今治市長菅良二の4月16日対記者団発言は柳瀬唯夫の首相官邸面会否定と「首相案件」発言否定の間接的否定

2018-04-17 10:50:34 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2015年4月2日に愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部が首相官邸を訪問。2016年11月、「今治市民ネットワーク」が今治市に対してこのときの訪問に関する行政文書の情報公開請求を行った。対して今治市は一部黒塗りで開示。首相官邸訪問の目的、応対者、応対内容は秘密に付された。

 今治市は2017年6月5日付で2015年から2016年にかけて行なわれた、2015年4月2日の首相官邸訪問を含めた今治市職員の東京出張の複数の報告書や2016年年10月20日及び2016年10月25日起案の獣医学部新設のスケジュール表を非公開とした。(「東京新聞」/2017年7月15日)

 いわば黒塗りで隠蔽した上に非公開という手段で隠蔽を徹底化させた。この経緯だけを見ても、そこに知られてはならない不都合な事実がどれ程に記されていたかが見て取れる。

 但し不都合な事実を如何に憶測されようが、実際の事実が知られなければ、それが事実に近い憶測であっても、憶測で片付けることができて、アウトとはならずに無事でいられる。そのための隠蔽なのだろう。

 犯罪で言うと、事実という決定的証拠を握られさえしなければ、容疑の状態(=憶測)が続くだけのことで、逮捕(=アウト)とはならずに無事でいられるのと同じ構図を取る。

 柳瀬唯夫の場合は、その無事は薄氷を踏む状態の危うい状況に至っているはずだ。

 2015年4月2日の首相官邸訪問の際の応対者、応対時の発言の要約、これらから訪問の目的を窺うことのできる文書が2018年4月10日付の朝日新聞のスクープによって世に出ることになった。愛媛県中村知事が2018年4月10日午後の記者会見で愛媛県職員が備忘録という形で作成した文書だと認め、その後、ほぼ同じ内容の文書が農水省に残されていることが判明することとなった。

 ここで注目されるのが一旦は黒塗りで公開したものの、その後非公開に転じた今治市の文書ということになるが、首相官邸での応対者として愛媛県の文書に名前が記されている当時の安倍晋三秘書官柳瀬唯夫は4月10日コメントを発表して、「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」と応対そのものと、柳瀬唯夫の発言として記されていた「本件は、首相案件」なる発言も否定。

 当然と言うべきか、今治市長菅良二(かんりょうじ)は4月16日に報道各社の取材に応じた際、職員が首相官邸を訪問したことは認めたが、それ以外は柳瀬唯夫の否定に添った内容となっている。「朝日デジタル」/2018年4月16日12時15分)

 解説文を会話体に変えて、その発言を伝える。

 菅良二「『首相案件』という言葉は今回の報道で目にした。自身は聞いていない。担当職員から聞き取ったが、愛媛県職員作成文書の内容や面会相手に関しては市情報公開条例に基づき、非開示としており、コメントを控える
 
 国や県に迷惑がかかってはいけない。マイナスのイメージがあってもいけないから」――

 要するに今治市が文書を公開した場合は「国や県に迷惑がかかる上にマイナスのイメージが生じる恐れがある」

 何のことはない、文書には国や県に不都合な事実が記されていることを間接的に暴露したことになる。勿論、その不都合は今治市にとっても同じ構図を取ることになり、柳瀬唯夫の否定に対応した不都合な事実の隠蔽という関係を成立させていることになる。

 今治市文書に不都合な事実の記載は何もなく、柳瀬唯夫の否定にしても、真正な事実に則った正しい否定なら、「国や県に迷惑がかかってはいけない。マイナスのイメージがあってもいけない」などと発言する必要性も、あるいは文書を非公開とし続ける、一種の隠蔽の必要性も生じない。

 今治市長の主導に応じたものなのだろう、今治市の態度が生じるはずもない必要性とは逆の形を取っている以上、このような必要性は今治市長菅良二の発言が柳瀬唯夫の否定に対応していると同時に否定の否定という間接形を取っていることを示す。

