基本的人権/他国のフンドシで相撲を取る中国の「聖火応援隊」

2008-05-01 03:49:25 | Weblog

 日本の主権侵害に当たらないのか?

 各国の聖火リレーを利用したチベット問題の中国政府の対応に対する抗議の妨害行動から守るべく埋め尽くさんばかりの大量の中国国旗を振って参集した中国人集団は中国当局が旅費負担で動員したものだと4月29日の「asahi.com」≪「聖火応援隊」やっぱり動員 中国当局が旅費負担≫が伝えている。

 上からの指示で何事も動かす共産党一党独裁国家であり、国民の多くも上からの指示に従うことに慣らされた行動傾向を抱えているだろうから「動員」だとは思っていただけではなく、4月25日の「毎日jp」(≪聖火リレー:留学生動員「中国大使館が関与」 豪当局者)が既に題名どおりのことを伝えていたし、テレビの報道番組でも動員を疑う発言があったが、証拠がなければ断言はできない。上記の報道で、さもありなんの印象を受けた。

 アルバイトが忙しくて学業が疎かになりがちとなるといった話題に事欠かない中国人留学生たちが自腹を切ってまで大挙押し寄せること自体異様なことだったはずである。

 記事内容を箇条書きにすると、

北京五輪の聖火リレーへの妨害を防ぐため、各地の中国大使館側が旅費を負担するなどして、現地の中国人留学生らを大
量動員していたことが関係者の話でわかった。


各地で赤い中国国旗を振っていた「聖火応援隊」もやはり当局主導だった。

1人2千円の交通費を負担したが、残りの費用は、すべて大使館側が負担してくれた。

配布マニュアルには、(1)聖火が引き継がれる地点にそれぞれ20人ずつ集まって「人間の壁」をつくり妨害者の進入を防ぐ(2)自分たち以外の大人数の団体を見つけたら責任者に報告する(3)不審な物を発見したらすぐに新聞紙や服で包んで排除する、などと書かれている。

「体を張って妨害を食い止めてもいいが暴力を振るってはいけない」「大声を出してもいいが、相手を侮辱するような言葉は使わない」など、法律やルールを守るよう呼びかけ、現場でも注意されたという。中国のイメージが損なわれないよう配慮していることがうかがえる。

パリやロンドンで聖火妨害が相次いだため、各大使館が中国人留学生や華僑を動員し、聖火を防衛することを決めたという。オーストラリアのキャンベラでは1万人以上が、アルゼンチンのブエノスアイレスでも数千人の留学生らが動員された。

「中国大使館が費用を負担して現地の中国人を動員しているのか」という記者からの質問に対し、姜瑜副報道局長は「そのような質問をして、どんな意味があるのか」と明言を避けた。
 * * * * * * * * * * * * * * * *
 さも愛国心からの自発的行動であるかのように見せかけていたが、相当に綿密に計画された官製動員であり、官製の「聖火リレー応援隊」だったことが分かる。

 3の「1人2千円の交通費を負担したが、残りの費用は、すべて大使館側が負担してくれた。」は「官製動員」であることを隠し、自発行為を装わせるための証拠隠滅を目的とした工作なのは間違いない。

 7の「『中国大使館が費用を負担して現地の中国人を動員しているのか』という記者からの質問に対し、姜瑜副報道局長は『そのような質問をして、どんな意味があるのか』と明言を避けた。」と言うことだが、大いに意味があることではないのか。

 日本では5千人もの大量の中国人が長野に(キャンベラでは1万人も)集まったということだが、中国政府は主権が及ばないはずの外国の地で中国大使館の介在のもと5千人も動員した集団活動を通して抗議活動の阻止を目的とした中国政府の意志(=中国の国家権力意志)を働かせたのである。そうである以上、これは一種の無許可の集会であるということだけではなく、そのことも問題だが、そのことを超えて日本の主権侵害に当たらないだろうか。

 そしてそのような日本の主権侵害に当たる無許可の大集会を可能とした契機は日本の憲法が保障している集会の自由や思想・信条の自由、表現の自由等の基本的人権の自由であり、それを利用した場面展開であろう。

 勿論中国にも抗議活動を目的とした集会・デモの類は存在する。しかし国家意志に反する人権行為は制限され、コントロールを受ける。1989年6月4日の学生や知識人が民主化を求めたデモを人民軍が戦車まで動員し武力弾圧して多くの死者を出した六四天安門事件は最悪の事例であろう。

