GEN事務局会田の大同活動日記

中国黄土高原でのGENの活動や、現地の人々の生活をお伝えします。

忘れられない一日

2006年03月31日 | Weblog
今日は朝から大同事務所スタッフと今後のスケジュールの打ち合わせ。
また新たに4月中にツアーの下見をしたいという問い合わせがあり、日程や行程の相談などをしました。大同にいると空いているスケジュールに、どんどん予定が詰まっていきます。うれしい悲鳴ですね。

そして午後はカウンターパートである大同市総工会の李主席と高見事務局長が面会。
現在の日中関係の大局を踏まえた、今後の協力活動の方針についての話し合いが行われました。
私事ですが、私自身中国と関わって今年で15年が経ちます。
この間に「日本と中国」にいろんな想いを重ねてきました。
この日の高見事務局長と李主席の話し合いで、GENそして高見事務局長が大同で15年間やってきたことの意味を目の当たりにした思いがします。
そしてまだうまく自分の中で整理ができていないのですが、私がこれから中国と付き合っていく中での大きな方向性を与えてもらったと思います。
私がこの会見の場に居合わせることができて、とても幸せに思いました。
GENにとっても、大同市にとっても、そして大きく言えばきっと日中関係にとっても、素晴らしい会談でした。

ツアー最終日

2006年03月30日 | Weblog
あっという間に大同最終日です。
今日の予想最高気温は19℃。
霊丘で真冬の寒さを体験した身にとって、19℃はとても暑く感じました。
シャツ一枚でも大丈夫なほどの陽気でした。
それにしても中国の日差しは本当に強い!
帽子をかぶって焼けないようにしても、毎日顔がヒリヒリします。

午前中は2001年に世界遺産になった「雲崗石窟」を参観。
その後、緑の地球ネットワークの大同の活動の中心基地である「環境林センター」に向かいました。環境林センターは1995年に着工し、敷地面積20ha、南北に820m、東西に250mの広さを有しています。
センターでは各村のプロジェクト地で使うアンズ苗や混植のための灌木苗を育てています。
土壌は、長年生活汚水が潅漑に使われていたため富栄養化しており、針葉樹の育苗には適していません。
育苗しているものはこのほかに、エンジュ、トネリコ、ニセアカシア、シンジュ、イチョウ、新疆ポプラ、シダレヤナギ、サージ、クコ、マントウヤナギ、ネコヤナギ、金糸ヤナギ、速生ヤナギ、モクゲンジ、リンゴナシ、107ポプラ、108ポプラなど多岐に渡っています。
ポプラ見本園には20種類のポプラが植えられています。
このほかに大同北部で生育可能な品種を集めた見本園や、温室、実験・研修施設、宿舎を備えています。

また2000年には土壌微生物を利用した「汚水処理施設」を作りました。
周りの住宅から出る生活汚排水を浄化して、センターの灌漑用水に使います。
生活汚排水ですから、原水は見た目は灰色、においもきつく、CODは200~230ppmに達しますが、処理後は8ppm~20ppmまで下がります。
色も透明、においも消え、ペットボトルにいれておけばミネラルウォーターと間違えてしまうほどです。
残念ながら昨年はまったく稼動することができませんでした。
というのも昨夏の初めは雨が極端に少なく、周囲の畑で汚水の奪い合いまでが起こり、とても使えるような状態ではありませんでした。さて今年はどうでしょうか。

ツアーご一行は環境林センターで最後の作業をした後、市内で歓送会を行い、夜行列車で北京に向かいました。
大同でツアーのみなさんをお見送りすると、ツアーが滞りなく終わったことに安堵するよりも、いつもなんともいえない寂しさが残ります。
日本全国から集まった幅広い年代の方々と、この大同という地でお会いできることに、毎回とても不思議な縁を感じています。
今回も素晴らしい出会いがたくさんありました。
参加者の皆さんと交流する中で、私自身いろいろな勉強をさせていただいています。
みなさん、大同に来てくださって本当にありがとうございました!!
よかったらまたぜひ大同に来てくださいね!

ツアー4日目①白登苗圃

2006年03月29日 | 白登苗圃
7泊8日のツアーも後半に入りました。
今日から2日間は大同市内での活動です。
今日の予想最高気温は16℃。少し気温が上がるようです。
午前中は、緑の地球ネットワークの第二苗圃である「白登苗圃」を訪れました。
この白登苗圃は、JICA草の根技術協力の委託事業として、2005年3月31日に春のツアーを迎えて開所式を行いスタートしました。ちょうど一年です。
敷地面積は8ha、針葉樹を中心に菌根菌の技術を使って育苗を行っています。
昨年一年で65万株のアブラマツ、モンゴリマツ、トウヒ、トショウを植えました。
うち約50万株を種から育てていますが、現在はすべて土伏せしてあります。
目的は主に二つ。冬の乾燥した風で水分が飛ばされ枯れてしまうことを防ぐためと、ウサギの害から守るためです。

