なぜ朝日は「吉田証言」の虚偽を認めた上で他の占領地域では真正事実であることを対抗策としなかったのか

2014-08-15 09:30:43 | Weblog



      生活の党PR



       《8月15日 『終戦記念日にあたって』 小沢一郎代表談話》


 『終戦記念日にあたって』

 平成26年8月15日生活の党代表小沢一郎

 本日、終戦記念日を迎えるにあたり、先の大戦において犠牲となられた内外のすべての人々に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。

 今、果たしてどれだけの方々が「戦争」というものを実感できるでしょうか。確かにこの時期メディアでは盛んに戦前・戦時中の映像が流れます。しかし、実際に戦争を体験していない国民が大半となった今、戦争の恐ろしさや残忍さを理解できる人の数は極めて少なくなっているのではないでしょうか。

 戦争は国家・国民間の感情的な積み重なりの中で、偶発的に起こり得るものです。だからこそ為政者はいつでも冷静でなければなりません。国民にも感情的な動きの自制を呼びかけて、何としても平和を維持しなければならないのです。それが政治の最大の使命です。

 しかし、この国はどこに向かっているのでしょうか。今や一内閣が憲法を無視して集団的自衛権の行使を容認し、一部メディアには、近隣の国を過激に攻撃する論調も目立つようになりました。最近では、国連から「ヘイトスピーチ」の禁止を求められています。

 このような昨今の政治状況や社会の風潮に対し、今必要なのは、戦後平和を維持するために努力を傾注してきた「先達」の声に耳を傾け、戦争の悲惨さと平和の大切さに思いを致し、可能な限り次の世代へと語り継いでいくことです。それこそが、この国を正しい方向に導く道標となります。

 わが党は、このような認識の下、過去のさまざまな歴史的教訓の上に立って、終戦記念日である本日、世界の平和と、この国のより良い未来の創造のため、引き続き全力で取り組んで参ることをここに固くお誓い申し上げます。    


 朝日新聞が8月5日付(2014年)朝刊で、かつて自らの報道で歴史の事実として取り上げた従軍慰安婦に関わるいわゆる「吉田証言」について、「虚偽だと判断し、記事を取り消します」と、誤報であったと報じた。

 だが、全面的に謝罪した訳でも、従軍慰安婦の記事の全部の取り消しを宣言したわけではないことと、朝日新聞の報道が日韓関係悪化の発端となったとする主張にも影響されて、朝日に対して多くの非難が寄せられた。この非難の程度は「産経・FNN世論調査」に現れている。《朝日検証報道、7割が不十分 女性に厳しい反応》MSN産経/014.8.11 19:36)

 「朝日の検証内容」について

 「十分だと思う」
 男性16・6%
 女性7・5%

 「不十分だと思う」
 男性69・4%
 女性72・0%

 年代別
 「不十分」
 女性20代78・7%
 女性30代77・5%
 男性20~50代70%超
 男性60代59・2%
 
 「十分」
 男性60代20・1%、

 支持政党別
 「不十分」
 次世代の党100%
 自民党74・2%
 みんなの党71・4%
 公明党66・7%
 暫定的な「日本維新の会」66・7%

 「十分だとは思わない」
 民主党52・4%、
 社民党66・7%
 共産党64・3%

 安倍晋三も8月8日産経新聞のインタビューで朝日報道が日韓関係に影響を与えたと言っている。

 安倍晋三「朝日新聞が取り消した証言について、事実として報道されたことによって2国間関係に大きな影響を与えたわけです。そして同時に、全ての教科書にも『強制連行』の記述が出たのも事実です。

 第1次安倍政権において『政府発見の資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を示すような記述は見当たらなかった』とする答弁書の閣議決定を行ったところですが、その際も、この閣議決定に対する批判は行われていました。しかし、この閣議決定自体が改めて間違っていなかったということが証明されたのではないかと思います。

