小沢一郎「新報道2001」出演、菅内閣のマニフェスト修正を語る(1)

2011-01-21 11:11:59 | Weblog


 1月16日(2011年)日曜日、小沢一郎元民主党代表がフジテレビ「新報道2001」に出演、政治倫理審査会出席問題やマニフェスト修正問題、二大政党制や小選挙区制、その他を話した。多くが視聴したと思うが、記憶に残しておくために前半部分の政治倫理審査会出席問題とマニフェスト修正について語った箇所まで文字化してみた。

 読めば理解できることで、必要がないために解説を一言も加えないことにした。

 アナウンサーは須田哲夫アナ、吉田恵あな、コメンテーターに平井文夫フジテレビ報道局専任局長。そして脳科学者の茂木健一郎。

 その前に昨1月20日(2011年)の夕方のNHKニュースがアメリカのルース駐日大使を始め、各国の大使を集めて行ったという菅首相の「歴史の分水嶺に立つ日本外交」と題した外交演説を伝えていた。

 どうせいつも言っていることの繰返すに過ぎないと見ていたら、「平成の開国」だ、TPPだ、「日米基軸」だ、案の定ほぼ同じ繰返しに過ぎなかったようだ。招待を受ければ断るわけにいかず出席し、既に情報とし手に入れていたこととたいして変わらないことを聞かされた各国大使にしたら、コーヒータイムだ、トイレットタイムだと称して席を立つこともできず傍迷惑したのではないだろうか。

 2010年9月24日午後(日本時間25日未明)の国連総会演説では前のオバマ大統領の演説では立見まで現れ、びっしりと壁を覆って見えなくする程に大勢がその演説を聞き入ったが、次の菅首相の順番になると、逆に壁を覆っていた大勢ばかりか席に座っていた大勢も立ち上がって、コーヒータイムなのかトイレットタイムなのか議場をガラガラにしたが、今回の外交演説ではそういった自由行動ができる自由な雰囲気は許さなかったろう。

 なぜなら国連総会の場合はオバマ大統領との比較で止むを得ない、あるいは当然とすることはできても、今回は演説者は菅首相一人でそれが効かないことと、国連総会の場合は自発的出席だが、今回は招待された出席で、招待した側に時間と行動がほぼ拘束されることが原因の退場なしといったところで、出席者を相当な我慢を強いられたに違いない。

 NHKテレビは普通は通常国会の施政方針演説の中で外交所信を述べることになっているが、現職の総理大臣がこういった形で外交演説を行うのはあまり例がなく、その理由として尖閣諸島沖の衝突事件などで国民に広がった外交手腕への懸念を払拭する狙いがあったのではないかと解説していた。

 これは菅首相の合理的判断能力を欠いていることからきている相変わらずの勘違いだろう。所詮演説など、能書きに過ぎない。外交手腕に懸念を持たせたのは外交問題に遭遇した現実の場面で一国のリーダーとしての毅然たる態度を示して将来に亘って国益に添うと思わせる外交処理を施すことができなかった本人の外交能力の適格性であって、演説の能力とは関係しない。

 その懸念を払拭するには不完全な処理に終わった現実の外交問題をより完全な処理へと修正していく外交手腕を同じく現実の外交場面で発揮できるかどうかにかかっているのであり、さらには新たな外交問題に遭遇したとき、同じ過ちを繰返さない的確な外交処理を行う外交手腕の発揮にかかっているのであって、現実の外交の場面から離れた場所で行う演説の能力とはやはり関係しない。

 このミスマッチは外交能力の国民向けの発信は現実の外交場面で示す外交手腕、外交姿勢そのものが国民向けの発信となっているであって、記者会見や演説、講演で外交はどうあるべきかを発言することが国民向けの発信だと勘違いしていることから生じているミスマッチであろう。

 いくら各国大使を集めて日本の外交方針を話そうと、尖閣問題やメドベージェフ大統領の国後島訪問で日本国民や国際社会に植えつけることとなった菅首相の外交能力・外交手腕に対する国民評価も国際的評価も払拭することはできない。言葉が問われるのではなく、常にお手並み拝見が問われることになるからだ。

 では、「新報道2001」に入る。

 須田アナ「改造内閣のお話を伺う前に先ずはですね、こちらの言葉、ご紹介したしましょう――」

 『座右の銘 百術不如一誠』と書いたフリップを示す。

 須田アナ「実はこの言葉、小沢さんの座右の銘、いうことでよろしいですね」

 小沢元代表「はい」


 須田アナ「策をいくつも弄しても、一つの誠意には及ばないという、こういう意味だそうですが、小沢さん、この言葉がお好きな理由とはなんですか」
 
 小沢元代表「僕自身、色々とみなさんからご批判をたくさんいただいていますけれども(笑いながら)、自分は自分の正しいと思ったこと、またやるべきことはただひたすら、あのー、誠意を尽くすものを、尽くす、努力する、ということで貫いてきたんで、え、その言葉が私の大好きな言葉なんです」

