旧安倍派が自らの政治資金集めパーティの開催に当たってパーティー券売上に派閥所属議員にノルマを課し、ノルマ超えの売上は現金還付し、派閥と議員個人の両収支報告書に不記載処理して裏ガネ化としていた問題ではこの制度をいつ、誰が始めたのか、不記載処理は秘書が行っていて、議員本人は知らされていてなったこととしているのは事実か、衆参で政治倫理審査会の開催に漕ぎ着け、与野党議員が真相解明追及の質疑を行ったものの、彼らが望んだ成果を手にすることができなかったことは、却って謎が深まったとする質疑後の感想が証明することになる。
2025年7月予定の参院選の与野党の議席獲得の思惑も絡んで3月28日、参議院予算委員会は
真相を知るキーマンの一人と見て世耕弘成前参議院幹事長の参考人招致を全会一致で議決した。
招致を受ける受けないは任意だが、そこは世耕弘成、潔白を訴えた手前、怯むわけにはいかなかったのだろう、承諾し、2025年4月21日の参議院予算委員会での参考人招致が決まった。
各党議員の質問に入る前に参議院予算委委員長の自民党鶴保庸介が「質疑の重複を避けるため」としていくつかの質問を世耕弘成に対して行った。その全文を動画から文字起こして提示し
てみる。その必要性は鶴保庸介の質問に答えた答弁の中で世耕弘成は既に偽証と偽証の可能性のある発言を行っているからであり、にも関わらず、以後質問に立った全ての議員がその発言に触れずじまいにして遣り過してしまっているからである。
タダ飯食らいのなまくら追及とする理由の一つとすることができるが、このことの評価は読者委ねられる。
鶴保庸介(自民)「先ず私の方から参考人に対する質疑の重複を避けるために質問させて頂きます。なお、質問内容は各会派のご了承を、ご了解を得た上でのものであることをご理解を頂きたく存じます。先ず一つ目でございますが、政治とカネの問題、解決に向けた参考人の認識についてでございます政治とカネの問題はこれからの政治の在り様に関し全議員が考えていかなければならない重要な論点だと考えます。
参考人は総理を目指すと公言しておられますが、参考人なら今般の政治とカネの問題をどのように解決させるのが適当だと考えておられますでしょうか。現在も企業団体の献金について全面禁止という立場から禁止より公開というものまで様々な考え方がございます。
参考人がこの点について、どのような政治のあるべき姿を描いておられるか、まずお聞きしたいと思います」
世耕弘成「久しぶりに参議院に来させて頂きました。先ずですね、冒頭鶴保委員長からご質問があった、今回のこの私の所属をしていたですね、政策集団の還付金の問題で大きな政治不信をですね、起こしてしまったということに関してはですね、元幹部であった1人として大変な責任を感じております。大きな後悔もしています。自分の資金管理団体の会計も含めですね、元幹部としての自覚を持ってきちっとした処理をされてるのかどうかということをですね、 しっかりチェックをしていれば、もっと早い段階で見つけることができた、そのことを大変反省をしているわけであります。
その上でですね、今後は政治資金の透明化にですね、やはりこれだけ大きな問題を起こした政策集団の幹部だった者としてですね、先頭に立っていかなければいけないというふうに考えております。
現に私の事務所の会計のあり方についてもですね、抜本的な見直しを行いました。毎月使途ののチェック、あるいは帳簿上の残高と預金・現金の残高が1円と問わず合ってるかどうか、こういったことをチェックをしますし、それぞれの支出がですね、政治資金の支出としてふさわしいのかどうか、こういうことも議論するなど、まず隗より始めよの精神で私の事務所自身もですね、今抜本的に改善をして、こういうこと二度と起こさないようにさせて頂いているところであります。
また鶴保委員長からご質問があった企業献金の問題についてこれは各党・各会派で、今真剣な議論が行われてるということだと思いますが、私は今、無所属という立場でありますので、政党とは関係なく、私個人の考え方を申し上げさせて頂くと、私自身はですね、実はそもそも政治資金規制法のですね、趣旨はですね、やはり企業献金はダメだという姿勢・スタンスだと思っています。政党支部を経由した場合に例外として認められている。ですから、私、実は若い頃からですね、基本的に企業献金を貰わないようにしておりました。どうしても団体として献金をしたい、団体としてしかできないという一部のかなり公益性の高い団体からは頂いております。ま、三つぐらいだと思いますけれども、それ以外は私の事務所っていうのは献金に関しては全て個人献金で運営をさせて頂きました。
