GEN事務局会田の大同活動日記

中国黄土高原でのGENの活動や、現地の人々の生活をお伝えします。

みなさま、良いお年を。

2006年12月28日 | Weblog
GEN事務局は本日が仕事納めです。
今年の3月から細々とこのブログをはじめ、たくさんの方にアドバイスをいただきながら「大同活動日記」を更新してきました。その後急速にアクセス数が増えたことに驚くとともに、多くの方にGENの活動に関心を寄せていただいていることに、大変感謝しています。またたくさんの方にコメントもいただき、とても励みになりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

来年早々、1月10日から一週間、また大同へ行くことになりました。極寒期の大同の様子をこのブログでお伝えします。先日大同事務所の魏副所長に「1月って一番寒い時期でしょう?」と尋ねると、「今年は暖冬だから大丈夫だよ。たぶん最低気温でマイナス17~18℃くらいまでしか下がらないから」と言われました・・。十分寒いです。。きっと全員雪だるまのような格好でまた農村まわりをすることになると思います。

今年一年、たくさんの方にお世話になりました。
また多くの方との素敵な出会いがありました。本当にありがとうございました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。


中国の環境NPO事情

2006年12月25日 | Weblog
北京の某大学で中国の環境NPOを研究されている中国人教授と、先日京都でお話をする機会を得ました。今、中国国内ではNPO、いわゆる社会貢献を行う民間団体が急速に増えています。その一方で国家がNPOに対する規制を強める動きがあります。この教授はその流れに批判的で、自らの論文の中でもそれを批判されているのですが、やはりその論文は公式な場で発表をすることができないとのこと。このあたり、中国の複雑な国情がうかがい知れます。ということで、某大学の某教授としか書けません。あしからず。

私はちょうど一年前の今頃に、北京で開かれたJICA中国事務所主催の「日中NGOフォーラム」に出席しました。中国のNPO33団体と日本のNGO6団体が参加したこのフォーラムで、緑の地球ネットワークの活動紹介を行い、中国各地の様々な分野で活動する民間団体の人たちと情報交換を行いました。そのときも、中国側の参加者の熱意に圧倒され、中国全土すみずみまで市民活動の新しい波が広がっていることを肌で感じました。
中国では、中国政府の民政部に登記されているいわゆる合法的な民間団体は、2004年の段階で28万9,000団体もあるとのこと。1988年の4,446団体から毎年34%の伸び率で、登記されていない任意の民間団体に至っては、現在約300万団体に達しているそうです。

そのうち環境NPOに限ると、1994年に中国国内で有名な環境NPO団体「自然之友」が設立されて以来、急速にその数が増加し、今では2,768の組織があるそうです。これは民政部に登録されている、いわゆる合法的な組織の数なので、任意団体にいたっては更にこの10倍はあるかもしれません。この数字からも、中国国内でも環境に対する関心が高まっていることを感じます。

それにしても、この「民政部に正式登録された合法的組織」というのが少しくせものですね。中国では、急速に増える民間団体を政府がどのように「管理」するか、その枠組み作り、法整備が急速な課題となっているようです。昨年も、JICA研修の一環で「日本NPO制度視察研修」と題して、中国の中央、地方政府の民政部民間組織管理局のお役人が、GEN事務所を訪れました。
この民政部民間組織管理局の業務は、
・NPOに関する管理方針、政策、定款の制定及び実施の監督
・NPOの活動の監督、NPOの違法行為及び未登録なるもNPOの名義で活動を展開する違法組織の取り締まり
などなど。ちょっとぶっそうな言葉が並びます。日本のNPO法が行政の関与を極力抑制し、情報公開を通じて広く市民の監督下におき、市民による緩やかな監視を前提としていることと対照的です。これでは、如何にうまく政府と付き合いながら活動を行っていくかを考えなくてはなりません。