 吉田恵アナ「さて、術と言いますと、一昨日内閣改造が行われました。こちらに新しい菅内閣の顔ぶれが並んでいるわけなんですが、官房長官に枝野さん。そして経済財政担当大臣に与謝野さんなど新たに入閣した閣僚は4人。留任や横滑りなど13閣僚が閣内に残ったということですが、平井さん、今回の改造内閣のポイント、どの辺りでしょうか?」

 平井文夫「あのー、菅さんは仙谷さんを更迭したので、これは挙党一致の助けになると思ったんですが、後任が枝野さんなので、小沢さんいらっしゃいますけども、脱小沢路線というのは恐らく続くということ。

 もう一つは与謝野さんが入ったということで、恐らくマニフェストの修正が進むと。小沢さん、この二つを見るとですね、なかなかこの挙党一致というってのは難しいんじゃないかと思うんですが、それよりも第一に菅さんがですね、小沢さんに対して裁判にもしかしたら専念した方がいいんじゃないかと、これはつまり党を出てってくれ、あるいは議員をやめてくれと言っているように聞こえるんですが、あのー、こう仲間からそういうことを言われるっていうのは、腹が立ったりしませんか」

 小沢元代表「(笑いながら)別に。あの、菅さんがですね、何をおっしゃっても、別に私は腹を立てたりしませんけれども。いずれにしても、あの、今一つ人事の話、ですけれども、人事はね、あのー、総理、総裁で代表の専権事項ですから、それはお好きなようにね、えー、おやりになればいいことだと思います。

 あと、それについて党員やね、議員がとやかく言う筋合いではないと、オー、評価は、あとは、この内閣が適正なものか公正なものか、その評価は主権者の国民が判断することですから」


 須田アナ「これは前から疑問に感じたんですが、挙党一致という言葉、これは菅総理が今回、何度もおっしゃっています。そして、小沢さんにも皆さん、これ、挙党一致が重要だという言葉を使っていながら、何か、あの、民主党の集まりを見ても、一枚岩には見えない。挙党一致の把え方の意味が違うんですかね」

 小沢元代表(軽く笑いながら)「いや、そんなことはないと思いますよ。みんな、やっぱりね、少なくとも、大多数の人は、折角国民のみなさんがね、えー、大変勇気を持って、政権を変えたわけですね。ですから、その熱い期待と言いますか、思いと言いますか、その国民のみなさんの、思いを、おー、我々は何としても、おー、現実の政治の上で、えー、成功させなくちゃいけない。

 だから、民主党政権ちゅうのは、まあ、いわば60数年ぶりに本格的な戦後初めての政権交代ですから、その意味で是非とも、民主党政権を成功させようと、いう思いはね、まあ、大多数の人は、同じだと思います」

 須田アナ「まあ、共有していると思いますけど」

 小沢元代表「はい。その意味で、あの、挙党一致っていうことは、その通りだと思っていますが、ただ、色んな、あー、手法や遣り方については、人それぞれありますからね、はい」

 茂木健一郎「小沢さんはね、小沢さんは古いタイプの政治家だって言う人もいるんですけど、僕はむしろ小沢さんを古いって言って、今、脱小沢と言われて、いこうとしている人たちって、挙党一致だとか、脱小沢っていう、この言葉が古く感じています。

 そこには、日本をどうしていったらいいのかっていうビジョンは、ないんですよね。だから、こういう言葉で日本の政権が語られちゃうって不幸じゃないですか、これ」

 小沢元代表「ですから、僕は、とにかく今は、あー、いつもとやかく言われている対象、それは私自身がやっぱり戦後の、特に体制、今までの自民党中心の体制を、おー、変えなくちゃいけないと、いう思いで、自民党を追ん出て、そしてようやく16、7年かかって本格的な政権交代になったんですから、ですから、そういう意味で私は、あー、国民のみなさんに約束したとおり、思い切って、古い体制、このシステム、制度そのものを、変革しなくちゃいけない、変えなくちゃいけない、ふうに信じてますので、その意味では旧体制のみなさんから批判を受けるのは止むを得ないことで、その一点を乗り越えていかないといけないなーと――」

