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《8月26日(火) 災害対策について野党9党で協議》
生活の党からは畑浩治総合政策会議議長、小宮山泰子国会対策委員長が出席しています。
安倍晋三が今年4月に行われた高野山真言宗奥の院(和歌山県高野町)所在の「昭和殉難者法務死追悼碑法要」に哀悼メッセージを書面で送っていたという。
別に驚きはしない。安倍晋三らしい歴史認識行動だからだ。靖国参拝と共通した行動に過ぎない。
《安倍首相が哀悼書面 A級戦犯ら4月の法要》(TOKYO Web/2014年8月27日 夕刊)
追悼法要の対象者は靖国神社のように一般兵士は含まず、A級、BC級戦犯として処刑されたり、収容所内で病死や自殺をしたりした計約1180人だそうで、碑に彼らの名前が刻んであるという。
追悼法要の主催者は陸軍士官学校や防衛大のOBでつくる「近畿偕行会」と「追悼碑を守る会」。例年4月29日が開催日。遺族や陸軍士官学校出身者ら約220人が参列したという。
勿論、A級戦犯14人のうちに東条英機も含まれているという。
内閣総理大臣直轄の総力戦研究所が昭和16年(1941年)7月12日、日米開戦を想定した勝敗の帰趨を読み取る総力戦机上演習を行った結果、「日本必敗」の答を出した際の当時の首相就任3カ月前の東条英機陸軍大臣の発言を見てみる。
東条英機「諸君の研究の労を多とするが、これはあくまでも机上の演習でありまして、実際の戰争といふものは、君達が考へているやうな物では無いのであります。
日露戦争で、わが大日本帝國は勝てるとは思はなかつた。然し勝つたのであります。あの当時も列強による三國干渉で、止むに止まれず帝国は立ち上がつたのでありまして、勝てる戦争だからと思つてやつたのではなかつた。
戦といふものは、計画通りにいかない。意外裡な事が勝利に繋がつていく。したがつて、諸君の考へている事は机上の空論とまでは言はないとしても、あくまでも、その意外裡の要素といふものをば、考慮したものではないのであります。なほ、この机上演習の経緯を、諸君は軽はずみに口外してはならぬといふことであります」(Wikipedia)――
日露戦争は勝てる戦争だとは思はなかったが、勝った。だから、日米戦争も勝てる戦争だとは思えなくても、勝てると言っている。何という合理性なのだろうか。
要するに東条英機は日米の国力・軍事力の冷静・厳格な比較・分析と、緻密性と合理性を持たせた戦略(=長期的・全体的展望に立った目的行為の準備・計画・運用の理論と方法)に立った対米開戦ではな く、1904年~1905年(明治37年~38年)の日露戦争の勝利を約40年後の日米戦争を開始した場合の勝利の根拠とし、その理由を「戦というものは、計画通りにいかない。意外裡な事(=計算外の要素)が勝利に繋がっていく」と計画よりも僥倖(「思いがけない幸運」)に頼った非合理的な精神論を支えとした対米開戦を敢行、歴史は総力戦研究所が予測したとおりに動き、東条英機の「意外裡な事」が勝利に屁程も役に立たなかったことを証明した。
過去の人間として捨て去らなければならないそのような愚かしい戦争指導者を現代に蘇らせて顕彰する。その筆頭が安倍晋三であることは断るまでもない。そして4月に過去の戦争指導者たちに哀悼の名を借りた顕彰のメッセージを書面で送った。
安倍晋三哀悼メッセージ「今日の日本の平和と繁栄のため、自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉難者のみ霊に謹んで哀悼の誠を捧げる。
恒久平和を願い、人類共生の未来を切り開いていくことをお誓い申し上げる」――
天皇独裁体制下のA級戦犯を含む戦争指導者たちを戦後日本の「礎」とする。北朝鮮が民主化された場合、民主化北朝鮮が金日成・金正日・金正恩を祖国の礎とするようなものである。その滑稽な倒錯性に気づかない。
「礎」という語は土台の意味があり、支えるという意味を含む。天皇独裁体制下のA級戦犯を含む戦争指導者たちが戦後民主国家日本の土台となって支えていると、彼らに最大限の評価を与えている。
その最大限の評価が「昭和殉難者法務死追悼碑法要」に哀悼メッセージを書面で送る形となって表れた。
天皇独裁体制下の戦前日本国家を肯定する歴史認識に立っていなければ不可能な顕彰であり、「哀悼の誠」であろう。
民主主義や人権とは縁のない彼らを戦後民主国家日本を支える土台としているということは、一般常識的には倒錯そのものだが、戦前日本国家と戦後日本国家を前者を天皇独裁国家とし、後者を民主主義国家として断絶させるのではなく、前者と後者に連続性を持たせていることを意味する。
両者間に連続性を持たせているということは戦後日本を戦前日本に反映させることは不可能だから、戦前日本を戦後日本に反映させたい欲求を抱えた連続性でなければならない。
