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ゆるキャン△の聖地を行く39 その4  三保松原の羽衣ノ松

2024年06月07日 | ゆるキャン△

 静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」の見学を終えて松原の上へと戻りました。バス停から「みほしるべ」へ繋がる直接の道は無く、松原の園路を経由するのが唯一のルートだったからです。

 戻る途中で、上図の看板を読みました。能楽や謡曲などで取り上げられてきた「羽衣伝説」の概要で、子供の頃に昔話で読んで知っていた日本古来の伝承の一つです。

 この「羽衣伝説」は、全国各地に似たような話が伝わっています。既に八世紀、天平時代には成立して流布していたようで、和銅六年(716)に編纂が命じられた各国の「風土記」にそれぞれの地域の「羽衣伝説」が記載されています。現存しているのは近江国と丹後国の分ですが、それぞれ内容がちょっと異なります。

 近江国風土記の記載では、天に帰れなくなった天女は男と結婚し子供を残すが、ある日、羽衣を見つけて天上へ戻る、となっており、私が昔話で読んだのもこのストーリーでした。

 ところが丹後国風土記の記載では、天に帰れなくなった天女は、老夫婦の子として引き取られ、酒造りにたけて老夫婦を裕福にするが、老夫婦は自分の子ではないと言って追い出してしまい、天女は別の地に留まる、となっています。世子相続制が強固に続いた山陰地方の習俗をよく反映している内容です。

 これらに対して、ここ駿河国の三保松原の「羽衣伝説」は、上図の案内文にあるように、天に帰れなくなった天女は、男に舞を見せる条件で羽衣を返してもらい舞いながら天上へ戻る、というシンプルなストーリーになっています。天女に優しい内容であり、これを駿河地方の穏やかで温厚な気質の現れとみる説もあるようです。

 

 バス停へ連絡する園路は御神体の松の横を通っていますので、再度老松を眺める成り行きになりました。

 

 松の傍らにある「羽衣伝説」の石碑です。この駿河国の羽衣伝説も、近江や丹後と同じく和銅六年(716)の風土記編纂時には既に成立していたもののようですが、残念ながら駿河国の風土記は今に伝わっていません。

 ただ、その逸文とされる条文がわずかながら幾つかの他書に引用されており、それらをまとめて「駿河国風土記逸文」と呼んでいますが、そのなかに三保松原の「羽衣伝説」の項もあります。江戸期の有名な儒学者であった林羅山がその著書「本朝神社考」五巻にて「風土記を案ずるに」として引用していますが、不思議なことにストーリーが上図の石碑にも紹介されている内容とはちょっと違います。
 要約すると、天に帰れなくなった天女は男と結婚し子供を残すが、ある日、羽衣を見つけて天上へ戻る、そして男も仙人となって天に昇る、という内容です。

 これは駿河国の「羽衣伝説」の本来のストーリーなのか、それとも別伝なのかは分かりませんが、先に紹介した近江国風土記の記載によく似ています。それが現在、ここ三保松原では、舞を見せる条件で羽衣を返してもらい舞いながら天上へ戻る、というストーリーになっていますから、伝説の変化があったことは間違いないようです。

 ですが、なぜストーリーが変わったのかについては全く分かっていないようで、各資料を色々探してもそれらしい記述が見つかりませんでした。

 

 ともあれ、「羽衣伝説」の本家本元のように言われているここ三保松原の伝承地です。国指定の名勝にもなっていて、その石碑も建てられています。

 

 しかし、立派な松です。大きく太い幹が海に向かって斜めに伸び、それが枝分かれして枝葉が空を覆うように広がっています。

 

 枝が伸びる方向には駿河湾の海原と広い砂浜が見えました。

 

 これで見るべきものは見た、と考えて時計を見ましたが、帰りのバスの時刻までまだ20分ほどありました。

 

 そこで、松原の中を南へ向かって少し散歩しました。バス停も南側にあるので、すぐに戻れます。松葉の香りと落ち葉の乾いた香りとが混ざって、林を吹き抜ける風にのって広がってくるのが、なぜか心地よかったです。聞いた話では、松葉には一種のセラピー効果があるといいます。

 そういえば、松葉は昔は薬草の一種であったと聞きます。古代の中国では仙人の主食とされ、不老長寿の妙薬ともいわれたそうです。
 日本でも、古代から各地に、松葉を煎じて飲んだり、松を擦った粉を傷口に塗布したり、といった民間療法が伝えられていますが、近年の医学でも松葉の効能が明らかにされ、脳梗塞や癌の治療や予防などに効果があるとされています。松葉を原料とした茶やジュースも販売されていると聞きます。

 

 三保松原、なかなか楽しく興味深いところでした。機会があれば、富士山がくっきりと綺麗に見える日にまた松原の下を歩き、砂浜を歩いてみたいと思います。  (続く)

 


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