あれから三ヶ月以上が経ってしまいましたが、未だにあの日の感動、興奮、幸福感、その他諸々の感情がナマナマしく蘇ってきます。ようやく落ち着いて冷静に振り返ることができるようになったし、思い出を途中までしか記していなかったので残りを書いてみたいと思います。何を今更...って感じですが、これは自分に宛てた「私信」のような感じなので読み飛ばしてください。
前回は『ザ・リバー』完全再現ステージまでを書きました。ご存じの通りこの「ザ・リバー・ツアー2016」のアメリカ公演は唯一の例外(ブルックリン・ナイト①)を除き「ミート・ミー・イン・ザ・シティ」で幕を開け、そこからアルバム『ザ・リバー』完全再現~間髪入れず第一部のクロージング「涙のサンダー・ロード」まで日替わりで数曲を披露(たまにリクエストもあったようですが)。そしてこれまた間髪入れずにアンコールになだれ込むという怒涛の展開が定番でした。
あの日も同様にアルバム『ザ・リバー』のクロージング曲「雨のハイウェイ」から(僕の)予想通り「バッドランド」。ブルースの「ワン、トゥ...」のカウントと共に湧き上がる大歓声と会場が一体となった大合唱でブルースの歌声もかき消されそう。間奏に入るジェイクのサックスソロの後の会場のハミング(あのウォーウォーってヤツ)はトリハダものでした。
続いても予想通り「ビコーズ・ザ・ナイト」。正直あまり好きな曲ではなかった(パティ・スミス・バージョンは好き)んですが、今回ナマで聴いて好きになりました。これは何と言ってもこのツアーは黒子に徹しているニルスの超絶ギタープレーの功績が大きいと思います。何かが乗り移ったかのように一心不乱にギターをかき鳴らすニルス。後から考えてみれば数少ない自分の見せ場で気合いが入っていたんでしょうね。とにかくスゴかったです。あの「パープル・レイン」のギターソロと双璧です。配信された音源(CDの方が音は良いけど)を聴いてもはっきり分かります。
そして毎回一曲選ばれていた愛妻パティとのデュエット曲、この日は「ブリリアント・ディスガイス」。途中ブルースが歌詞を忘れてパティにキツく睨まれたのを僕は見逃がしませんでしたよ(笑)個人的には「トーク・トゥ・ミー」が聴きたかったです。
「ニューヨークのスペシャルメニュー」と断ってロイのピアノのイントロが流れた「ミーティング・アクロス・ザ・リバー」。さすがにこの曲は全く頭にありませんでした。恥ずかしながら一瞬分かりませんでしたもん。多分会場のコアなファンの皆さんもあまりに意外な選曲にびっくりしたのか、じっと聴き入っていました。キレイな曲ですよね。不思議な後味のある曲です。
その次の瞬間奇跡が起こりました。大好きな「ジャングルランド」。まさかアルバムと同じ流れで「ジャングルランド」が披露されるとは思いませんでした。イントロのスージィのバイオリンとロイのピアノ。この瞬間僕は間違いなくイッてました。身体が数メートル宙に浮いていました。そして声にならない奇声を発していたと思います。はっと我に返ったのは"As we take our stand down in Jungleland"の大コーラスのとき。でも曲中ずっと泣いていました。今でもこの日の音源を聴くと涙が溢れてきます。まさに夢の中、天国の中の11分間でした。本気で「あ~天国ってこういう場所なんだなぁ~」と考えていました(笑)
「ジャングルランド」が聴けたらもう思い残すコトはない...と宣言していましたが、まだ体験していない曲がいっぱいあるので思い残すコトは大ありです。だから僕はこれからもブルースを追い続けます。
第一部のクロージングはお決まりの「涙のサンダー・ロード」。余計な楽器が入らない、アルバム・バージョンに忠実な演奏は良かったです。やっぱり良い曲ですね。ブルースもとっても丁寧に情感を込めて歌ってくれました。
【アンコール】
