民進党参議院議員小西洋之に対する現職自衛官の「国民の敵」呼ばわりに独裁政治に繋がる独裁意志を見る

2018-04-20 12:52:45 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 民進党参議院議員小西洋之が4月17日の参院外交防衛委員会で4月16日の夜、国会議事堂に近い参議院議員会館付近の路上で現職自衛官から「お前は国民の敵だ」などと罵声を浴びせられたことを明らかにしたと翌日のマスコミが伝えていた。

「2018年4月17日参院外交防衛委員会」

 小西洋之「昨晩私が現職の自衛隊員から受けましたまっとうな(ママ)遺憾な事件についてご報告と、また防衛省としての見解を聞かせて頂きたいと思います。

 昨晩の午前(ママ)9時頃でございますけれども、参議院の議員会館を出て国会議事、えっ?昨晩の午後9時前でございますけど、失礼致しました。

 参議院の議員会館を出て直ぐの所、国会議事堂の目の前の公道の場で現職の自衛隊員を名乗る者から私は、『お前は国民の敵だ』などと繰返し罵倒を受けました。

 えー、国会議事堂の目の前の公道であり、また職務質問を行う複数の警察官が集まってくれましたけども、そうした警察官の前でも、『お前は国民の敵だ』というふうな発言を繰返しました。

 私はその者に対して『国民である以上、当然、言論の自由があり、また私共国会議員は政治の批判を受けるのが仕事であるけれども、現職の自衛隊員であるのであれば、その自衛隊員の所属規則としての特別の服務にあなたは服しているはずだ。あなたのそうした発言というのは法令に反しするものがあるんではないか』ということで諭したんですけども、繰返しそうした発言を行いますので、『それをやめないのであれば、また、撤回をしないのであれば、防衛省にこの場で人事当局に通報する』ということを申し上げました。

 それでも発言をやめませんでしたので、止むなく防衛省の人事当局に通報を致しましたところであります。

 あの、人事担当の責任者から、私の携帯電話にその場で連絡が参りました。で、そのことを現職の自衛隊員と名乗る者に伝えました。まあ、防衛省に連絡する前に一度確認を取ったんですが、あの発言を撤回するのであれば、防衛省の人事当局に通報しないと。また発言を撤回するのであれば、あなたの名前や所属というものを言わずに、この場で私の中で、あの、二度とないということを確認して防衛省には通報しないということにしたんですが、彼はそれを拒みました。

 ただ、最終的には彼は改めまして発言を撤回するということを言いましたので、それはその場で収めたんですが、えー、今朝になってその本人から、現職の自衛隊員と名乗る者から了解を受けていた警察、麹町署から本人の所属部署を知るところとなりました。

 統合幕僚監部の現職の職員であるというふうに名乗ったということでございます。氏名も警察も聞いて、私も知っていますけども、氏名はこの場では控えます。

 この件についての昨晩の防衛省の人事の責任者の対応でございすけれども、実は私はその現場を立ち去ったあとの責任者から電話がありまして、あの、私、小西が『防衛省に通報しないことにしたということでですけれども、防衛省としてこのような事件があった以上は調査をしなければいけない、調査をする』ということを仰られました。

 また大臣にも(聞き取れない)聞いております。この間の防衛省の人事当局の対応というのは私は正しい対応であり、敬意を表すべき対応であると思います。

 ただ今朝になって、警察から所属を聞いたとき、統合幕僚監部、昨年の南スーダン、イラク日報隠蔽事件、また今回のイラク日報の件についても統合幕僚監部の責任が問われているところでございます。そしてその焦点はシビリアンコントロールでございます。

 昨日の自衛隊員の名乗る者にも直接言いましたけども、今から70年前、この国会議事堂の中の首相官邸で当時の軍部がクーデターを起こして、『お前は国民の敵だ、問答無用だ』と言って、犬養毅首相を暗殺し、また高橋是清大臣などを暗殺した事件、5・15、2・26、こうした事件が起きた。

 今シビリアンコントロール、自衛隊の在り方が問われている。そうしたさ中にあって、あなたの発言は自衛隊法の58条などに規定がございますけれども、そうした問題はないかということを散々諭しましたけれども、あのー、その者はなかなか態度を改めなかった。

 しかも統合幕僚監部職員だということでございます。あの、防衛省の官房長にお伺いしますけども、事実関係を調査の上、然るべき対処をする。私は一度武士の情けで、また働き盛りの隊員であるので、武士の情けで撤回を受け入れたんですけども、やはり所属、今の自衛隊と防衛省が置かれている状況を踏まえたときに国民との責任でこの問題をやはりしっかり、私は国会議員としての責任を果たさなければいけないということで、今日は質問をすることに致しました