もちろん、セミナーという形でですね、事業収入もありますけれども、収入のかなりの部分は個人献金でやらせて頂いてるところであります。これはあのしっかり努力をして、お願いをしていけばですね。本当に1口、年に5000円という方も含めてですね、広く薄く個人献金を、それなりに手間がかかりますが、地元の秘書も大変だと思いますけれど、 やはりそういう方向へ私は持っていくのが今回の事態を受けての方向性ではないかなと思ってます。
これはもう無所属の一人の議員の立場の意見として申し上げさせて頂きたい。今回の反省に立って私はもう個人献金でしっかり頑張っていくという姿勢をこれからも貫いていきたいというふうに思います。以上です」
鶴保庸介委員長「二つ目に令和4年8月の安倍派幹部会合に関する証言の食い違いにつきましてであります。派閥のカネについて伺います。パーティー券収入の還流につきましては令和4年4月に当時安倍派会長であった安倍晋三元総理の指示で一旦は中止されたものの、同年7月の安倍元総理逝去の後、再開されたという事実が明らかになっております。この点、本年2月27日に衆議院予算委員会が当時の安倍派会計責任者松本淳一郎氏に聴取を行ったところ、松本氏は再開が決まったのは令和4年8月の安倍派幹部による会合であったと証言されました。
一方、この証言にある8月の幹部会合に出席していた世耕参考人は昨年3月14日の参議院政治倫理審査会に於いて同会合で還流の復活が決まったということでは断じてないと答弁されておられますが、松本氏との明らかに食い違いが生じてしまっております。なぜ松本氏と参考人との間にこの証言に食い違いが生じているのか説明を求めます」
世耕弘成「2月27日の衆議院の予算委員会の参考人としてですね、清和政策研究会の元事務局長が8月5日、これは塩谷先生、下村先生、西村先生と私と松本事務局長が揃った集会、会合で還付が決まったという旨の証言をされました。
私の認識は違っておりましてですね、このときの議論はもう4月に安倍先生からノルマ通りに売れと、還付はやめるという指示が出ていたので、そこは守らなければいけない。だから、いわゆる今までのような還付はダメ、現金による還付はあり得ないというのがこの場の私はコンセンサスだったと思ってます。
だけど一方で5月のパーティーを4月にノルマ通り売れっていう指示が出たものですから、実はもうその前に売ってしまった人がたくさんいる。 そのことが8月5日に報告をされました。 で、私はそのときはですね、いや、だけど、安倍先生の指示はノルマ通りに売れという指示だったんで、これはもう何も返す必要もないし、派閥の方で使えばいいじゃないかという主張をさせて頂きました。
しかし一方で別の議員からはですね、いや、これを毎年のことで政治活動の資金としてですね、もう既に収入として見込んでいる人たちがいるんで、政治活動に支障になってはいけないので、何らかの資金的対応はいるんじゃないか。
でも、現金による還付はダメだよね。では、どういう返し方があるかというのでパーティー券をですね、各議員が、議員個人が開くパーティー券を派閥が買うという形でオーバー分を返していけばいいんではないかという案が出まして、私 それだったら異論はありませんよという形でその会合は終わっております。
で、なぜ松本局長が8月5日に現金による還付が決まったと思ってるのか、ここはよく分かりませんが、逆にそうではないという少しエビデンスをお話しさせて頂きます。
ちょっとここ重要なところなんでお話しさせて頂きたいと思いますが、8月5日の4日(よっか)後頃ですね、8月9日に私と松本局長の間でメッセージアプリで遣り取りをさせて頂いてます。8月9日の13時3分の私からメッセージを送りました。
それはですね、そのときノルマをオーバーしてますよと聞かされた15名の議員、これは私は8月5日、恐らくメモを取って帰ったか何かだと思いますが、それぞれのパーティーの日取りを確認して、それを一覧表にして、事務局長に8月9日13時3分に送っております。
