月水食堂のお弁当

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春との旅

2010-05-23 11:59:42 | 日記
以前から要チェックしていた映画「春との旅」を観に行った。

19才の孫娘春と、少し足の不自由な老人は二人暮らし。職を失った孫娘が上京したいと希望し、老人は半ばやけになりながら、自分の兄弟の家を一軒一軒訪ね歩く旅に出る。

その後ろを追いかける孫娘の赤いジャンバーが痛いほど目にしみる。

やりきれない哀しみを背負う二人の姿は、始まりからしばらく台詞がないが、体で台詞を語っていた。

老人は昔、ニシン漁に夢をはせ大海原に出た。

家族とはその夢との引き換えに絆を弱めていた。

何年も疎遠だったそんな兄弟の元に、自分の面倒をみてほしいと訪ね歩くのだ。

無謀である。しかし、本気ではないのだと次第にわかる。

老人は、肉親に別れを告げに行ったのだと。

孫娘はわずか19才で、人生の辛さ、哀しみを全て知り尽くしている。

両親の離婚、母の自殺、祖父の世話、失業、生活苦。

本来なら、自分のことだけにかまけることのできる年齢だというのに…

祖父がことごとく兄弟から見切りをつけられ、孫娘は決心する。

自分が一生おじいちゃんのそばにいるから と。

そして、孫娘は生き別れの父に会いたいと申し出る。
おじいちゃんが兄弟に会っているのを見て、自分も父に会いたいと。

二人の旅は後編に入る。
父の家を訪ねると、すでに父は再婚していた。

父との再会。ここからは、思い出すだけでたまらなく泣ける。夫婦が別れた頃には幼かった娘。しかし、幼いなりに全てを心のシャッターに納め知り尽くしていた。

こどもはなんと賢いのだろう。


最後の結末は語れない。
あまりにつらく、しかし 見方を変えれば壮大な人間讃歌とも言える。

見終えた後はかなりこたえる。

いつまでも、涙が止まらないのだから。

主演は名優仲代達矢さん、若手実力派の徳永えりさんのお二人である。