 防衛省として責任を持った調査をするということで宜しいでしょうか」

 防衛省大臣官房長髙橋 憲一「先程委員ご指摘の件でございますけれども、現在調査をしておりますので、また調査が済んだ段階でしっかり報告をしたいと思っています」

 小西は再び現職の自衛官にふさわしくない発言だと問題にしてから、防衛相の小野寺五典の見解を問い正す。

 小野寺五典「この件については昨晩、私の方にもこのような事案があったということであります。ただ、この際小西委員の方はやはり相手がそこで、ま、自分の非を認めたということで、お話をされたと。大変温情のある話をされたんだと思っております。

 ただ私共の方としましては、もし仮にそういうことがあれば、やはり私共自衛隊員の服務の問題になりますので、事実関係を確認した上で適正に対応させて頂きたいと思います」

 小西洋之「大臣、宜しくお願いします」

 当座は一件落着――

 小西洋之はもう少し簡潔に質問できないだろうか。回りくどくてムダが多く、時間ばかり掛けている。「Wikipedia」によると小西洋之は46歳、徳島大学医学部に入学、2年中退、東京大学教養学部入学・卒業して、総務省の前身の一つ郵政省に入省、その後総務省職員となっている。

 まあ、野党議員が森友疑惑・加計疑惑で安倍晋三を寄ってたかって追及しながら、政治関与の決定的な証言を引き出すことができずにいる、その一人といったところだから、無理はない回りくどい、ムダの多い質問といったところなのだろう。

 小西洋之は質問の最初の段階で現職を名乗る自衛隊員の「お前は国民の敵だ」なる発言を「国民である以上、当然、言論の自由があり」と看做して、その発言を日本国民として日本国憲法で保障されている基本的人権の一つの行為に入れて当然視するが、その一方で自衛隊員の服務の点で触れることになると問題にした

 翌朝、麹町署から電話で、その自衛隊員が実際に現職であり、所属部署が統合幕僚監部だと知らされると、南スーダンの日報及びイラク日報の隠蔽問題で統合幕僚監部の責任がシビリアンコントロールという点で問われていると発言してから、「昨日の自衛隊員の名乗る者にも直接言」った話としてシビリアンコントロールに関わる70年前の5・15、2・26での軍部のクーデーターを持ち出して、現在の自衛隊も「シビリアンコントロール、自衛隊の在り方が問われている。そうしたさ中にあって」、自衛隊員の発言は自衛隊法58条等の規定に触れないかと、時系列があっちに飛んだり、こっちに飛んだりの、あるいはシビリアンコントロールを問題視しているのか、服務規程違反を問題視しているのか理解が難しい発言となっている。

 いずれにしても、「お前は国民の敵だ」なる発言を「言論の自由」だと認めた。

 小野寺五典の方は小西洋之の服務違反説に呼応したのか、「もし仮にそういうことがあれば、やはり私共自衛隊員の服務の問題になります」と服務違反説に則らせている。シビリアンコントロール説に則らないのは自衛隊に対する当事者側としてシビリアンコントロールの問題だと見ていないのか、その自衛隊員個人に関しては少しはシビリアンコントロールに触れる問題だと見ていたとしても、自分の方から火を焚きつけて大事(おおごと)にするようなことをしたくなかったから、シビリアンコントロールなる言葉を口にしなかったか、どちらかだろう。

 ところが、小野寺五典は2018年4月17日に記者団の前で自衛官の暴言を陳謝した上で次のような発言をすることになる。「NHK NEWS WEB」/2018年4月17日 17時06分)

 小野寺五典「不快な思いをさせたのであれば申し訳ない。国民の一人として当然思うことはあると思うが、それを口にするかどうかは自分が置かれた立場をおもんぱかって対応すべきだ」

 言っている意味を解釈すると、「お前は国民の敵だ」なる発言は「国民の一人として」の当然の思いであって、許されるが、その思いを口にするのは自身の立場を弁えなければならないと、口にしたことだけを問題視しているということになる。

 小野寺五典のこの発言を自衛官を擁護したものだと批判を受けることになった。文飾は当方。

 2018年4月19日参院外交防衛委員会

 猪口邦子(自民党)「さる4月16日、午後9時頃、防衛省統合幕僚監部に所属する幹部自衛官が参議院議員会館付近に於いて偶然遭遇した参議院議員小西洋之先生に対して暴言と受け取れる不適切な発言を行いました。

 この件につきましては昨日当委員会に於いて防衛省の豊田事務次官からお詫びと状況の説明がなされました。私たち国会議員は立場や意見が異なることがあっても、それぞれ主権在民の民主主義の中で主権者たる国民の負託を受けて仕事を致しております。

 このようなことを今後起こらないよう、防衛大臣には本件にしっかりと対応頂きたいと思いますが、如何でしょうか」

 小野寺五典「4月16日の夜に小西洋之参議院議員に対し在職自衛官が路上で不適切な発言を行った件につきましては小西議員に対して大変不愉快な思いをさせてしまい、改めてお詫びを申し上げます(猪口邦子の方に向かってなのか、頭を下げる)。