ツアー4日目③白登苗圃で植樹

2006年03月29日 | 白登苗圃
白登苗圃では、技術責任者の馬さん指導のもと、苗圃の周りに新疆ポプラを植えました。
この苗も先日「環境林センター」から出荷していたものです。
中国での植林はどこでも縦横まっすぐきれいに植えますが、今回も苗を一直線に植えることに四苦八苦しました。
写真の右側に写っているシダレニレは昨年の春のワーキングツアーで植えたものです。

ツアー4日目④采涼山プロジェクト

2006年03月29日 | 采涼山プロジェクト
白登苗圃で昼食をとった後、大同県聚楽郷の采涼山プロジェクトを見学しました。
元々はほとんど植物が生えていなかった荒れ山でしたが、1999年からここで「地球環境林」プロジェクトを始めました。
敷地面積300haのうち、一年間の植樹面積を管理できる範囲内の50haに制限し、6年かけて植樹を行いました。植えたものは主にモンゴリマツ、サージ、ムレスズメです。
マツは大きいものですでに2mの高さに成長しており、現在では大同市の植林プロジェクトのモデル地になっています。
前年に降った雨が地中に凍結水として蓄えられるため、前年の降雨量に比例して成長します。
毎回来るたびに、風船をふくらますようにグングンと大きくなっています。

このプロジェクトが成功した主な理由として、プロジェクト初期の郷の書記が緑化に非常に熱心であったこと。この6年間に旱魃、虫害等がたびたび発生しても、菌根菌を使って育てた強い苗を使っていたため、生命力が強かったこと。また植え方にも様々な工夫が施されていることなどがあげられます。

ツアー4日目⑤カササギの森

2006年03月29日 | カササギの森
カササギの森に到着。
カササギの森は海抜1450mに位置し、南北約4km、東西約1.2kmに広がり、うち植樹可能な面積は約250haです。
ここではアブラマツの苗を植えました。全部で600本ほど植えたでしょうか。
いつもカササギの森は強風が吹き荒れて、この時期はまだとても寒いのですが、今日は朝から晴天に恵まれ、カササギの森も風もなくおだやかに晴れ渡っていました。
カササギの森の周り360℃見渡す限りに侵食谷と段々畑が広がっています。

ツアー3日目①農村の教育事情&果樹園の見学

2006年03月28日 | Weblog
昨日の夜は疲れ果ててなんと9時半には寝たので、今日は6時には起床。
今日は昨日の天候と打って変わってきれいに晴れ渡りました。
中国に来てから、毎日体を動かし、早寝早起きでよく食べよく寝て、どんどん健康的になっています。

7時すぎに小学校4年生の偉くんが学校から帰ってきました。
なんと朝5時半から授業だったとのこと。
「???」と思い、詳しく聞いてみると、なんと授業は毎日5:30~7:00、8:00~12:30、14:00~17:00、19:00~20:30と、朝から晩まで一日10時間半もあるそうです!!
中国が、日本とは比べ物にならないほどの過酷な競争社会に突入していることは知っていましたが、それが農村の小学校にも及んでいるとは。
「勉強たいへんだね」と偉くんに声をかけると、「ううん、勉強はとっても楽しいよ」とのこと。
大同のスタッフに、「小学校のうちからあんなに勉強ばっかりじゃあちょっとかわいそう気がする」と私が言うと、「小学校、中学校、高校、大学、社会人と進むにつれて、競争がますます厳しくなっていくんだよ。大人になったときに競争社会で勝ち残っていけないほうがもっとかわいそうな思いをさせてしまう。」と言われました。

村には元々公立の小学校がありましたが、退職をした先生が村に新しく私立の学校を建てたとのこと。
今、霊丘県は景気がいいために、小学校と中学校の学費が全額免除になっていますが、私立の小学校に行かせるには年間800元の学費がかかります。
それでも今や私立の小学校は200人も生徒を集めているそうです。
公立の小学校の生徒数はその10分の1の25人です。
そのうち公立の小学校は立ち行かなくなってしまうかもしれません。

どちらにしろ、学費が免除されるのは大同市ではまだ霊丘県だけ。
それもまだ始まったばかりです。
都市と農村はもちろんのこと、大同市内、それも農村の中でも教育格差が広がっているのを目の当たりにした思いです。

朝ごはんをホームステイ先でいただいたあと、「小学校付属果樹園」を見学しました。
村の果樹林にはリンゴ、ナツメ、ブドウ、アンズ、スモモ、クルミなどが植えられています。
緑の地球ネットワークは96年から「小学校付属果樹園」としてこの村で協力を始めました。果樹林130haのうちの半分の面積がGENの協力で植えたものです。