 そして現在も人権活動家は国家権力による様々な監視を受け、国家権力の許容範囲を超えた場合は拘束され、思想・信条の自由、表現の自由を認めない裁判所の意志を受けて刑に服さなければならない。許された集会・デモの類は国家権力の統制下に入ることで意図しなくても官製色を纏い、官製化することになる。

 いわば中国は自国では基本的人権を制限しておきながら、外国の地での基本的人権の自由を利用して国家権力意志の行使を目的とした、当然のことながら表向きはそれを隠していたものの公然たる集会を行ったのである。

 つまりこういうことではないか。基本的人権に関わる満足なフンドシを国内的には持っていないのだから、外国の地でも控えるべきを、それが公平な態度と言うべきだが、控えもせずに自由であることを認める他国のフンドシを利用して人権行為を行う僭越を働いたのである。

 何としたたかなと言うべきか、狡猾と言うべきか、のほほんとした日本の政治家にはマネのできない見事な外交戦術である。 


 ≪「聖火応援隊」やっぱり動員 中国当局が旅費負担≫(asahi.com/2008年04月29日06時24分)

 【北京=峯村健司】北京五輪の聖火リレーへの妨害を防ぐため、各地の中国大使館側が旅費を負担するなどして、現地の中国人留学生らを大量動員していたことが関係者の話でわかった。「人間の壁」による妨害対策を指示するなど、対処マニュアルも作成。各地で赤い中国国旗を振っていた「聖火応援隊」は、やはり当局主導だった。

 長野市を走った26日の聖火リレーでは、約5千人の中国人留学生らが日本各地から集まった。東京から参加した複数の留学生によると、前日から夜行バスで向かい、1人2千円の交通費を負担したが、残りの費用は、すべて大使館側が負担してくれたという。

 配られたマニュアルでは、(1)聖火が引き継がれる地点にそれぞれ20人ずつ集まって「人間の壁」をつくり妨害者の進入を防ぐ(2)自分たち以外の大人数の団体を見つけたら責任者に報告する(3)不審な物を発見したらすぐに新聞紙や服で包んで排除する、などと書かれている。
 さらに「体を張って妨害を食い止めてもいいが暴力を振るってはいけない」「大声を出してもいいが、相手を侮辱するような言葉は使わない」など、法律やルールを守るよう呼びかけ、現場でも注意されたという。中国のイメージが損なわれないよう配慮していることがうかがえる。

 関係者によると、パリやロンドンで聖火妨害が相次いだため、各大使館が中国人留学生や華僑を動員し、聖火を防衛することを決めたという。オーストラリアのキャンベラでは1万人以上が、アルゼンチンのブエノスアイレスでも数千人の留学生らが動員された。リレーが通過しなかったカナダやニュージーランドなど15カ所でも、現地中国人による大規模な「北京五輪支持集会」が開かれている。

 24日にあった中国外務省の定例会見で、「中国大使館が費用を負担して現地の中国人を動員しているのか」という記者からの質問に対し、姜瑜副報道局長は「そのような質問をして、どんな意味があるのか」と明言を避けた。 
 ≪聖火リレー:留学生動員「中国大使館が関与」 豪当局者≫(毎日jp 2008年4月25日 20時20分)

 【キャンベラ井田純】オーストラリアの首都キャンベラでの北京五輪聖火リレーに、1万人以上の中国系住民や留学生が集まったことについて、キャンベラのスタンホープ首都特別地域首席大臣は「中国大使館が関与していたことは明らかだ」と述べ、中国当局による組織的動員だったとの見方を明らかにした。25日付地元紙が伝えた。

 24日の聖火リレーでは、大型バスなどで1万人以上の中国系住民がキャンベラ入りし、スタート会場などに集結。チベット系のグループや人権団体に激しく抗議するなど、圧倒的多数による「北京五輪支持」デモを展開していた。

 スタンホープ氏は「中国大使は、シドニーやメルボルンの中国系団体代表と接触を重ねていることを示唆していた」と述べ、大使館の関与は「疑う余地がない」と明言。デモで使われた多数の中国国旗なども、「当局から提供されたものに違いない」と語った。

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