ちょっと、全部読むと長くなります。冒頭は私で、世耕弘成で対応する。続いてB議員、A議員小規模のセミナーを新規に実施するので対応を。C議員、いや、B議員対応不要、 C議員次回括弧8月20日セミナーで対応を。
B議員、次回10月19日セミナーで対応という形で15人分を書かせて頂いております。私はこの時点ではパーティー券をそれぞれの議員のパーティー券を買って返すというコンセンサスができているというふうに思っていたので、こういうメールを送りました。結構8月9日というのは忙しい日でしたけども送りました。それに対して松本事務局長からは18時13分にですね、『世耕さま、了解です。色々とありがとうございます』という返信が来ています。さらに私はもう一つ、ある一人の議員はもうパーティーの日取りが8月下旬に迫っていましたので、『議員はパーティーの日にちも迫っていますので宜しくお願いします』と送信をさせて頂いてます。
もし8月5日の日にですね、現金による還付が決まったんであれば、この私と事務局長の間の8月9日の遣り取りというのは発生しないわけでありました。ですから、私は決まったという認識はない。しかし、私の反省点はですね、一つは8月の5日の会議でもっとしっかり決めておけば、よかったと思ってます。何となくっていう感じで、尻切れトンボで終わっていた。だからそこに認識のズレが出てきたと。
もう一つの反省点は8月9日、この『世耕様、了解です』という事務局長からのメッセージに私は安心してしまった。これでパーティ券を購入して、ということは即ち派閥の収支に出る形で還付が行われるんだということで安心をしてしまって、そのあと何のチェックもしなかった。
この後ですね、数日後に事務局長に連絡を取って、あれどうなったと言って、やっぱり『現金還付ってことになってますよ』と言ったら、それは違うでしょっていうことを言えたんです。そのことを私はもっと幹部としての責任感を持って、もっと一人称でしっかりこの問題に向き合っていればですね、こんにち皆さんに大変な疑念を持たれてるような、この8月5日に還付が決まったんじゃないかっていうようなことが発生しなかった。
この年、現金による還付なんていうことはですね、行われることはなかったんじゃないかということで、これはもう深く悔いて、反省をしている、そういう部分であります」
鶴保庸介委員長「三つ目の質問です。還流への関与に関わる事実関係でございます。世耕参考人は昨年3月14日の参議院政治倫理審査会に於いてパーティー券販売のノルマ販売枚数、還付金額、ノルマ超過分の還付方法については関与したこともない旨と弁明されました。
一方、その後同審査会では複数の安倍派議員が令和4年4月の還流中止に関し、参考人から指示や連絡があったと証言をされておられます。
参考人が当時安倍会長の意向を受け、還流中止に関する指示や連絡を行ったことが事実であるとすれば、参考人はなぜその時点で還流の実態や還付方法について確認をされなかったのでしょうか。還付中止の連絡に関わる事実関係と当時の参考人の認識を伺います」
世耕弘成「私がですね、派閥の資金の運営について何らかの相談を受けたというのは、実は今委員長がおっしゃった2022年4月の安倍会長が収集された会合が初めてでした。で、そのときにですね、もうこれからはノルマ通りだと、還付というものはやめる。現金による還付はやめるっていうことを言われましたので、私は参議院側の安倍派の議員全員に電話をして、今年はノルマどおりってことになったようだからという連絡をさせて頂きました。
今、委員長が仰るようにですね、そのとき私は気づくチャンスの一つだったと思っています。但しそこは私もあんまり認識が甘くてですね、自分のところは還付はないと思ってた。自分のところはノルマ精一杯。秘書が『ちゃんと売れてます』という返事を事務所の方から貰っていたので、自分のところはオーバーがないから、まあ、関係ないというような感覚でですね、非常にそこは発見する。これはこういうことが行われているのかっていうのを自分で掌握する大きなチャンスをですね、少し認識が甘くて逃してしまったというふうに思っております。あの深くそこも反省しているところでございます」(頭を下げる)
鶴保庸介委員長「はい、ありがとうございました。時間が迫っておりますのでまとめます。