 要するに柳瀬唯夫の否定が真正な事実に則った正しい否定でないから、今治市長菅良二はそのような否定に応じて「国や県に迷惑がかかってはいけない。マイナスのイメージがあってもいけない」などと不都合な事実の隠蔽を続けざるを得なくなり、そのような必要性によって柳瀬唯夫の、いわば「面会した事実はない」、「首相案件と発言した事実もない」の否定を間接的に否定していることになる。

 と言うことは、「『首相案件』という言葉は今回の報道で目にした。自身は聞いていない」としている今治市長菅良二の発言は、柳瀬唯夫の否定の間接的否定という形を取る以上、発言に反して今治市文書にも記載されていて、菅良二は目にしていることになるばかりか、首相官邸訪問の今治市職員から説明を受けていることになる。

 ここから推測。

 今治市担当職員「柳瀬唯夫総理秘書官は、『これは首相案件だ』と仰っていました」

 菅良二「そうか。それじゃあ、認可は間違いなしだな」

 想像するにこのような発言が交わされたはずだ。

 ところが、加計学園獣医学部新設認可が「総理のご意向」という国家権力の私的行使のもと、安倍晋三の政治関与主導で決定された疑いで国会で取り上げられると、首相官邸面会も、面会時の政府側発言も、その経緯を記した文書も全て不都合な事実と化して、文書の非公開や文書内容に関したコメントの回避といった一種の隠蔽を謀らざるを得なくなった。

 首相官邸面会の愛媛県文書や文科省発見の文書の内容が全て事実であるからに他ならない。当然、今治市文書も同じ事実を内容としていることになる。

 もう一つ、次のことをしない今治市長の対応にしても、柳瀬唯夫の否定の間接的否定とすることができる。

 ここに来て安倍内閣の支持率は急落している。急落の原因は安倍晋三が対森友国有地格安売却と加計学園獣医学部新設を自身の力で押し切った政治案件の疑いがあるからなのは断るまでもない。

 加計問題・森友問題に対する政府説明は納得できないとする世論調査の回答は70%を超えている。内閣支持率急落はこのことの反映であって、40%前後、中には40%を切ったり、30%を少し超えただけといった不信を国民から突きつけられている。
 
 さらに「次の自民党総裁にふさわしいのは誰か」の2018年4月の朝日新聞世論調査では1位を保ってきた安倍晋三が石破茂の下位につけることになっている。

 正しい手続き受けた獣医学部新設認可だったのか、不正な手続きを利用した認可だったのかは別にして、安倍晋三の国家戦略特区を手続きとした今治市への獣医学部新設なのだから、安倍内閣支持率急落の原因の一つが明らかに加計問題である以上、今治市長菅良二はその急落を救わなければならない立場に立たされていることになる。

 救う手立の一つは今治市文書を公開して不都合な事実は何一つない、首相の政治的な関与に触れた箇所はどこにもない、公明正大な行政手続きを経た獣医学部の認可だと天下に向かって示せば、安倍内閣支持率急落の原因の一つを抹消し、一息つかせる何よりの強力な援軍となるはずだ。

 だが、菅良二が安倍内閣支持率急落を救わなければならない立場にありながら、以上のことができないのは今治市文書に「国や県に迷惑がかかって、マイナスのイメージ」となる不都合な事実が記載されていて、それが明らかにされることを防ぐことの方を優先させなければならないからだろう。

 いわば明らかにしたら、安倍内閣支持率急落を止めるカンフル剤となるどころか、急落を加速させる毒の役目を果たさない保証はなく、その結果、進退にも影響しかねないことを知っているからだろう。

 今治市長菅良二が安倍内閣支持率急落を救う手立の一つである今治市文書公開に出ないことも、柳瀬唯夫の否定の間接的否定となっていると見ることは十分に可能である。

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