今朝の朝日新聞に≪国の補助金受けた法人 閣僚16人にも献金 06年≫なる記事が出ている。内容は、国の補助金を受けている36法人が交付決定通知を受けた日から1年間献金を原則禁止している「政治資金規正法」に違反して、06年以降に閣僚を経験した国会議員(引退1人を含む)47人のうち、福田首相ら24人が代表を務める各自民党支部に対して同年、計1690万円の政治献金を行っていたとなっている。
記事によると、政治家側は「適用除外に該当する」、あるいは「寄付者が補助金を受けているか把握することは事実上、不可能だ」を免罪理由としている。「適用除外」とは同記事が<「試験研究、調査または災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものを除く」と適用除外を規定している>としているが、そういった名目のもとに利益追求が行われているケースもあるという。
例え純粋に非営利部門に向けた補助金であっても、それを行うについて金銭的利益を受けることに変わりはない。それが順当・真っ当な性質の補助金なら、なければ業務に支障が生じるだろうからである。子供の成績を上げたくて学習塾に通わせたいと思っても、収入が許さなくて通わせることができない親にとって塾に通わせることを目的とした他処からの補助は親子にとって順当・真っ当な性質の補助となり、大いなる利益となるだろう。上(国・政治家・官僚)から利益を受けているという恩義が政治献金、その他の反対給付となって現れたということもできる。
それとも企業側にしたら利益行為・営利経営を禁ずるヒモつき・制限つきの自由に使えない補助金など必要ではないのだが、国側が天下り先や権限づくり、仕事づくりを目的として設けた補助金制度だから長い物に巻かれろで従った「補助金」の受給という形式を踏んでいるに過ぎないということなのだろうか。但し頂く一方ならやらずボッタクリとなって格好がつかないから、官僚にも天下り引受け、各種接待、その他の何らかのキックバック、政治家にも政治献金の形でキックバックの反対給付となった?
そのことの一端を<大手石油関連会社でつくる業界団体「石油連盟」は、経産省から06年度上半期だけで計約40億円の補助金の交付決定を受ける一方、協会に計8000万円を寄付していた。>とする上記朝日記事から窺うことができる。厳密に言うなら、利益に結びつけてはならない「40億円」である。そこから「8000万円」も(官僚へのキックバックを計算に入れたなら、「8000万円」で済まないだろう)捻り出すには陰で利益に結びつけているか、タダ同然となる「40億円」か、必要以上に補助された「40億円」か、そのうちのどちらかだろう。どちらであっても便宜を受けていることになり、その見返り・御礼が政治献金その他のキックバックということではないか。
多分他の部門から捻り出した「8000万円」だと言うだろうが、「8000万円」の余裕があるなら、原資は国民の税金で「補助金」の形を取っているに過ぎない。「40億円」-「8000万円」=39億2000万円の補助に抑えるのが社会責任上の順当な措置ではないだろうか。
「寄付者が補助金を受けているか把握することは事実上、不可能だ」に関して言うなら、企業側は補助を受けるについて受ける場合の注意事項を国側から説明されているだろうから(説明していないとしたら、国側の怠慢となる)、政治家側が「把握」不可能であっても、企業側の「把握」必須事項でなければならず、「事実上、不可能だ」という理由は成り立たない。
脱税や申告漏れで国税庁から追徴課税を受けた芸能人等が会計士が間違えたことで自分は一切関与していないと弁解する場面が跡を絶たないが、会計士を雇用するに当たって人気商売だから決して間違っていると指摘を受けることがないようにと前以て注意を伝えておくのが雇用者の人事義務であろうから、政治家の逃げ口実と同根の弁解に連ねることができる。
必須事項でなければならないにも関わらず、それを無視し、あるいは破って政治献金に走るのは利益(=補助金)に対する見返りの利益(=政治献金その他)をギブアンドテーク、あるいはキックバックの形で図らなければならない暗黙の圧力がそもそもから存在していたからだと疑うこともできる。大体が「政治資金規正法」の規定に則って政治献金という形での見返りの利益を考慮しないで済むなら、誰も法律をことさらに犯さないはずである。
企業側の「政治資金規正法」の規定違反に対応した政治団体側・政治家側の「政治資金規正法」の規定違反であり、その相互性から言えば、同じ穴のムジナとしての連携プレーと言えないことはない。
この政治家と企業との関係式は、官僚側からの企業側に対する随意契約の形を取った取引に於けるおいしいばかりの利益供与(市場価格を超える上乗せ部分は一種の補助金と言える)とそのような恩恵に対して、「今後とも当社に随意契約でお願いします」と飲み食い・ゴルフ・旅行等の接待、盆暮れの高額のお中元・お歳暮の贈答、あるいはパンフレットの監修料とかの名目を用意して「随意契約はありがたいことです。みなさんの利益にもなることです」と現ナマによる直接還流などのギブアンドテーク、あるいはキックバックに見ることができる官僚と企業との関係式と同じプロセスを踏み、同じ構図を描いている似た者関係にあると言える。
これを以て癒着の構図と言わずに何と表現したらいいのか。程度の低い政治性・程度の低い権威主義的権力性が可能としている程度の低い癒着関係・人間関係と言わざるを得ない。
参考までに引用。
≪国の補助金受けた法人 閣僚16人にも献金 06年≫(08.1.11/『朝日』長官)