つまり安倍晋三とその一派にとっては倒錯でも何でもなく、ごく当たり前の感覚で、戦後日本という歴史的場面に呼吸しながら、戦前日本を国家の理想としているということであろう。
ここに安倍晋三が復古主義者、あるいは戦前回帰主義者と言われる理由がある。
安倍晋三が自民党政権復帰の最初の首相となって1年を記念して靖国神社を参拝したとき、戦犯崇拝の参拝ではないと発言している。
2013年12月26日参拝後の対記者団発言。
記者「中国、韓国を初めとしてですね、海外から安部総理が靖国神社を参拝することについて根強い批判の声が出ているが、これはどのように説明していかれるのでしょうか」
安倍晋三「あの、靖国神社の参拝ですね、いわゆる戦犯を崇拝する行為であると、ま、誤解に基づく批判がありますが、私は1年間のこの歩みをご英霊に対してご報告をする。そして二度と戦争の惨禍の中で人々の苦しむことが無い時代を創っていくという決意をお伝えするために参拝を致しました」(NHK総合テレビ/2013年12月26日夕方7時ニュースから)
そして同じ日に首相官邸HPに、『恒久平和への誓い』と題して載せた首相談話でも同じことを書いている。
安倍晋三「靖国参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、御英霊に政権一年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を、お伝えするためです」――
だが、「昭和殉難者法務死追悼碑法要」はA級、BC級戦犯を「昭和殉難者」として扱い、安倍晋三は「自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉難者のみ霊に謹んで哀悼の誠を捧げる」と、「昭和殉難者」と名づけて顕彰したA級、BC級戦犯そのものを哀悼の対象としている。
昭和殉難者法務死追悼供養碑を守る会のHPには次のような記述がある。
〈昭和殉難者法務死追悼碑供養碑のご案内
「昭和殉難者法務死の霊位に心からの鎮魂の誠を捧げる」
終戦後、戦争犯罪人として、はかなくも散っていった悲しき英霊達。今日の日本の平和と繁栄のため、自らの魂を賭してこの世を去った彼等・昭和殉難者を思うと、哀惜の念は止むことはありません。平成6年3月15日、その魂を悼み、聖地高野山奥の院に追悼碑・刻銘碑が建立されました。〉――
この戦犯たちに対する想いは安倍晋三がメッセージに込めた想いと同質である。
例え安倍晋三が戦犯崇拝をどう否定しようとも、戦犯を「祖国の礎となられた昭和殉難者」と顕彰していることに変わりはなく、顕彰することによって戦前日本国家を肯定する歴史認識を自らの血としていることになり、その戦前日本国家肯定の血が日本の戦前と戦後を断絶させているのではなく、戦前日本国家と戦後日本国家に連続性を持たせようとする願望の動機付けとなっていることは明らかである。
この事実は、「恒久平和を願い、人類共生の未来を切り開いていくことをお誓い申し上げる」と言おうと、「二度と戦争の惨禍の中で人々の苦しむことが無い時代を創っていくという決意」の靖国神社参拝だとしようとも、変えることはできない。
戦前日本国家と戦後日本国家に連続性を持たせようとしていることは安倍教育に於ける愛国心の涵養や道徳教育の教科化にも現れている。
安倍晋三のお友達の下村博文文科相は2014年4月25日衆院文部科学委員会で次のように発言している。
下村博文「(教育勅語は)至極真っ当。今でも十分通用する。そのまま復活する考えはない」(asahi.com)
明治の自由民権思想の芽を子どもが頭の中に芽吹かせないための縛りとして設けた日本独特の旧来型の道徳観を基に父母・夫婦・兄弟・朋友等々すべての国民が一体となって学問や徳を積み、最終的に天皇に対して忠実な国民であることを求めていた教育勅語を復活する考えはないと断ってはいるが、自身の教育思想と相通じる教育観だとして、その教育観を道徳の教科化で、教育勅語と同様に上から与えるという戦前の形式は変えずに、教える内容は巧妙に姿を変えて実現させようとしている。
結果として子どもたちは上から与えられて行動の基準を学ぶという姿勢を植えつけられて大人へと成長していくことになる。
また、主催者の中に防衛大のOBが仲間となっているということは恐ろしいことである。OBの戦前日本国家肯定の思想の影響を受けた現役自衛官が存在し、自衛隊幹部内に大きな勢力を築きでもした場合、自衛隊自体がその思想に基づいて行動する危険性の恐ろしさである。
あるかも知れないこのような動きを阻止するためにも、安倍晋三に戦前と戦後に連続性を持たせることで戦前の日本を取り戻させてはいけない。
取り戻させたなら、存在した場合の自衛隊内の勢力に力を与えることになる。
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