源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

09葵04 はかなしや

2007年07月21日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 111
巻九 葵 04 女車

    はかなしや 人のかざせる あふひゆゑ
    神の許しの けふを待ちける


2007-0721-ysg111
Kad02-097

□「いかなるすきものならむ」と、おぼされて、所もげによきわたりなれば、
引き寄せさせ給ひて、(源氏)「いかで得給へる所ぞ、と、ねたさになむ」と、
宣へば、由ある扇のつまを折りて、 (女車)「はかなしや・・・□

09葵03 千尋とも

2007年07月20日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 110
巻九 葵 03 姫君

    千尋とも いかでか知らむ 定めなく
    満ちひる潮の のどけからぬに


2007-0720-ysg110
Kad02-096

□・・・のみぞ見む」 と、物に書きつけておはするさま、らうらうじきものから、
若うをかしきを、「めでたし」と、おぼず。 今日も所もなく、立ちにけり。
馬場のおとどの程に、立てわづらひて、上達部の車ども多くて、・・・□

09葵02 はかりなき

2007年07月19日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 109
巻九 葵 02 源氏

    はかりなき 千尋の底の 海松ぶさの
    生ひゆく末は 我のみぞ見む


2007-0719-ysg109
Kad02-096

□(源氏)「いと長き人も額髪は少し短うぞ編めるを、むげに後れたる筋のなきや、
あまり情なからむ」とて、そぎ果てて、(源氏)「千尋」と、祝ひ聞えた給ふを、
少納言、「あはれにかたじけなし」と、見奉る。 (源氏)「はかりなき・・・□(角文版)

09葵01 かげをのみ

2007年07月18日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 108
巻九 葵 01 御息所

    かげをのみ みたらし川の つれなきに
    身のうきほどぞ いとど知らるる


2007-0718-ysg108
Kad02-093

□・・・、さらぬ顔なれど、ほほゑみつつ、しり目にとどめた給ふもあり。
大殿のは著ければ、まめだちて渡り給ふ。御供の人々うちかしこまり、
心ばへありつつ渡るを、おしけたれたる有様。こよなうおぼさる。(御息所)「かげを・・・□(角文版)

08花宴08 心いる

2007年07月17日 | 05若紫~08花宴

源氏物語歌集 107
巻八 花宴 08 女

    心いる 方ならませば ゆみはりの
    月なき空に 迷はましやは


2007-0717-ysg107
Kad02-086

□(源氏)「あづさ弓・・・見ゆると 何ゆゑか」とおしあてに宣ふを、
えし忍ばぬなるべし、 (女)「心いる・・・ましやは」 といふ声、
ただそれなり。いとうれしきものから。
□(角文版)
巻八花宴了]


08花宴07 あづさ弓

2007年07月16日 | 05若紫~08花宴

源氏物語歌集 106
巻八 花宴 07 源氏


    あづさ弓 いるさの山に まどふかな
    ほの見し月の 影や見ゆると

2007-0716-ysg106
Kad02-086

□・・・さまかへける高麗人かな」といらふるは、心知らぬにやらむ。
いらへはせで、ただ時々うち嘆くけはひする方によりかかりて、
几帳ごしに手をとらへて、 (源氏)「あづさ弓・・・
□(角文版)


08花宴06 わが宿の

2007年07月15日 | 05若紫~08花宴

源氏物語歌集 105
巻八 花宴 06 右大臣

    わが宿の 花しなべての 色ならば
    何かはさらに 君を待たまし

2007-0715-ysg105
Kad02-085

□源氏の君にも、一日、うちにて御対面のついでに聞え給ひしかど、
「おはせねば、くちをしう、物の栄えなし」とおぼして、
御子の四位の少将を奉り給ふ。 (右大臣)「わが宿の・・・□(角文版)


08花宴05 世に知らぬ

2007年07月14日 | 05若紫~08花宴

源氏物語歌集 104
巻八 花宴 05 源氏

    世に知らぬ 心地こそすれ 有明の
    月のゆくへを 空にまがへて

2007-0714-ysg104
Kad02-082

□・・・、桜の三重がさねにて、濃きかたに霞める月をかきて、
水にうつしたる心ばへ、目慣れたれど、ゆゑなつかしうもてならしたり。
「草の原をば」と言ひし様のみ、心に給へば、 (源氏)「世に・・・□(角文版)


08花宴04 いづれぞと

2007年07月13日 | 05若紫~08花宴

源氏物語歌集 103
巻八 花宴 04 源氏

    いづれぞと 露の宿りを わかむまに
    小笹が原に 風もこそ吹け

2007-0713-ysg103
Kad02-080

□・・・とや思ふ」 といふ様、えんになまめきたり。(源氏)「道理や。聞え違へたる文字かな」とて、 (源氏)「いづれぞと・・・こそ吹け」 わづらはしく思す事ならずは、何かつつまむ。もし、すかい給ふか」とも言ひあへず、・・・□(角文版)


08花宴03 うき身世に

2007年07月12日 | 05若紫~08花宴

源氏物語歌集 102 
巻八 花宴 03 女

    うき身世に やがて消えなば 尋ねても
    草の原をば 訪はじとや思ふ

2007-0712-ysg102
Kad02-080

□らうたしと見給ふに、程なく明け行けば、心あわただし。女はまして、
様々に思ひ乱れたる気色なり。(源氏)「なほ名のりし給へ。いかでか聞ゆべき。
かうて止みなむとは、さりとも思されじ」と、宣へば、 (女)「うき身・・・
□(角文版)