<06年以降に閣僚を経験した国会議員(引退1人を含む)47人のうち、福田首相ら24人が代表を務める各自民党支部が同年、国から補助金を受けた36法人から計1690万円の政治献金を行っていたことが朝日新聞の調べで分かった。このうち甘利経済産業相と若林農林水産相を含む16人は在任中に、20法人から計931万円の献金を受けていた。尾身幸次前財務相、高市早苗前特命相はすでに企業側へ返金し、松田岩夫元特命相も近く返金する。(江口悟、四倉幹木)
政治資金規正法は、国の補助金を受ける法人が交付決定通知受けた日から1年間、献金を原則的に禁じている。一方で、補助金の対象について「試験研究、調査または災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものを除く」と適用除外を規定している。補助金受給企業・団体からの献金は、自民党の政治団体「国民政治協会」が06年に109企業・団体から計7億8千万円を受け取っていたことが明らかになっており、国と企業などとの癒着を防ぐ規制が骨抜きになっている実態が改めて明らかになった。
06年分の政治資金収支報告書などによると、代表を務める自民党支部が、国の補助金交付決定を受けた法人から1年以内に献金を受けていた閣僚らは、現職では福田首相、町村官房長官ら8人。05年に発足した第3次小泉内閣と06年9月発足の安倍内閣では、安倍前首相や麻生太郎元外相ら16人で、24人への献金額は計1690円にのぼった。
福田首相や安倍前首相ら18人は、「適用除外に該当する」「寄付者が補助金を受けているかどうか把握することは事実上、不可能だ」などとして、献金に問題はないという考えを示した。3人は「事実を確認し対応を決めたい」と答えた。
献金していたのは建設、製紙、機械などの大手を含む36法人(述べ48法人)。06年に国土交通、経済産業、農林水産、環境、防衛の5省庁から新規事業支援など計70億円以上の補助金を受け、それぞれ5万~30万円を寄付していた。
即座に変換を
上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)の話 補助金受給法人の政治献金は政治資金規正法で原則禁止されており、適用除外に該当することが明白でない場合は違法だ。仮に適用除外に該当しても、閣僚在任中の補助金受給企業からの献金は、大臣規範で「職務に関して廉潔性を保持する」と規定されている通り、即座に返金すべきだ。
また、誰が補助金を受けたかや適用除外の定義が国民に容易に分からない現状のままなら規正法第1条にある「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」との立法目的に矛盾しており、適用除外の廃止が必要だ。>
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≪補助金受給の109企業・団体、自民に献金 計7億円≫(asahi.com/08.1.6)
<国から補助金の交付決定を受けた109の企業・団体が06年、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、計7億8000万円を献金していたことが朝日新聞の調べで分かった。政治資金規正法は、補助金を受けている法人からの政治献金を原則禁じているが、多くの企業・団体が「規正法の例外に当たる」と主張している。補助金受給法人が国との癒着を深めるために献金することを防ぐ規制が名ばかりとなっている実態が明らかになった。
政治資金規正法は、国から補助金の交付決定通知を受けた法人が1年以内に政治献金することを原則禁止している。一方で、「試験研究、調査または災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものを除く」と規定。適用対象も法人格を持つ組織に限定している。
各省から企業・団体への補助金交付状況と国民政治協会の06年分政治資金収支報告書を朝日新聞が調べた結果、補助金の交付決定後1年以内に同協会に寄付をした企業・団体数は109あった。自動車、電機、建設、鉄道などの日本を代表する大手企業が多い。寄付額は計7億8030万円で、同年に協会が集めた企業・団体献金の総額27億9903万円の4分の1以上を占めた。
これらの企業・団体が献金までの1年間に交付決定を受けた補助額は判明分だけで280億円にのぼる。経済産業、国土交通、環境、農林水産の各省の補助金で、目的も先端技術開発、新エネルギー導入や温室効果ガス排出削減などの設備投資、交通施設のバリアフリー化など広範囲に及ぶ。
献金額の多い20余りの企業・団体に国民政治協会への献金について見解を聞くと、大半が「補助金は利益を伴うものではなく規正法の適用外」と説明し、適法な寄付だと主張した。
だが、判明した補助金の中には、マンションの開発や起業支援を目的としたものも含まれ、技術開発でも製品化・実用化に向けて企業側が提案した事業に対する補助金が少なくない。
総務省は「その補助金が利益を伴うものかどうかは、個別の事業ごとに営利を助長しているかなどを詳しくみる必要がある」と説明している。
また、大手石油関連会社でつくる業界団体「石油連盟」は、経産省から06年度上半期だけで計約40億円の補助金の交付決定を受ける一方、協会に計8000万円を寄付していた。だが、同連盟は法人格のない任意団体のため規正法の対象から外れ、補助金についても「利益を伴わない」と主張している。
自民党は「企業からの寄付はすべて国民政治協会が受け、個別の寄付については承知していないが、法律の範囲内で適正に処理しているものと理解している」と説明。国民政治協会は「個別の企業の経済活動について逐一把握することは社会通念上、不可能だ」とし、政治団体側が補助金受給の有無や内容を確認することは難しいという見解を示した。 >
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