政治資金収支報告書の不記名問題、世耕参考人ご自身の政治資金報告書に不記載があるというご指摘もあります。 また、国民への説明責任、国会審議影響を及ぼしたことについての責任をですね、どう感じるかという質問もあります。これらにつきましては各委員の質問に委ねたいと思います。時間が来ておりますので、委員長の質問を終わります。ありがとうございました。
それでは世耕参考人に対し、質疑のある方に順次発言をいただきたいというふうに思います」(以上)
鶴保委員長の「二つ目の疑問点」は、2022年4月の安倍晋三出席のもと、安倍派幹部の西村康稔、塩谷立、下村博文、世耕弘成の4人と安倍派事務局長松本淳一郎参加の場で安倍晋三指示により現金還付中止が決まったものの、安倍晋三同年7月死後の同年8月の安倍晋三を除いた同メンバー集合の会合で現金還付の再開が決定されたのではないかとの疑惑が生じていることに関して幹部全員は決定していないと否定しているが、2025年2月27日の衆議院予算委員会で参考人招致を受けた8月当時の安倍派会計責任者松本淳一郎が「再開が決まったのは令和4年8月の安倍派幹部による会合であった」と証言、幹部4人の証言と食い違いを見せるている点であり、そのことについての説明を世耕弘成に求めた。
但し松本淳一郎は還流の再開を求めた幹部を、「現職の議員ではありません」と証言している。該当する議員は裏ガネ疑惑に関連して自民党から離党勧告を受け、離党届を出して政界引退を表明した塩谷立と、同じく裏ガネ疑惑から党員資格停止処分を受けて2024年10月の衆院選に無所属で立候補したものの落選した下村博文の2人となるが、下村博文は国会に戻って来る可能性はなきにしもあらずだが、引退した塩谷立はその可能性はほぼゼロと見て、生贄の羊とした疑いは捨てきれない。
世耕弘成は2022年4月の会合について、安倍晋三から「もうこれからはノルマ通りだと、還付というものはやめる。現金による還付はやめるっていうことを言われました」と説明しているが、単に「やめる」とだけ言ったわけではなく、2024年3月1日の衆院政倫審で安倍派としてはトップバッターに立って証言することになった幹部西村康稔は自民党の武藤容治に対して、「兎に角、現金は不透明で疑念を生じかねないから、こうして現金の還付はやめると、まあ、還付そのものをやめるということで、我々方針を決めて対応したわけであります」と答弁している。
いわば安倍晋三はノルマを超えた分の現金還付制度の性格に触れた上で中止を指示したのであって、その場に同じく出席をしていた世耕弘成、下村博文、塩谷立も、その性格を耳にしていて、耳にした性格に基づいて中止という事態に何らかの思いを持つか、あるいは解釈を施したはずである。
当然、幹部それぞれが還付現金の収支報告書不記載処理を承知していたことなのか、承知していなかったことなのかによってそれぞれの思いや解釈は異なってくるから、逆に承知していたか、承知していなかったかを究明するにはそれぞれの思いや解釈の徹底的な追及の上、証言の食い違いを誘い出して真相究明へと持っていくよう図らなければならない。
だが、これまで与野党議員の誰もがこの追及方法を採っていない。
世耕弘成は4月に安倍晋三から現金還付中止の指示が出たことを受けて、8月の会合は、「現金による還付はあり得ないというのがこの場の私はコンセンサスだった」、いわば幹部4人と事務局長の松本淳一郎併せて5人の意見の一致だったとする一方で還付現金を政治資金として織り込み済みの議員には何らかの資金手当てが必要と考え、「各議員が、議員個人が開くパーティー券を派閥が買うという形でオーバー分を返していけばいいんではないかという案が出まして、私 それだったら異論はありませんよという形でその会合は終わっております」との説明で松本淳一郎の8月の会合で現金還付再開が決まったとする証言を否定している。
否定の証拠として、「それぞれの議員のパーティー券を買って返すというコンセンサスができているというふうに思っていた」ことを根拠にした8月5日の会合4日(よっか)後の8月9日に松本淳一郎と遣り取りしたメールのコピーを提示、議員個人の政治資金集めパーティーのパーティー券を派閥側がノルマ超えの還付現金額に相当する分を買い取る手配を依頼した内容であることを明かした上で松本淳一郎側から、「世耕さま、了解です。色々とありがとうございます」と返信されたメールを示している。
世耕弘成のこの証言を疑い、追及した議員は今回、誰一人存在しない。
