共富』目指し進む弱者対策(田中修・日中産学官交流機構特別研究員の話
中国は改革開放以来、経済政策の柱としてきた『先富論』を『共同富裕論』に転換しようとしている。そのなかで、農業税の全廃や個人所得税の給与所得控除額の引上げといった『弱者』の負担を減らす動きが出ている。不公平感を薄めると共に、内需を刺激し、投資主導から消費主導の成長方式への転換を目指すものだ。
所得再分配の仕組みの改革に当たって、地方交付税に当たる財政移転支出の見直しや社会保障制度の整備も重要になる。財政の役割はこれまで以上に大きくなるだろう。また相続税・贈与税の導入も重要な課題だ」――
「中国の05年の税収は3兆元(1元=約14円)」を日本円に換算すると、42兆円。日本の05年度の税収当初見込みは44兆円で、景気回復を受けて、46兆円を超えると見込まれている。税収額だけで見てみると、4兆円程度の差である。
42兆円を人口の13億で割ると、一人当りの税金は3万2000円。収入は低くても、物価も安い上に税金も安い。色々な見方ができる。否定的な一つの評価ですべてをくくる人間がいるが、そうでもないと言うことである。
勿論平均値だから、農民により負担が重いだろうことは無視することはできない。「共富」を目指す中国の税制改革は緒についたばかりではあるが、貧富の格差の是正が国民全体の活力を増大させる。農業税の撤廃は省単位ごとの実施で、上海市は2004年時点で既に全廃を果たしたという。
制度改革も技術革新もカネがモノを言う。有数の貿易港であり、商・工業都市でもある上海市は(世界最大級の新港が05年11月に一部開港したという)財政が潤沢だからだろう。日本のように財政がジリ貧状態にあり、赤字国債でやっと手当てしている国は、改革が“改悪”にウエイトを置いた内容となる。各種増税、社会保障費の圧縮、給与所得控除額の引下げ、行く行くは定率減税の廃止等々。
さらに人口減という悪要因が重なって、暗い話ばかりで、活力を発揮しようにも発揮できない。そのような状況の中で、株式市場活況がもたらすうまい話が以前にも増して投機的傾向への傾斜を強め、その反動が実業への虚しさを一段と増しかねない。たいしたこともない給料を手に入れるために、コツコツと真面目に働くことがバカらしくなって、カネと頭のある人間は株や土地、マンション、あるいは金に投資して、汗をかかずに大金を手に入れようとする。
カネも頭もない人間は、銀行かパチンコ店の景品所を襲うか、スーパーの売上げを狙って大金を手に入れようとする。何かでムシャクシャし、それを発散させるための女と遊ぶカネもない男は、女児に悪戯して、バレるのを恐れて殺してしまう。
中国は国を豊かにするために開放経済に向かい、外資導入を図った。但し、主要産業を担う大型外資の全額出資による企業設立は認めず、合弁方式のみ許可した。トヨタも日産も、さらにドイツのBMWも、その他の自動車メーカーも、また他の重要産業の外国企業に関しても、出資比率が半々か、半々前後の合弁のみの許可となっている。
この方式の中長期的な狙いは、100%出資を認めることで経営と製造の支配権を相手に与えて、そのことによって中国人従業員を製品を組み立てるだけの要員に貶めることを避け、逆に経営と製造に対等な資格で参加させて、技術移転を中国側にスムーズに移転させるための政策だったろう。
各種の技術習得に他国に大きく後れを取っていたから、1から始めるのではなく、西欧の現在の水準に早い時間経過で一気に追いつくための、極めて政治的な戦略としてあったものに違いない。
2006年記事「中国が日本を超える日」(2)に続く
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