防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

論文とは

2008年11月15日 | 雑感
このごろ田母神氏の論文が注目されています。内容は専門外なので言及はしませんが、「論文」という言葉がこれほどクローズアップされたことはなかったでしょう。

自然科学の場合、「発見」と「実証」が伴って初めて論文として認められます。実は報告とは天と地の開きがありまして、私が書いているのも論文ではなくて、「報告」なのです。少し自虐的に言えば、エッセイに近いものがあります。これは私が「観察」した結果に関する思索の世界にとどまっているからです。

田母神氏も、実はエッセイだったのに、論文としたところに騒ぎを大きくする要因になっているのではないでしょうか。

昭和のにおい

2008年11月14日 | 維持管理の時代
地すべり対策施設の維持管理を行う仕事をやることになりました。台帳(いまあまり台帳という言葉も使わなくなりましたが)をみると、B4サイズ縦、手書きの報告書が昭和の香りがぷんぷんします。おそらく草むらや藪のなかに埋もれている集水井や排水路を探し続けることになるでしょう。

平成も20年になってくると、もうたいがいの地すべり地に何らかの対策はしてあるわけで、経済状況も踏まえれば、もう新しい施設の追加は少なくなるでしょう。薄利多売の時代とも言えるでしょうか。う~ん。。。

それにしても「まちこわし大賞」とは

2008年11月13日 | 各地でのTOPICS
今日のテレビ朝日のお昼の番組で、北九州市のマンション建設と地盤沈下の門だを取り上げていました。

 
マンション建設当初から家屋が傾きはじめ、マンション業者は、自主調査では建設と不同沈下の因果関係はない市役所は民民の話だから介入できん
 
よくある話ですが、コメンテーターの大沢弁護士が地盤の専門家による第三者機関が必要ですねえ、という言葉が印象的でした。

景観と住環境の議論も多いが地盤を見ていない。
弁護士ほどの知識を持つ人も、地盤はほとんど知らない。

何でそんなにマイナーなんでしょう?

2兆円あれば何ができるか

2008年11月12日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
定額給付金なるあほみたいな政策が、実施されるんだかされないんだかわけのわからない状態になっています。まあ、2兆円あったら生活支援、社会福祉、いやエネルギー事業費に回すべきだ言う声が上がっていますが、ここは私の防災ブログ的に考えてみました。

平成19年度の砂防関係事業費(土石流、地すべり、がけ崩れ対策)が4.3兆円です。このうち、だれがどうみても無駄じゃんという調査、その結果を受けた設計がありますので、額面どうりには実施されません。さらに厳密に言えば、例えば土石流危険渓流などでは土砂整備率100%を目指すという旗印のもとに、既存の砂防ダム、治山ダムがあっても無理やり砂防ダムを造ったりするなど、力づくで抑えこむ砂防から”少しは壊れるものをつくる”といったパラダイムシフトができれば、多分2兆円で砂防事業ができちゃいます。

予防防災のために、とりあえず丸腰の斜面をなくそうとういうこともできるかも知れません。

最後のニュース

2008年11月11日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
今日筑紫哲也さんの追悼番組で、井上陽水氏が「最後のニュース」を生演奏で歌いました。その歌詞のなかで、次のようなものがあります。

暑い国の象や広い海の鯨
滅び行くかどうか誰が調べるのお
原子力と水と石油たちのために
私たちはナニをしてあげられるのお

誰がしらべるのか、本当に重要です。地学にもとづいた冷静が議論が本当に必要です。

地すべり的大勝利

2008年11月10日 | 雑感
選挙で大勝利があると、「地すべり的大勝利」という言葉がよく使われます。オバマ氏にもどうやら当てまりそうです。普段から地すべりと対処していると、いろんなことを考えてしまいます。

ひとことに地すべりといっても実はいろんなタイプがあります。いちばん的確でわかりやすいのは、アメリカの地質調査所の説明図です。
http://pubs.usgs.gov/fs/2004/3072/images/Fig3grouping-2LG.jpg