 自衛官本人が不適切な発言をしたことを認めており、このようなことは自衛官を含む防衛省職員としてあってはならないことです。本件について事実関係をさらに調査した上で関連した事実に基づき厳正に対処してまいりたいと思います。

 なお、私は不適切な発言をした自衛官を擁護してるんではないかとのご指摘がありますが、私としては先程申し上げたとおり、あってはならないことであると、不適切な発言をした自衛官を擁護するつもりはございません。

 勿論、自衛官にも国民として憲法に保障される内心の自由は認められるものの、自衛官としての身分上、例え勤務時間外であっても、その言動は気をつけなければならないことは当然でありまして、ましてや今回のような不適切な発言は決して認められるものではないと考えております。

 不適切な発言を行った者を擁護するつもりはありません。引き続き事実関係の調査を行い、厳正に対処してまいりたいと思います」

 この答弁のために出席していたのか小野寺五典と防衛局長退席。

 「自衛官にも国民として憲法に保障される内心の自由は認められるものの」とそれ以下の文言は4月17日に記者団の前で発言した、「国民の一人として当然思うことはあると思うが」とそれ以下の発言に趣旨を同じくさせて対応している。

 いわば小西洋之に向けて発した「お前は国民の敵だ」なる発言は「国民として憲法に保障される内心の自由」としては認められるが、口に出すのは自衛官である以上、勤務時間内・勤務時間外に関わらず認められないという意味を取る。

 断るまでもなく、「内心の自由」は日本国憲法第3章国民の権利及び義務 第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」との規定によって認められている。

 そして次のことも断るまでもないことだが、日本国憲法の規定は日本国籍を有する、いわば日本国民全員を対象としている。「内心の自由」は自衛官だけではなく、他の日本国民全員に保障されている以上、それを尊重しなければならない。

 勿論、「内心の自由」としての思想及び良心に対する批判は許される。但しその批判は合理的根拠に基づかなければならない。自身にとっての正当な理を尽くして、これこれこれだから、「お前は国民の敵だ」という論理を取らなければならない。

 このように理由と結論を筋立てた論理を展開させた場合の批判は許されるが、それでもなお日本国憲法が「内心の自由」=「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と全ての国民に保障している以上、相手が納得して批判を受け入れなければ、相手側の「思想及び良心」はそれはそれとして世に憚ることを認めなければならない。

 日本国憲法が全ての国民を対象とした保障である関係から、自身の「思想及び良心」に与(くみ)するかどうかにしても、相手の「内心の自由」に任されている相互関係性の意味を内包していることになる。いわば、その良し悪し、是非は他者との関係性で相互に判断しなければならない。

 ましてや恫喝や暴力で他者の「思想及び良心」を侵すことは憲法の保障を真っ向から踏みにじることになる。

 果たして件の現職自衛官は小西洋之に対する「お前は国民の敵だ」とする批判を理由と結論を筋立てた合理的根拠に基づいて突きつけたのだろうか。

 小西洋之の4月17日の参院外交防衛委員会での質問内容からすると、いきなり「お前は国民の敵だ」と罵ったふうに見て取れる。

 だとすると、自身の「内心の自由」としての「思想及び良心」を絶対として、小西洋之のそれを理由も結論も突きつけずに「国民の敵」として排除しようとする独裁意志を自ずと働かせていたことになる。

 独裁意志は自己を絶対とする考えから発して、一定組織内で自己絶対を確立し得たとき、独裁政治は始まる。

 独裁意志が現在のところ一人の問題であったとしても、自身の「思想及び良心」を絶対とする独裁意志を持った自衛官が存在する。この独裁意志が小西洋之のような外部の人間に対してではなく、自衛隊という内部の人間に働いた場合、同じ考えを持った仲間が形成されない保証はない。

 一定の勢力を持つことで、勢力に応じた権力を手に入れることになり、その権力を巧みに行使し、自分たちが絶対とする「思想及び良心」を次々に強要し、それが成功した場合、他の「思想及び良心」を支配していくことになる。

 軍部独裁はこのようにして成り立っていくはずだ。当然、ゆくゆくはシビリアンコントロールの問題にも関係していくことになる。

 現職自衛官はこのような独裁意志の芽を既に持ち合わせていて、現実問題としてその芽を小西洋之に対して見えない牙として剥き出しにした。当然、小野寺五典が言うように「国民の一人として当然思うことはあると思う」とか、「自衛官にも国民として憲法に保障される内心の自由は認められる」と、他者との相互関係性で見るのではなく、自衛官側の立場に立ってのみ発言するのは国民全体に対する奉仕者である国務大臣としての公平性に欠いていることになって、その資格を失う発言ということになる。  

 小西洋之にしても、「お前は国民の敵だ」の発言をただ単に「言論の自由」だと認めてはならないことになる。

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