安倍晋三は2020年東京五輪の自動運転車走行ではなく、言うべきは水素技術の車や光熱面での普及

2015-10-26 11:16:05 | Weblog


 安倍晋三が2015年10月4日、「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」で挨拶し、自動運転車の実現について次のように発言している。

 安倍晋三「私はまた日本を、イノベーションが次々と起こる国にも変えたいと思っています。

 では私ども、何をすべきでしょうか。

 必要なのは『エコシステム』です。知と知が出会い、イノベーションが更なるイノベーションを生む場です。去る4月にシリコン・バレーを訪れた折、それが大事なのだと再確認しました。

 日本でも、エコシステムを作らなくてはなりません。そうすることを、今後5年の重点施策といたしました。

 例えば、車のような、私たちがよく知っているものを例に挙げましょう。

 車というのは一方で、120万人からの人命を、世界で毎年、事故で奪っています。

 一方、車は偉大なイコライザー(格差を埋めるもの)でもあります。人間の動きを『民主化』してくれるものですから、障害をお持ちの方であれ、お年を召された方であれ、万人に、その恩恵を及ぼせるものであるべきです。

 日本にはこの両方、すなわち車の持つ安全と、便益の双方に、持ち前の技術で取り組んでいく使命がある。そして正にこの点で、今いろいろ日本の自動車メーカーが開発している、自動運転技術が重要になってくるのです。

   ・・・・・・・・・

 2020年には、東京でオリンピック・パラリンピックがありますから、どうか是非見に来てください。『一つ買ったらオマケに一つ』ではありませんが、2020年の東京には、自動運転車がきっと走り回っています。皆様には、動き回るのにお使いいただくことができるでしょう」(首相官邸/2015年10月4日)

 「知と知が出会い、イノベーションが更なるイノベーションを生む場」に位置づけている「エコシステム」について、その意味を知らなかったから、ネットで調べてみたら、「複数の企業が商品開発や事業活動などでパートナーシップを組み、互いの技術や資本を生かしながら、開発業者・代理店・販売店・宣伝媒体、さらには消費者や社会を巻き込み、業界の枠や国境を超えて広く共存共栄していく仕組み」と出ていた。

 要するに様々な業種の協調関係による情報の相互提供と相互共有等に基づいた新技術の開発とその促進を言うのだろう。

 そのようなシステムを自動運転車開発に利用する。

 そして高邁な理想を掲げる。

 「車は偉大なイコライザー(格差を埋めるもの)でもあります。人間の動きを『民主化』してくれるものですから、障害をお持ちの方であれ、お年を召された方であれ、万人に、その恩恵を及ぼせるものであるべきです」

 民主主義は自由・平等を原則としている。その点、車は障害者であれ、高齢者であれ、自身が運転できれば自身の運転で、できなければ、タクシー等、運転を他者に依頼することで、「人間の動き」を、いわば移動に関して自由・平等を保証するという意味なのだろうか。

 確かにそのとおりだが、所得に応じて移動に遠近が生じたり、自身で運転できない場合の他者依頼の回数に増減が生じたりするから、車自体は「イコライザー(格差を埋めるもの)」としての役目を担っていて、「人間の動きを『民主化』してくれる」道具であったとしても、人それぞれの生活を背景とした場合、恩恵は必ずしも自由・平等の民主主義でいかないこともある。

 例え自動運転車が普及して、多くの人間が当り前のように利用する時代を迎えることになったとしても、生活を背景とした場合の条件はさして変わらないことになる。

 ただ安倍晋三だけは2020年の時代を迎えれば、自動運転車が「イコライザー(格差を埋めるもの)」としての役目を十分に果たし、「人間の動きを『民主化』してくれる」十分な道具足り得ると信じているのだろう。

 だが、2015年10月15日付の次の記事、《自動運転、2020年へ向け自動車メーカーとベンチャー企業の異なる戦略》オートックワン/2015年10月15日)を読むと、そうはうまくいかないようだ。   

 DeNAとロボット関連ベンチャーZMPの合弁事業であるロボットタクシーは完全無人化を目標としていて、都市部周辺の住宅地の「買い物難民」や地方の山間部等の「高齢者の日常の足」として「無人自動運転車」の活用を考えているという。

 日本の技術のみならず、世界の技術を参考にすれば、完全無人化も夢ではないだろうが、技術は完全無欠ではない。特に山間部から都市部に向かう往路は勾配が急な個所、曲がりくねっていて、両側、あるいは片側が深い谷を形成している個所が多い。常に事故のない完全走行が実現できるのだろうか。

 あるいは時折の事故は止むを得ないとするのだろうか。

 同じ条件なら、ゴルフ場で利用している電磁誘導式ゴルフカートの応用であっても、「買い物難民」や「高齢者の日常の足」として十分に間に合い、その方が実現は手っ取り早いのではないだろうか。

 電磁誘導式ゴルフカートは走行路に予め複数個の永久磁石を地表にN極、あるいはS極を向けて埋め込み、その上をカートが走行する際、N極またはS極のパターン信号がカートに取り付けたコイルなどを用いたマグネットセンサーによって検出され、埋め込まれているパターン信号によってカートの目標速度を変更して、減速させたり加速させたり、あるいはカーブを切ったり、自動制御する方式だという。