このような内容でメールするについては少なくとも4月と8月の会合に出席した幹部4人の間でこの手の資金手当についての是非を議論し、事務局長の松本淳一郎の納得を得ながら合意を見てから、松本淳一郎に派閥として今後はこの方式でいくことを委託していなければならないし、派閥所属議員に対しても、新しい資金手当の方法として、周知徹底しなければならない。
だが、そのように図ったとする説明は見当たらない。
大体が世耕弘成は2024年3月14日の参院政倫審では8月の会合でどういった資金手当にするかについては、「このとき何か確定的なことは決まっていません」と証言していて、明らかに矛盾が生じることになる。
西村康稔も上に挙げた衆院政倫審で、「結局結論は出ずにですね、私は8月10日に経済産業大臣になりましたので、事務総長を離れることにもなります」と、結論は出なかったことを証言しているし、塩谷立も、「中には今年に限っては数字は継続するのはしょうがないかなというような話合いがされたわけでございまして。具体的にその先程のパーティ券を個人のパーティーにどうする、こうするなんていう具体的な話はあまり詰めた話はなかったわけで、その中で継続して還付されたというふうに理解しております」と、同じく結論を出して決定に至ったわけではないことを証言しているし、下村博文も、「8月には復活をしないという前提で議論をしていって、ただ結論が出なかった」と証言している。
要するに世耕弘成は2024年3月14日の参院政倫審で8月の会合について、「このとき何か確定的なことは決まっていません」、いわば結論は出なかったとしながら、全員一致の結論を得た資金手当の方式であるかのように見立てて、その権限もないのに松本淳一郎とメールの遣り取りをしたことになる。
この明らかに虚偽答弁と取れる矛盾を解くとしたら、幹部の誰かが、あるいは世耕自身が現金還付再開を決めたわけではないことの明らかな物的証拠としてメールを持ち出したのは明瞭だから、このことの裏をそのまま返すと、最低限、幹部の誰かが、あるいは世耕自身が現金還付再開決定の標的とされることを避ける証拠物件として提出したということであろう。
このような推測の障害は物的証拠過ぎる物的証拠であるメールの存在となるが、捏造であることを疑って、「日付を変更してメールを送信する方法」はないか、Googleで検索を掛けたところ、その方法が紹介されていて、簡略化すると、次のようになる。
「コントロールパネル」Click→「時計と地域」Click→「日付と時刻」Click→「日付と時刻」画面の「日付と時刻の変更(D)」Click→「カレンダー」の表示→カレンダーの日付を遡って、任意の年の任意の月日をClick→「OK」→「日付と時刻」画面、「OK」
そのままメールを送れば、任意の年日付と時刻が反映される。試してみたら、そのとおりとなった。
因みにスマホでも過去・未来、好きな日時設定を可能とする方法が紹介されている。
大体が世耕が提示したメールで明らかなように派閥が議員個人の政治資金集めパーティーのパーティー券を購入してノルマ超えの金額を消化する方法が松本淳一郎も承知することになった方法であるとするなら、それが現実には採用されることなく、4月の会合で安倍晋三の指示で現金還付の中止が決定し、8月の会合以後に再開されたことになっている証言との矛盾を世耕弘成はどう説明するつもりなのだろうか。
4月の会合も8月の会合も作り話で、現金還付は中止されることなく継続していたとする見方からすると、単なる虚偽答弁を超えて、大仕掛けなペテンに類することになる。尤も実際にはしなかったこと、できていなかったことに対して事務所の会計全般を、「しっかりチェックをしていれば、(収支報告書不記載を)もっと早い段階で見つけることができた」と不可能を可能であったかのような言いくるめを得意とする世耕弘成の性格面からすると、メールを利用して自身が現金還付再開者ではないことを装うことぐらい朝メシ前なのだろう
「結構8月9日というのは忙しい日でしたけども(メールを)送りました」とか「『(何々)議員はパーティーの日にちも迫っていますので宜しくお願いします』と送信をさせて頂いてます。
」等、ウソも手が込んでいる。