かなり突発的なものもあれば、ゆるゆると長く続くものもある、あるいは何世代にもわたって細分化する地すべり地帯を形成するもの、真っ二つにセパレートするもの、、

選挙の場合は、全てを押しつぶすという意味でのみ、その瞬間だけ伝えられますが、地すべりは発達史がありますので、長い目で見守ることが必要だと思います。

為替ニュースの「災害」という表現

2008年11月09日 | 防災・環境のコンセプト

アメリカではリーマンが倒れ、オバマが「Yes We Can」を旗印に当選するなど、喜怒哀楽が激しくなっています。日本では、天下を取っていたトヨタが大幅減など、あまりよいニュースを聞きません。そんななか、このようなニュースがありました。

-----------------------------------------------------------------------------
NY市場 GMの破綻は米経済にとって大災害、政府は対応迫られる
http://www.gci-klug.jp/fxnews/detail.php?id=23075
決算発表を行ったGMのワゴナー会長は、破綻の予定はなく事業に集中し続けると語った。ただ、議会関係者に対して、ブッシュ現米大統領が政権を去るまでに、出来る限り早期の緊急融資を求めるなど、急速な資金繰りの悪化に言及した。事業を継続する上でほかにプランが無く、GMの破綻は米経済にとって大災害となるとも述べた。仮に米自動車産業が破綻となれば、米雇用環境の悪化はさらに加速しそうだ。ただ、おそらくは救いの手が差し伸べられるのではないか。
-----------------------------------------------------------------------------

経済の悪化を災害にたとえる表現は初めて見ました。災害であれば、「復旧」「復興」という言葉が対になって用いられるはずです。日本の新聞が「大打撃」などど、いかにもノックアウトされ立ち上がれそうにないこと言葉を使ってしまいがちです。

災害という言葉に対する感覚が、日米で大分違うのではないかと思うのですが、最後に「おそらくは救いの手が差し伸べられるのではないか。」という言葉で締めていることに、なんとなくそんなことを感じるのです。


大分県

2008年11月08日 | 各地でのTOPICS
昨日なくなった筑紫哲也さんは大分県出身でした。私も少年時代は山本浩二、衣笠率いる広島カープの全盛期のファンでしたので共通点があります。

アーティストのK容疑者の奥様は大分県出身だそうですね。九州はアーティストが多いのですね。

Jリーグで大分トリニータが好調です。鹿島と名古屋を直接倒せば、Jリーグのチャンピオンベルトが関門海峡を越えます。

最も影響度が高いのは南海トラフの地震です。沈み込むフィリピン海プレート内の地震や安芸灘~伊予灘~豊後水道のプレート内地震の影響度がやや高くなっています。また、主要活断層帯の地震の影響度も見られ、これは近傍にある別府-万年山断層帯の影響であると考えられます。
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/08_yosokuchizu/c1-2-3.htm#1-2-3

筑紫哲也さん 逝く

2008年11月07日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
高校生のときから久米さんと筑紫さんの顔を連続してみてきたので、さびしい思いは否めません。ニュース23はベルリンの壁が崩壊し、今につながる「カンキョウロン」に火がつき始めたころであり、それについていろいろとコメントされたと思います。

しかし、やはり「文科系」ですからね。地球温暖化についてもよくコメントしていましたが、地質学的背景には触れなかった、工学的なコメントもあまり聞かなかったような気がします。

職人気質な人が多い、科学者・技術者は、真理を探究することに夢中になる面白さを知っているだけに、饒舌であることに一線を引いていることが多いのか、魅力あるスピーチのあり方、パフォーマンス、プレゼンは不得手な人が多い。

筑紫さんは文化の薫り高き人だったと思いますが、”理系”にももう少し突っ込んでほしかった。合掌。

健康がいちばん

2008年11月06日 | 雑感
妻が教えてくれました。
これはいい。防災も環境保全も健康から!!
http://www.aska-corp.jp/new_product/organic_health_mission/index.html#anchor2

