ウクライナ和平で親露姿勢を隠そうともしないトランプ外交に危機感を持ったEUでは、アメリカ主導のNATO軍とは一線を画した戦略判断・指揮統制を持つ有志国連合構想が大きく動き出したように思う。
発起人的フランスは、ドイツ国境に近い空軍基地を有志国連合の拠点にするとして、同基地に大量の次世代戦闘機と超音速ミサイルを配備すると発表した。
ドイツは、兵器の調達・増産に必要な巨額資金を得るための国債発行を可能とする基本法(以下、憲法)改正を行った。
ドイツの憲法改正については、主導した保守政党(キリスト教民主・社会同盟)に、中道左派政党(社会民主党、緑の党)が賛成したとされている。脱原発・風力発電推進・二酸化炭素削減などの環境政党と思っていた緑の党が賛成したのは、所詮「命あっての環境政策」と現実的な選択によるものであろうか。現在、連立政権に参加しているとはいえ、党議拘束が希薄な欧州で緑の党までが賛成したことは、他山の石と捉えなければならないように思う。
憲法改正、それも今そこにある危機の緊急事態条項の審議まで及び腰、集団安全保障を違憲とするものの自前の国防に無頓着・無定見の日本国中道左派政党を観るにつけ、今回の独仏の対応「これぞ国民の安寧と幸福を考える政治」と思わざるを得ない。
夫婦同姓原則が国民の生命まで左右する事か、10万円の商品券授受が国民の命を危うくするのか、国会議員諸氏にあっては、国政レベルの議論をお願いしたいものである。政治への失望・無関心は、国会論戦が我々最下層がする低次元の居酒屋談義・井戸端会議的議論に多くの時間を割いていることに起因すると思う。
立憲民主党の野田代表は、商品券問題に対して「石破総理が退陣する事での幕引きは言語道断」と声を荒げたが、真意は「不人気の総理で参院選を戦いたい」という政局・政争に起因するとされている。立民恒例である会期末の内閣不信任案も提出されないだろう。何故なら、立民としては不信任案可決で内閣総辞職、自民党の顔が変わるのは何としても避けたいであろうから。
これほどまでに野党から大事にされ、存続を懇請される総理大臣は、これまでに例を観なかったのではないだろうか。