第一部が閉まったと思ったらこれまたその余韻に浸る間もなくブルースのトーク(僕の英語力では半分しか理解できませんでしたけど)に続き「明日なき暴走」。耳をつんざくような大合唱です。さすが地元!!アンコールからは客電も点きっぱなしだから会場全体の盛り上がりが良く見えました。老いも若きもみんな総立ち、ありったけの力で拳を振り上げ大合唱です。
続いては近年のステージではハイライトになっている「ダンシング・イン・ザ・ダーク」。再度ママをステージに呼ぶもママは来ず(ステージ上でのママのダンス観たかった)、代わりにステージに上がった女性とブルースが、「パティと踊りたい」という男性と「スージィが大好き」な男性が入り乱れてレッツ・ダンシング!!個人的にアルバム・バージョンはブルースらしくないから好きじゃない(ウチの息子たちは大好きですが)けど、ステージでは最高の曲ですね(#^.^#)
「ロザリータ」のイントロが流れてきて僕は悲しくなりました。だってそれはコンサートの終わりが近いのを知らせるのと同じ意味ですから。でもそんなセンチメンタルな気分とは裏腹に、底抜けに明るくドライヴ感溢れる「ロージィ・カム・アウト・トゥナイト」。Spread out now Rosie, doctor come cut loose her mama's reins...アタマからお客に歌わせちゃうブルースもスゴいけど、この曲程観客との掛け合いが面白い曲はないんじゃないでしょうか?僕は今回がナマ「ロージー」初体験でしたがメチャクチャ楽しかったです。三階席の上の踊り場では、売店の売り子さん達も混じってお客さんと踊りまくっていました(^^)曲の最後にニューヨークとニュージャージーを交互に連呼してお客を煽る煽る(^^)
そのエンディングから続けざまに「凍てついた十番街」に。この曲もアメリカ・ツアー中盤からレギュラーに復活して嬉しかった曲。リユニオン・ツアー時のようなダラダラした展開も悪くありませんが、今ツアーのオリジナルに忠実なタイトな演奏は大好きです。しかもクラレンスがいなくなってこっちは、例の「クラレンス&ダニー追悼VTR」もちょっと流れるので感動も倍増します。
驚くことに、この日は『ザ・リバー』以外の全11曲中5曲が『明日なき暴走』から。ナマ「裏通り」が外れたのは残念ですが、これだけの密度で聴かされた日にはもう...最高です(笑)
結果最後になってしまいましたがクロージング曲は「シャウト」。できれば「デトロイト」が良かったけど、ナマ「シャウト」ってカッコ良いですね。好きになりました。「もしかしたらこの盛り上がりならこの後アノ曲が!?」と一途の望みを持っていたけれど、やはりここでおしまい。とってもシンプルだけど力強いEストリート・バンドのメンバー紹介(こういうの好きです)、しかも遊び心満点、ママの紹介入り!!
時刻は確か23時15分を過ぎた頃、僕が夢にまで見た「ブルースのステージをニューヨーク マジソン・スクエア・ガーデン」で観るという一大イベントが終了しました。
しかも一番好きなアルバム『ザ・リバー』ツアーが観れた、それも一度は記録的な歴史に残る程の大雪(猛吹雪)のせいで断念しかけたのに、色々な幸運が重なり合ってまた(ほんの二ヶ月の間に二回もアメリカに!!)行けてちゃんと観ることができた...。
そんな色々な思いが込み上げてホテルまでの帰り道(と言っても目の前のホテル・ペンシルバニアまでですけどw)涙が止まりませんでした。興奮と感動で眠れないまんま翌朝の飛行機で帰国の途に就きましたが、とっても濃い三日間(実質二日でしたが)でした。こんな体験をさせてくれたブルース、バンドの面々、こんなワガママを許してくれた家族、色々な方々への感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう!!
I'm just prisoner of rock'n Roll!!