「飲んだ翌日、目覚めが違う」と好評の「天然黒ニンニク卵黄油」。タマネギを有機栽培のものに変更し、リニューアルが叶いました。その皮には抗酸化にパワーを発揮するポリフェノールがたっぷり含まれています。もちろん青森産の黒ニンニクと、宮崎産の鶏卵は使用。3つの成分の相乗パワーを凝縮したこのひと粒で、内側からグッタリを吹き飛ばします。もちろん成分を包むカプセルも天然です。


呟きコラム-地下探査技術セミナー-

2008年11月05日 | 防災・環境のコンセプト
楽天の野村監督のボヤキDVDがでるようですが、昨年出版された『地下探査セミナー』http://www.kokon.co.jp/h5210.htmという本には、呟きコラムという、とても興味深い(ボヤキに近い)コメントが載っています。著者のひとりは、このブログにブックマークを貼っている竹内篤雄先生です。まず、ひとつ引用してみます。

-----------------------------------------------------------------------------
最近、不景気の影響で調査に対する経費締め付けも厳しくなってきている。このようななか、コンサルタントの「協力会社」という美名の元にある「下請け」でボーリングを行う人たちはもっと厳しい締め付けにあっている。あるゆるものの基礎資料となるべきボーリング調査が、その締め付けなる「怪獣」のために、かなりお座なりになっている。真面目に職人気質を丸出しにして、きちんと孔芯をとっていてはとても採算に合わない。そこで、力任せに掘削し、日掘進量を稼ぐことになる。メーターいくらの世界である。当然孔芯の質は落ちる。それを基にして、柱状図を作成し、地質断面図を作成して設計に回す。設計屋さんは柱状図や断面図をみて、諸数値を決める。「何か恐ろしいことが行われている」と皆さんは思われませんか?
-----------------------------------------------------------------------------

このブログにリンクを貼っている今岡さんは、ご自身のブログで、粗粒玄武岩の玉ねぎ状風化のボーリングコアを取ってこられた方へのリスペクトを述べておられました。

社保庁のトラブルなんか見ているとおもうのですが、正解はひとつ、解釈に個人差があるのはデメリット、マークシート式なので作業に試行錯誤があるのを前提にして考えられないし、災害の記憶も想像力もない。そんな人種が金と権利だけは持っている。この辺の精神構造を改革しないと、Yes We Canとはいかないでしょう。

我がふるさとの浮き沈み

2008年11月04日 | 各地でのTOPICS
タイトルからしてバブルだサブプライムだ地方の経済疲弊だといった、浮き沈みといえば昨今そんな話題ばっかりですね。

でも、この話は、物理的な浮き沈みです。隆起・沈降ってやつです。最近は干渉SARと呼ばれる(英語の Synthetic Aperture Radar の頭文字をとっています。 直訳すると、「合成」「開口」「レーダー」です。 ちなみに、レーダー(Radar)は、 RAdio Detection And Rangingの頭文字です)レーダーで、cm単位で地盤の動きがわかるようになっています。

そんななか、私のふるさとである有明海周辺の地盤の浮き沈みの関する論文が出ておりました。

有明粘土は土粒子同士の粘着性が強いため、乾いてもばらばらになりにくく、収縮時には全体に大きくひび割れます。

だからって、稲刈りだなんだと個人管理にも差がある田んぼの地盤の動向を宇宙から捉えるのは、ちょっと無理があるような気がします。

神奈川新聞のコラム

2008年11月03日 | 災害の記憶と想像力
日本民俗学の開祖、柳田国男は「地名の研究」に
「いわゆる人と天然の交渉をこれ以上綿密に、記録しているものは他にない」
これを究めないで郷土の生い立ちは語れない。
ある言葉をある地形に結びつけた最初の動機を尋ねないではいられない

日本遺産とも言うべき地名
今の地名はなんと浅はかなものが多いことか