米教育省が、少数派(マイノリティー)の人種を優遇している疑いで約50の大学を調査することが報じられた。
マイノリティーの権利を擁護すべく法律等で、新入生の人種比率などを義務付けた結果、却って白人やアジア系の門戸を狭める逆差別が顕著になるとともに、過度のマイノリティー擁護思想は、博士号審査や奨学金受給審査にまで及んでいるらしい。
古来から法規制には数字を掲げることが一般的・かつ有効であり、日本でも男女雇用機会均等法などは当初の努力目標から数値目標に改正されている。
しかしながら、年月を経ると法令等に定められた数字は策定当初の理念や合理性から離れて独り歩きを始めるのも、また古今東西を問わないように思える。
独り歩きを始めた数字の魔力が、国民の不利益となったり個人の人権を損なったりするケースも多い。
かって日本には防衛費を対GNP比1%以内(シーリング)とする閣議決定があった。決定当初は、国際情勢は比較的に安定、米軍の盾は堅固と云う状況下で過度の防衛費支出が国民福祉や国家事業を圧迫することを防ぐため、いわば「身の丈に合った軍備」を目指すものであったが、シーリングが独り歩きを始めると、国際情勢の変化や為替の変動にお構いなくという事態に陥って、自衛隊は張子の虎の装備しか保有できなくなってしまった。
ソ連時代は何事につけても「ノルマ」が設定されていた。シベリア開発で示されたノルマは、多くの抑留日本人の命を奪った。農民についても集団農場(コルホーズ)に課せられたノルマを達成するために、帝政時代の農奴もかくやと思える生活であったとされる。
策定時において、ある程度の合理性と説得力を持っている数値目標に反対することは、「人でなし」の大合唱を浴びせられること確実で困難であるが、数値の弊害が顕在化した場合は、躊躇なく改正また方向を転ずべきであると思う。
全米証券取引委員会は、マイノリティーに関する条項を上場要件から外した。
トランプ氏は、DEIに過ぎると沿岸防備隊司令官を更迭した。
自分を含め「小遣い〇円」と規定(命令)されている方も多いだろうが、何年かの年月を経て独り歩きしている数字の改正は不可能に近い。
魔力を持った数字の改正は事の大小を問わずに大変であるが、国政に与る方々の奮闘を期待して、終演。