巻九 葵 04 女車
はかなしや 人のかざせる あふひゆゑ
神の許しの けふを待ちける
2007-0721-ysg111
Kad02-097
□「いかなるすきものならむ」と、おぼされて、所もげによきわたりなれば、
引き寄せさせ給ひて、(源氏)「いかで得給へる所ぞ、と、ねたさになむ」と、
宣へば、由ある扇のつまを折りて、 (女車)「はかなしや・・・□
源氏物語歌集 107
巻八 花宴 08 女
心いる 方ならませば ゆみはりの
月なき空に 迷はましやは
2007-0717-ysg107
Kad02-086
□(源氏)「あづさ弓・・・見ゆると 何ゆゑか」とおしあてに宣ふを、
えし忍ばぬなるべし、 (女)「心いる・・・ましやは」 といふ声、
ただそれなり。いとうれしきものから。□(角文版)
[巻八花宴了]
源氏物語歌集 106
巻八 花宴 07 源氏
あづさ弓 いるさの山に まどふかな
ほの見し月の 影や見ゆると
2007-0716-ysg106
Kad02-086
□・・・さまかへける高麗人かな」といらふるは、心知らぬにやらむ。
いらへはせで、ただ時々うち嘆くけはひする方によりかかりて、
几帳ごしに手をとらへて、 (源氏)「あづさ弓・・・□(角文版)
源氏物語歌集 105
巻八 花宴 06 右大臣
わが宿の 花しなべての 色ならば
何かはさらに 君を待たまし
2007-0715-ysg105
Kad02-085
□源氏の君にも、一日、うちにて御対面のついでに聞え給ひしかど、
「おはせねば、くちをしう、物の栄えなし」とおぼして、
御子の四位の少将を奉り給ふ。 (右大臣)「わが宿の・・・□(角文版)
源氏物語歌集 104
巻八 花宴 05 源氏
世に知らぬ 心地こそすれ 有明の
月のゆくへを 空にまがへて
2007-0714-ysg104
Kad02-082
□・・・、桜の三重がさねにて、濃きかたに霞める月をかきて、
水にうつしたる心ばへ、目慣れたれど、ゆゑなつかしうもてならしたり。
「草の原をば」と言ひし様のみ、心に給へば、 (源氏)「世に・・・□(角文版)
源氏物語歌集 103
巻八 花宴 04 源氏
いづれぞと 露の宿りを わかむまに
小笹が原に 風もこそ吹け
2007-0713-ysg103
Kad02-080
□・・・とや思ふ」 といふ様、えんになまめきたり。(源氏)「道理や。聞え違へたる文字かな」とて、 (源氏)「いづれぞと・・・こそ吹け」 わづらはしく思す事ならずは、何かつつまむ。もし、すかい給ふか」とも言ひあへず、・・・□(角文版)
源氏物語歌集 102
巻八 花宴 03 女
うき身世に やがて消えなば 尋ねても
草の原をば 訪はじとや思ふ
2007-0712-ysg102
Kad02-080
□らうたしと見給ふに、程なく明け行けば、心あわただし。女はまして、
様々に思ひ乱れたる気色なり。(源氏)「なほ名のりし給へ。いかでか聞ゆべき。
かうて止みなむとは、さりとも思されじ」と、宣へば、 (女)「うき身・・・□(角文版)