 いずれにせよ、こうした報道によって、2国間関係にも影響を及ぼすわけです。その結果、自民党の石破茂幹事長も言っておられたことですが、その報道によって多くの人たちが悲しみ、そして苦しむことになっていくわけです。そうした結果を招くということに対する自覚と責任感の下に、常に検証を行っていくということが大切なのではないかということを改めて認識しました」(MSN産経)――
 
 戦前の大日本国家を善の存在とし、戦前の戦争を侵略戦争だと肯定したくない安倍晋三以下の国家主義者たちの一派は従軍慰安婦の日本軍による強制連行と暴力的な性行為強要を否定しているが、朝日新聞が「吉田証言」の歴史事実を虚偽と認めて、これまでの記事を取り消したとしても、従軍慰安婦の強制連行の歴史事実を全否定することにはならない。

 全面否定したとしたら、臭い物に蓋をすることになる。

 一度ブログに書いたが、8月10日(2014年)フジテレビ「新報道2001」が「慰安婦問題を巡る誤報の徹底検証」と題したコーナーで、当然のこととして「吉田証言」を取り上げていた。それがどのような内容であるか、番組での小倉紀蔵(日本の韓国学者、哲学者、京都大学教授)の発言が要約している。

 小倉紀蔵「90年代の初めに韓国に行ったとき、この問題があった。テレビで連日のように、いわゆる再現フィルムというのをやるわけですよ。これが要するに『吉田証言』に基づいた、奴隷狩りのような、いたいけな14歳ぐらいの少女が畑で働いているのを、嫌だ、嫌だと言っているのを、リヤカーに連れ込まれて、日本の軍人がやっている。

 そう言うことを連日見せられたら、どうなるんですか」――

 当時の韓国に於いて日本軍が韓国の未成年少女を略取・誘拐の形で無理矢理連行して従軍慰安婦に狩り立て、性奴隷とすることが歴史事実としてテレビで連日のように放送された。対日憎悪の韓国世論が沸騰して、日韓関係が悪化するのは当然だという文脈で発言している。

 例え「吉田証言」が虚偽の歴史事実を描いていたとしても、皮肉なことにそれが真正な歴史事実として日本軍占領下のインドネシアに演じられていたことを、『日本軍に棄てられた少女たち ――インドネシアの慰安婦悲話――』(プラムディヤ・アナンタ・トゥール著・コモンズ)が元インドネシア女性従軍慰安婦の証言で証明している。

 フィリッピンでも真正な歴事実として存在していたことが証言されている。「吉田証言」の韓国とインドネシアやフィリッピン、台湾等の日本軍占領地とどういう糸でつながっていたのかは、「吉田証言」の虚偽の歴史事実が似た形でそれらの地域で真正な歴史事実として再現されていたということから考えて、例え前者が虚偽の歴史事実であったとしても、その糸は日本軍の体質としてつながっていたとしか言い様がない。

 安倍晋三が言うように「政府発見の資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を示すような記述は見当たらなかった」としても、韓国の元従軍慰安婦が証言しているように韓国でも日本軍による強制連行と性奴隷が実際に行われていて、それが日本軍の体質としてつながっていた真正な歴史事実であるということであるはずだ。

 なぜ朝日新聞は著者本人が1995年に著書自体を創作だと、いわば虚偽の歴史事実だと認めた時点でそれまでの報道の誤りを認めて謝罪し、その上でカネと手間と人手をかけて、日本軍各占領地の従軍慰安婦に関わる証言を自ら集めるなり、あるいは他者の手によって既に集められている証言を利用するなりして、「吉田証言」の虚偽の歴史事実が他の占領地域では真正な事実として演じれれていたことを証明、「吉田証言」の虚偽の歴史事実を抹消することによって他の地域の真正な歴史事実まで抹消することは日本軍の従軍慰安婦の強制連行と性奴隷の歴史に対して臭い物に蓋をすることになると、新たな戦いをなぜ挑まなかったのだろうか。

 だが、1995年から19年後の記事取り消しとなっている。


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