もしこの両者間のメールの遣り取りを事実とするなら、世耕弘成は2024年3月14日の政倫審での、他の3人の幹部にしても、各政倫審での8月の会合に関わる証言を雁首を揃える形で打ち消し、メールの内容どおりの現金還付に代わる方式に全員一致で結論を得たこととしなければ整合性は取れないことになるが、1年以上も経過してからの証言の変更自体がセンセーショナルな事態を引き起こすことになるが、そこは世耕弘成、ちゃんと着地点を用意している。
その着地点に触れる前にさらなる問題点を指摘しなければならない。それも決して見逃すことはできないより大きな問題点であって、「もう一つの反省点は8月9日、この『世耕様、了解です』という事務局長からのメッセージに私は安心してしまった。これでパーティ券を購入して、ということは即ち派閥の収支に出る形で還付が行われるんだということで安心をしてしまって、そのあと何のチェックもしなかった」としている証言発言である。
8月5日会合4日(よっか)後の8月9日の時点で、「派閥の収支に出る形で還付が行われる」と推測できる認識は派閥の収支に出ない形で還付が行われていた事実の把握を前提としていなければ成り立たない認識となる。
要するに世耕弘成は還付現金の収支報告書不記載を2022年暮れの報道で知ったと政倫審で証言しているが、上の証言では元々から還付現金の不記載処理を知っていたことになり、それが自身が現金還付再開の決定者ではないことを装う虚偽のストーリー作りに気を取られて思わず口を突いてしまった可能性は否定できない。
自身を含めた各幹部の政倫審での8月の会合に関わる証言を変更しないで済む着地点の役割を、自分からメール自体を否定する文言となるが、次の発言が果たしている。
「この後ですね、数日後に事務局長に連絡を取って、あれどうなったと言って、やっぱり『現金還付ってことになってますよ』と言ったら、それは違うでしょっていうことを言えたんです。そのことを私はもっと幹部としての責任感を持って、もっと一人称でしっかりこの問題に向き合っていればですね、こんにち皆さんに大変な疑念を持たれてるような、この8月5日に還付が決まったんじゃないかっていうようなことが発生しなかった。
この年、現金による還付なんていうことはですね、行われることはなかったんじゃないかということで、これはもう深く悔いて、反省をしている、そういう部分であります」――
安倍派清和政策研究会という一大派閥の会計責任者兼事務局長たる人物がメールで、「世耕様、了解です」と請け合っておきながら、一転して「現金還付ってことになってますよ」では会計責任者兼事務局長としての責任感の点であり得ない整合性の不一致となるばかりか、あり得ない背信となるが、無理やりに自己正当性を打ち立てようとすると、自分から墓穴を掘ることになる。
鶴保庸介委員長は「三つ目の質問」として安倍晋三の現金還付中止の指示を受けて参議院自民党議員にその旨を連絡する際、安倍晋三にということなのだろう、「還流の実態や還付方法について確認」しなかったのかと問い質した。
要するに安倍晋三の指示と連絡の間に人間の自然な感覚としての中止に対する、あるいは現金を用いた還付に対して、"なぜ"という思いを内心に発して、その"なぜ"を解くために直接言葉にして安倍晋三に問い質さなかったのかを尋ねた。
特に安倍晋三は「現金は不透明で疑念を生じかねない」とその制度の性格に触れている以上、
その性格に対応した"なぜ"でなければならない。
「(4月の会合は)私の目からするとこれは話し合ったというよりは安倍会長の決定を伝達された。私はそれを参議院側に伝えて欲しいということで呼ばれたというふうに認識をしています」――
以上の文言から世耕弘成は還付中止決定の伝達を受けて、安倍晋三が触れた「現金は不透明で疑念を生じかねない」としたその性格を前提に中止の理由を安倍晋三に尋ねなかったことは明らかであるから、何も考えずに、何も思わずにその伝達を参議院の安倍派所属各議員に中止の事実だけを機械的に連絡したことになる。
そのような連絡に関連付けられる形で、伝えられた議員側から発せられるべき中止の理由に対する「なぜですか」と問う、当たり前の感覚の持主なら口にする姿も、世耕の証言からは見えてこないのは当然の姿となる。
この不自然過ぎる展開を読み解くとしたら、世耕弘成は還付現金の収支報告書不記載を承知していたとする答しか出てこないが、だからこそ、その違法性に如何なる感覚を働かせた様子を見せずに単に連絡したと表面的な事実を伝えるだけにとどまらざるを得なかったのだろう