 ゴルフ場でのカートの速度程度なら、ヘルメット着用とシートベルト着用、さらにアメリカで開発された、現行のガードレールに装着できる衝撃吸収装置「クオッドガード(Quad Guard)」を全ての走行道路に取り付けたなら、万が一の事故にも人体への影響を少しでも小さく抑えることができるのではないだろうか。

 上記記事はベンチャー企業の完全無人化の自動運転車と違って、トヨタが2020年に量産化を目指す自動運転は「無人化」を想定していないと解説している。運転席には常時運転者が座っていて、高速道路等で一時的に運転操作を行わない自動運転モードを想定していて、自動運転モードが何等かの事情で続行不可能になった場合、手動モードに切り替得て、運転者自身が直接運転するのだという。

 この際の具体的な懸念が自動運転時に寝てしまった運転者に手動運転への切り替えを通知する場合、「運転者の意識は何秒で運転する状態に復帰できるのか?」、その時間だそうだ。

 現在、自身で運転していて居眠り状態に入ったとき、カメラが顔認識と瞳孔検出してアラームを発する居眠り防止装置があるそうだが、この場合は運転者がハンドルを握っていることに変わりがないから、アラーム音と同時に目覚めれば、そのままハンドル操作は続行できるが、自動運転車の場合、ハンドルから離れた状態で安心しきって居眠りした場合、目覚めた瞬間、自分が今どこにいるのか錯覚を起こすこともある。

 特に両側が高い防音壁で仕切られていて景色が何も見えず、防音壁とアスファルト路が延々とした状態で単調に続く高速道路は運転していない状態だと、簡単に眠気に襲われる。

 こういった懸念ばかりではなく、完全無人化ではなく、自身も手動運転手する機会もあるということなら、重度の障害者や身体に不自由なところのある高齢者は自動運転車から除外されることになり、安倍晋三が言っていることに反して、全ての人に恩恵を及ぼす「偉大なイコライザー(格差を埋めるもの)」としての役目も、「人間の動きを『民主化』してくれる」道具ということでもなくなる。

 また記事が、〈自動運転時に事故が起こった場合、「過失責任は自動車メーカーになるのか。それとも、手動から自動に切り替えた運転者にあるのか?」といった法解釈や倫理規定の分野で議論を続けていく必要がある。〉と解説している以上、事故をあるいはあるかもしれないこととして想定していることになる。

 完全無欠な技術など存在しない以上、当然のことであろう。

 現在、最も必要としている「エコシステム」を利用した車の技術発展は、2012年7月31日に閣議決定している「『日本再生戦略』について」で2015年度の中間目標に掲げた「燃料電池自動車の市場投入」と2016年から目指すとした「家庭用燃料電池の自立的普及開始」の更なる普及であろう。

 トヨタは水素を利用した燃料電池車「MIRAI」を2014年12月15日、世界に先駆けて発売した。二酸化炭素を排出しないことから、「究極のエコカー」と言われている。当然、この普及は二酸化炭素排出抑制と地球温暖化防止と非常に深く関わることになる。

 確かに国も「MIRAI」723万6000円価格に対して約200万円の補助金を出してその普及に協力しているが、特に2020年東京オリンピック・パラリンピックを時代転換点の象徴にさせようとしているとき、地球環境に深く関係していくことになる水素技術の活用・発展は重要性という点で、自動運転車の比ではないはずだ。

 だが、安倍晋三は2020年のオリンピック時、自動運転車を走らせることを日本のイノベーションの象徴にしようとした。 

 水素を利用した「家庭用燃料電池の自立的普及」はまた、電線の地中化とも深く関わっている。自民党は電線の地中化に熱心で、現在はどうか知らないが、安倍晋三はかつて電線地中化の議員連盟の会長をしていたが、家庭用の燃料電池の普及は2008年頃から、住宅団地単位で開始していて、これが一町内単位で普及していけば、水素供給のパイプのみで、電柱も電線も必要なくなる。電線を地中化した、家庭用燃料電池の普及で電線は必要がなくなったでは、地中化した電線を資源保護の観点から、また掘り出さなければならない。

 勿論、全面普及までに相当な時間がかかる。だとしても、二重の手間になることに変わりはない。燃料電池車の普及がその技術の改善に役立ち、改善された技術が家庭用燃料電池の技術に応用されていくという循環を生めば、普及も加速化されていく。

 昨今、世界規模で大災害時代を迎えている。豪雨、洪水、それらに伴う河川の堤防の決壊や大規模な土砂災害、あるいは豪雪等々が頻繁に発生するようになっていて、地球温暖化の影響が言われている。

 やはり先んずるべきは二酸化炭素排出の抑制のための技術開発とその促進・普及でなければならないはずだ。2020年を日本の新しい時代の目標としたなら、一国の首相であるなら、抑制のための技術をどれ程に普及させるか、言うべきだったろう。

 参考までに。2009年4月11日記事――《安倍会長「電柱議連」発足/時代は無電線化の方向に向かうべき - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》 


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