 茂木健一郎「小沢さん、一誠は百術に勝ちますか?現代日本で」

 小沢元代表「絶対正義は勝つと、真心で勝つと、正義は勝つと、最後の勝利を得ると、いうふうに信じて――」

 茂木健一郎「今、どっちかと言うと、それ疑問ですね」

 小沢元代表「いや、僕はいつも使うんですけどね。ちゃんと、何事もお天道さまが見ていると。オー、天が見ていると。おー、ですから、夜陰に乗じてこそこそ術策を弄しても、必ず明るい朝が来るし、お天道さまがみているから、あ、正しい判断がいついつあると、まあ、そう信じてやってきていますから(静かに笑いながら)」

 平井文夫「あのー、古いとおっしゃったけど、確かに、菅政権が脱小沢しか言わないみたなとこがあって、これにちょっと国民が飽きてるかっていうかね、こう、やることちゃんとやってくださいって思ってると思ってるんですね。

 ただ一方で、やはり国民がちょっと小沢さんに対して怒ってるところもあってですね、ま、色々な政治資金なども色々ありますけれども、そこを、まあ、説明すべきなのか、ちゃんと謝るべきなのか、あのー、必ずしもその脱小沢と言っている人たちがおかしいじゃないような気もするんですけども、その辺りはどうですか」

 小沢元代表「ですから、今日、あのー、政策論議ということでお招きいただいたので、政策論議やその類いにはあの、なるべく、後の機会にしたいと思っていますが、『政治とカネ』って言うこと自体が僕はよく分からないんですね。みんな『政治とカネ』、『政治とカネ』ちゅう言葉遣いしますけれども、いわゆる、何を指して言っているのか、何が問題なのか、そういう議論はさっぱりないわけです。

 ですから、私は、あのー、そのことで言えば、1年以上に亘って、国家権力による強制捜査を私の後援会に関連して受けて、その結果、何もないということで、えー、捜査当局から、2度も不起訴になっていますから、事実は、何も不正なことしておりませんし、疚しいことはありませんので、何を言われても、その点は、あのー平気ですけれども。


 だが、あるいは、(この話を話を続けても)いいですか?ちょっと政治倫理審査会の話が、あのよく説明したらっていう話がありますんで。私はあの、政倫審に出ないとは一度も言ってないわけでしてね。ただ、あのー、検察の2度に亘って不起訴の処分出ましたけど、検察審査会という、仕組みの中で、もう一度公判でそれを明らかにしろと、そういう結論になったわけですね。

 ま、検察審査会というのは秘密のベールに包まれていて、どなたがどういう議論したのか全く分かりませんが、いずれにしろ、そういうことにシステム上なったと。ですから、司法の手続きがもう進んでいるわけです。そうしますと、おー、同じような問題で、えー、立法府で並行的に議論するのが、あー、本当にいいんだろうかと。憲法の三権分立(ぶんりゅう)のこともありますし、えー、公判に僕がもし出るとすれば、その公判廷に立つ立場の人権の尊重ちゅうこともあります。

 ですから、本来は司法の場に至ったら、直接司法の場で説明し、明らかにして、えー、ゆくというのが筋道だと、思って。

 ただ僕は、あの、政治家ですから、あの、その意味で、僕が国会で、えー、政治倫理審査会に出て、それで、何らかの政治的な効果、あるいは国民のみなさんが納得するとか、国会運営がスムーズに行くとか、いう何らかの政治的な効果があるとするのであれば、僕は政治家として、それは出席しますよと、いうことを去年暮れに岡田幹事長にも伝えましたし、それで政治倫理審査会の土肥委員長にも伝えました」

 須田アナ「文書なんか、出した」


 小沢元代表「文書で伝えました。それで、今言ったように、え、基本的には、筋道としては司法の場で明らかにする、――論争なんですが、政治家として、えー、みんなのお役に立つ、国会運営がスムーズに行く、私のことで国会運営が障害が来たりしちゃあ、それは申し訳ないと、ま、そのときはもうすぐ冒頭にも出私は出席しますよ。

 そうでない場合は、何と言ったって『国民生活が第一』と民主党は言ってきたんですから、良くも悪くも予算ちゅうのは国民の生活に一番密接、不可分のことですから、だから、僕のことよりも先ず予算の通過に、成立に全力を挙げて、その後に私が出席、いつでもしますと、いうふうに、まあ、私の意向を伝えました」

 須田アナ「少しここで、あの、政倫審の話でもう少し二三、お聞かせください。あの24日から通常国会始まるっていうことが一応決まりました。その政倫審に、えー、国会前に政倫審に出席する可能性っていうのは岡田幹事長も以前言っておりました」

 小沢元代表「だから、何で出席しなければならないのかちゅうのかなあ。だから、今言ったように筋道で言えば、憲法の精神から言っても、三権分立で司法で呼ばれようとしているところですから、立法府でお前のことを議論するというのは必ずしも妥当でない。筋道としては司法の場合は司法でやればいい。