ツアー3日目②小学生と植樹

2006年03月28日 | 地球環境林
見学の後、村の木材林に新疆ポプラの苗木を小学生と一緒に植えました。
新疆ポプラはよく並木道の緑化に使われていますが、18年から20年育てると木材にもなります。
本来はアンズの苗を植える予定でしたが、今年は春の到来が遅く、
アンズの苗を植えるにはまだ時期が早いため今年は新疆ポプラになりました。
土を20cmも掘るとカチコチの凍結した土にぶつかります。
まだ土の凍結が溶けていません。
冬最大で地上から80cmほどの深さまで凍るそうです。

村の小学生が河から水をせっせと運んでくれました。
そのうち私の慣れない手つきが見てられなくなったのでしょう・・。
私に変わってスコップを持って一生懸命に穴を掘ってくれました。
そして「はい、次はこれだよ」「はい、苗を入れて」と子どもたちに言われるがまま、指示通りに動きました・・。
「日本人と木を植えた」というこの日の記憶は、10年後、20年後にどういった形でこの子たちの心に残るのでしょうか。

ツアー3日目③家族

2006年03月28日 | ホームステイ
昼食をとりに、ホームステイ先の家に戻りました。
お昼は餃子でした。
心温まるおもてなし、ありがとうございました。
3歳の娘ちゃんは笑顔がとってもかわいいのに、カメラを向けると泣き出しそうになってしまいました。


ツアー3日目④プレゼント

2006年03月28日 | Weblog
午後は村の小学校で交流会です。
交流会が始まるのを待っている間に、小学生が恥ずかしそうに寄ってきて、
「あげる」といって折り紙を手渡してくれました。
私たちが来るために準備して、折って待っていてくれたのかな。
こどもたちのささやかな心遣いにじーんとしてしまいました・・。

ツアー3日目⑤おにごっこ

2006年03月28日 | 小学校で交流
今回最年少で参加した高校生の島崎くん。
交流会が始まるのを待つ間に、小学生とおにごっこ。
一番年齢が近いせいでしょうか、すっかり打ち解けてしまいました。
この後島崎くんは大人気で、小学生から両手に持ちきれないほどの
おかしやアイスをもらっていました。
「心を通わせるのに、言葉はいらないんですね」の一言がとっても印象的でした。




ツアー2日目①自然植物園

2006年03月27日 | 南天門自然植物園
朝食後に「霊丘自然植物園」に向かいました。
山の中腹にある管理棟までは大型車が入れないため、山のふもとでバスを止め、そこから40分以上歩いたでしょうか、ようやく植物園に到着。
霊丘自然植物園は、霊丘県でナラの大木やカバノキ、カエデなど落葉広葉樹が自生する自然林が発見されたことを機に、放牧や柴刈りを排除するとどのように植生が復活するのかを観察するため、1999年に作られました。
また中国内外から寒冷・乾燥地に適した樹種をあつめ、試験栽培もおこなっています。
86haの敷地を13の区域に分け、海抜900mから1300mの高低差を利用してそれぞれの地形、海抜に合わせて植える種類を変えています。
常勤スタッフは4人。
大同市の最南端に位置するため、春の到来が他と比べて早く、すでに植栽シーズンが始まっています。
今年の春は15種類80,000株を新たに植える予定です。
この7年間に目に見えて大きな変化があり、いまや夏にここを訪れると、素人の私の目には日本の避暑地の森林と変らないように見えます。
昨年の春のちょうど同じ頃にシラカンバの幼木と背比べをして写真を撮りました。
昨年は私の肩ほどの高さだったのですが、今回みつけてびっくり!私の頭上をはるかに超えていました。昨年の倍の高さになったのではないでしょうか。
こうしてぐんぐんのびていくのですね。

植物園に着くとすぐに作業です。
ハマナスの仲間のマイカイを植えました。バラ科植物なので、とげだらけです。
根に土がどっさりと付いた重いとげだらけの苗の一体どこを持ったらいいのか?
四苦八苦しながらとげがちくちくささる中、泣く泣く山の中腹まで運びました。


ツアー2日目②突然の吹雪

2006年03月27日 | 南天門自然植物園
作業も中盤にさしかかったところ、北側の山に急に真っ白いもやがかかりました。
なんだろう?と思っている間に、強風とともに雪が降り始めました。
ツアーが行くところ、どうしてこう雪ばかり降るのでしょうか?
誰か雪女がいるんじゃないの~なんて冗談を言っていたのですが、そのうちにそんな冗談も言っていられないほどの吹雪に!
これじゃあまるで日本のスキー場で体験する雪です。
昼食後も雪は降り止まず、一同震えながら植物園を見学。
あんまりの寒さに、雪の中の見学風景の写真を撮ることも忘れてしまいました。残念。
そして植物園の最高峰を目指して登山です。
1300mの頂上が近づくにつれ、自分の体力が限界に近づいたからか、それとも海抜が上がるためにどんどん空気が薄くなったからか、よくわかりませんが、最後はゼーハーゼーハー息も切れ切れ、やっとの思いで山頂にたどり着きました。
幸い途中で雪はやみ、周囲はきれいに晴れ渡り、山頂から周囲の景色を堪能することができました。