だが、いずれの感情も窺わせることがないだけではなく、それよりも何よりも人間としての自然な感覚を働かせることもなく、大の男でありながら、あるいは安部派幹部でありながら、自身を伝達ロボットのように扱っている血の通いを感じさせない無機質さは4月の会合自体の存在を疑わしくさせる。
鶴保庸介委員長の疑問に答えた世耕の発言は2024年3月14日の参議院政倫審での答弁と変わらない。先ず鶴保庸介委員長に対する答弁を前半と後半に分けてみる。先ず前半。
「私がですね、派閥の資金の運営について何らかの相談を受けたというのは、実は今委員長がおっしゃった2022年4月の安倍会長が収集された会合が初めてでした。で、そのときにですね、もうこれからはノルマ通りだと、還付というものはやめる。現金による還付はやめるっていうことを言われましたので、私は参議院側の安倍派の議員全員に電話をして、今年はノルマどおりってことにえなったようだからという連絡をさせて頂きました」――
この答弁に対応する3月14日参院政倫審での前半の答弁。
「ノルマ通りの販売にする。即ち還付金はやめると、安倍総理が宣言をされたとき、その時点では私は還付金を自分が貰ってる認識がありませんでしたので、どういう形態でやり取りされてるか、あるいは収支報告上、どういう扱いになってるかということをですね、私自身思いを致したことがありませんでした」――
両答弁共に中止に対して発せられて然るべき"なぜ"という思いも、「何かあったのですか」と
自然な感情として問うこともない不自然さは際立っている。特に参院政倫審でのこの答弁は自分一人の問題ではないにも関わらず、「私は還付金を自分が貰ってる認識がありませんでしたので」と自分一人の問題に納めることができる態度は安部派幹部の体裁を成していないことになって、この点からも4月、8月の会合が実在した会合なのか疑わしくさせる。
ところが一転して8月の会合ではノルマを超えて売り上げた若手議員や中堅議員に対する何らかの資金的対応が必要だと派閥の全体的問題とする矛盾を平気で曝している。
この4月の会合での自分一人の問題に納めている点は鶴保庸介委員長に対する答弁でも同様に見せている。
「今、委員長が仰るようにですね、そのとき私は(不記載に)気づくチャンスの一つだったと思っています。但しそこは私もあんまり認識が甘くてですね、自分のところは還付はないと思ってた。自分のところはノルマ精一杯。秘書が『ちゃんと売れてます』という返事を事務所の方から貰っていたので、自分のところはオーバーがないから、まあ、関係ないというような感覚でですね、非常にそこは発見する、これはこういうことが行われているのかっていうのを自分で掌握する大きなチャンスをですね、少し認識が甘くて逃してしまったというふうに思っております。あの深くそこも反省しているところでございます」
「自分のところはオーバーがないから、まあ、関係ないというような感覚」だと、自分一人の問題に納めている以上、一方で不記載を発見する、あるいは掌握する大きなチャンスを少し認識が甘くて逃してしまったと見せている反省点を心の底からの感情と見ることはできない。一大派閥安倍派幹部としての責任感も義務意識も窺うことはできない。実際に存在した会合なら、こういった感情の欠落を見せる不自然な事態は曝すこともなく、安倍派全体の大きな問題だと受け止めていたはずだ。
この見せ掛けの反省に対応する3月14日の参院政倫審での同種の反省が、「今から思えばそのときチェックをする一つのチャンスだったなというふうに思って。ただ、ここはもう話し合いとか違法性を議論する場ではなくて、ノルマ通りの販売とするという指示が伝達された。そういう場だったというふうに思っています」
指示の伝達に対してどのような感情の働きも、疑問の思いも起こさず、指示されたとおりに機械的に動いた。つまり幹部たちは一個一個の当たり前の人間としてその場に存在していなかった。実際にあった会合なら、考えられない非現実的な状況に自分たちを置いていた。
だが、真相究明の与野党の追及者たる議員たちは追及を受ける側の奏でる言葉が織りなす表面的事実だけを掬い取って追及するから、巧みな言葉の操りを受けてかわされ、埒のあかない堂々巡りが展開されることになる。
結果、タダ飯食らいのなまくら追及といった様相を呈することになる。