 だけど、政治家だから、政治的に何らかの、役割を果たすことができるなら、私はあの、常会で出席しますよと。あのー、休会中に出席する理由、理由はちょっと」

 須田アナ「常会というのは開会されてからということですか?」

 小沢元代表「通常国会――」

 須田アナ「通常国会ですね」

 小沢元代表「委員会だだって何だって、原則的には国会開会中にやるわけですから」

 吉田恵アナ「24日に召集されるいうことになりますけれども、25日出席するとか、そういうことも――」

 小沢元代表「今申し上げたでしょう。メモ、見てください。僕が、その、早く出ることによって、国会運営がスムーズに行くとか、あるいは――、国民が色んな意味で納得するとか、そういう類いの状況であれば、私は、あの、冒頭でも、出席しますよと。そうでなけりゃあ、予算審議が先でしょうと。それは国民にとって一番大事なことだから」

 茂木健一郎「あの、脳科学者として思うことがあって、やっぱ小沢さんて、強面(こわもて)のイメージがあって、損してるんですよ。今おっしゃってることって、実は英語に直して、そのまま聞いても、国際的に通用するようなことをおっしゃっているんですよ、実は。プリンシプルなこと(原則的なこと)、ずうっとおっしゃってるんですよ。民主主義とは何か。三権分立(ぶんりゅう)とは何か」
 
 須田アナ「原則的なこと――」

 茂木健一郎「原則的なこと。そうだ、日本て、細かいことばっかり議論するんですよね。それこそ国会前に、政倫審に出るのかどうかとか。だから、僕、ずうーっと配してるのは、小沢さんのその強面のイメージで一術が、あの、百術がですね、一誠に勝っちゃうんじゃないかという。

 結果何か、細かい話ばかりして、あの、僕思うんですけど、日本の政治で、国民生活大変なんですよ。その中で、色々議論すべきことってありますよね。消費税の問題だとか、セーフティネットの問題だとかありますよね。どうやって少子高齢化を乗り越えるとか。

 その日本の政治課題の、まあ、自家相続の中で、はっきり言って、小沢さんが政治倫理審査会に出るかどうかってことって、1%もないんですよ、1%とか、そればっかりを議論して、何か人質に取られちゃってるって思いが強いんですよね。

 要するにどうでもいいって言っては申し訳ないんですけども、もっと議論すべきことってあると思うんですよね。地方分権の問題だとか」

 須田アナ「茂木さん――」

 小沢元代表「今日のテーマは政策論ですけども、現実にそのー、あのー、野党も、私のことは、あのー、勿論言いますけども、だけど、私の問題が、でもって、審議がどうのこうのというふうには野党も多分考えていないと、思うんですね。

 ですから、その意味で私が出ることによって、結果的に、あのー、いい効果があるときであれば出るし、その時期は、あのー、今言ったように優先基準で言えば、予算の論議、成立するのが一番大事じゃないんでしょうかっていうことです」

 須田アナ「それから改造内閣。この話に行きたいと思うんですが。その前にもう一点聞かせてください。

 あのー、強制起訴、という言葉、強制起訴が今月中にあると、言われているわけなんですが、強制起訴された場合、一部、これ、執行部の中にですね、離党勧告、これをすべきであるという意見もあるんですが、これについては如何ですか」

 小沢元代表「ですから、そういう類いのことは今日のテーマじゃないと伺ってましたから、その、人それぞれですから、あー、どなたがどう考えても、あのー、結構ですけれども、いわゆるさっき申し上げましたように、私は検察当局の1年以上の強制(捜査)を受けて、何もなしということになった。

 たまたま検察審査会という制度があって、それはあのー、これは、あのー、司法なのか行政なのか、よく分からないんですけれども、いずれにしても、11人の、1億人以上の中から、11人の審査委員が選ばれる。どうやって選ばれて、誰なのか、どうやってやるのかも、全く分からない。それから――、どういう議論をしたのかも全く、全部秘密のベールの中に閉ざされているんですね。

 だから、民主主義国家として非常に、あのー、特異な制度だと思うんですけれども、そいう中で、制度は制度ですから、結論が、あのー、公判の場で、裁判の方で、もう一度明らかにしようという結論が出たんですから、そこに従いますけれども、おー、いわゆる捜査当局による起訴とは全く異質のものでございますし、それから、あのー、政治家がそういう形で、強制起訴という形でもしなれば、今初めてのことでございますから、そういう意味で、私は制度がある以上は、そういう結論が出たい上は、それに従いますけれども、そのことは、あの、政治家も国民のみなさんも、おー、本当にこの際みんなで、えー、考えるべき問題だろうと思っています」

 《小沢一郎「新報道2001」出演、菅内閣のマニフェスト修正を語る(2)》に続く



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