今後は、中国国内で活動する海外のNGOに対する管理を強化するという話もちらほら聞こえてきます。中国国内のNPOと海外のNPOが協働すべき時代がすでにきていると思いますが、やはり中国の国情を考えるとそれも一筋縄にはいかないことを、今回お会いした大学教授との懇談で改めて感じました。



霊丘自然植物園の野鳥

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
緑の地球ネットワークは、1999年から大同市の南端に位置する霊丘県で「自然植物園」プロジェクトを行っています。86haの土地を確保し、放牧や燃料伐採などを排除して植物の遷移を調査すると同時に、地元や隣接地の自生樹種の育苗と栽植の技術を蓄積してきました。すでにリョウトウナラ、シラカンバなどが最大のもので樹高10m、胸高直径15cm以上に育ち、草や潅木も急速に繁って、周囲とは異なった景観をつくっています。

その霊丘自然植物園で、会員の池本和夫さんが3年ごとに野鳥観察を行ってくださっています。
2000年春、2003年春、2006年春と、すでに3回分のデータと写真がGEN事務局にあります。その写真が大変素晴らしく、GEN事務局だけで独り占めしておくのは大変惜しいと常々思っていました。
そこでこの度、池本さんから許可をいただき、このブログで紹介させていただくことにしました。今回ご紹介する写真はすべて、今年の春に池本さんが自然植物園に一泊し、撮影された写真です。

この写真は、今年の4月18日に撮影した「自然植物園」の様子。常緑樹以外、まだ新緑はまったく芽吹いていません。こんな殺風景な場所に、果たしてどれだけの野鳥がいるのでしょうか。


調査方法:
①毎年、三日間にわたって調査。
②毎日早朝、午前、午後の3回、各々1.5時間程度。
③歩くコースを設定し、三回とも毎回コースを調査。
このように、一定のコースを決めてそこに出現する鳥を数える方法をラインセンサスというそうです。
集計方法:
②のうち、種ごとに、時間帯ごとの最大数を、その日のその種の数とする。


カワラヒワ②

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
2000年春に2羽、2003年春に9羽、2006年春は15羽観測されました。中国語では、金翅雀。本当に美しい金色の羽です。(学名、中国語名、観測数データはすべて池本さんご提供の資料に基づいています)。

ジョウビタキ①

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
ジョウビタキ(学名:Phoenicurus auroreus)のオス。春から初夏にかけて南方から渡ってきて、営巣、繁殖し、秋に再び温暖な越冬地に帰る夏鳥。2000年春に3羽、2003年春に4羽、2006年春に3羽観測されました。

ルリビタキ①

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
ルリビタキ(学名:Tarsiger cyanurus)のオス。春から初夏にかけて南方から渡ってきて、秋に再び温暖な越冬地に帰る夏鳥。2000年春4羽、2006年春5羽。
こんな鮮やかな色の鳥があの黄土高原にいるなんて、信じられない思いです。

ルリビタキ②

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
ルリビタキのメス。

このように、色とりどりの様々な野鳥がこの霊丘自然植物園で観測されています。
2000年春には11種31羽、2003年春には15種54羽、2006年春には14種70羽観測されました。このように植生が回復するにつれて、少しずつ野鳥の数が増えてきています。

放牧や伐採を排除すると、自生樹種がどんどん立ち上がってきます。またヤナギハグミ(サージ)などの実をつける木が増えると自然と鳥が集まります。鳥が集まれば、鳥がフンを落とすことで、遠くから様々な種を運んでくれます。こうして山の植生は自然と豊かになっていきます。ここに猛禽類が戻ってくれば、我々の天敵であるウサギの害の軽減も期待されます。ウサギにはちょっとかわいそうですが、こちらもそんなことは言っていられないくらい、毎年植栽している苗に大きな被害を受けています。

山全体の生態系のバランスが回復するには、この先いったい何年かかるのでしょうか。破壊するのはあっという間ですが、それを取り戻すのは気の遠くなるような年月が必要だということを改めて感じています。