「実戦コミュニケーション」第7回目の演習である。この回あたりから、学生たちの中に、やや積極的な取組姿勢にかける学生が目立ちはじめた。それどころかペアでの演習を拒んで、やる気でいる相手に気まずい思いをさせたり、全体の雰囲気に悪い影響を与えている場合があった。
内容が来談者中心のカウンセリングの基礎演習といったものに近く、よほどしっかりと動機づけをしないと、必修で受けている学生すべてに強い関心をもたせることのむずかしさを感じた。次年度の取り組みでは、動機づけのための導入をよほどしっかりしなければいけないと反省した。
一方で、演習の2回目、3回目で行った「偏愛マップ」を用いたコミュニケーションでの学生たちの盛り上がりや楽しそうな表情は、あまりに印象的であった。学生たちがそのように関心をもって取り組める演習の中心となる要素を、もっと発展させた演習はどうすれば可能かというのも、もう一つの課題となった。
要するに、学生たちにとっては一見しただけだったり、表面的な付き合いからでは分からない、相手の意外な興味・関心の世界に触れ、相手の大切にしている世界に触れるのが楽しく、またそれを通して何か大切なことを学ぶのである。もちろん逆に、自分が深く関心をもったり、それこそ「偏愛」していたりする分野について聞いてもらえるのは無条件に楽しい。
たとえば「偏愛マップ」を用いての対話の延長として、毎回、相手のこれまでとは違う何か新しい世界を発見しそれを相互に話題にするという課題を加えるのもよいかもしれない。まだまだ工夫の余地はありそうだ。
単純に「コミュニケーションをとることは楽しい」と学生たちに実感してもらえるような演習が半期通してできれば、この演習の意義は十分にあったことになるだろう。
それに対し、今回の演習では、三人が組んで一人が観察役になり、「傾聴」がしっかりできているかどうかをチェックしてもらうという形態をとった。15回の演習の最後に、演習全体を通して感想を書いてもらった中では、この三人一組での演習が意外と不評であった。互いにチェックし合ってカウンセリング的な傾聴の態度を学習するというところまで動機づけができていなかったというのもあるだろう。チェックするのもされるのも、そしてチェックした内容を伝えるのも、それを真剣にやるだけの動機づけが学生たちになかったといえるだろう。
ただし、この演習の最後に書かせた学生たちの感想の中では、このチェックし合う演習について「いやだった」という感想は出てこない。この差が何なのかはよく分からない。最後(15回目)に振り返ってみると、相対的にあれがいちばんいやだったということなのだろうか。
いずれにせよ、学生たちに渡したプリントから演習方法の部分を抜粋してみる。
《やり方》
①3人が1ペアになり、AさんがBさんに話をする(「喜怒哀楽+気」のどれかを用いる)
②Aさんが3分間話をし、Bさんは受容、支持、確認((頻繁に入れる)、質問のすべてを用いながら聴く。Cさんは以下の点をチェックしながら観察する。(以下の項目に○△×をつけチェック)
ア)受容・支持(うなずき、相づち、「そうだね」等)が充分に行われていたか。
イ)確認‥‥話の内容を適度な間隔で確認し、それにずれがなかったか。
ウ)質問‥‥相手の気持ちに沿い、話を深める質問ができていたか。
エ)相手中心に聴けたか。
(話の内容をかってに解釈したり、取り違えたり、自分の意見やアドバイスを言ってしまわなかったか。)
③Cはチェックの内容を伝える。Aは話しやすかったか、理解してもらえたと感じたかなどを伝える。Bは、話を聴いていたときの感じなどを伝える。
④役割を交代して順番に行う。
《ねらい》
①聴き手は、深い「傾聴」のための技術をすべて使って聴き方を練習をし、その技術を学ぶ。第三者にチェックしてもらうことで不充分な点を客観的にチェックできる。
②話し手は、深い「傾聴」の技術と姿勢で聴いてもらったときの感じを体験する。
※日常での会話では、ついつい
•話の流れを変える •違うことを言う
•大げさに言う •割り引いて言う
•相手が求めていないのに助言をする
などといった返答をしてしまう。これでは「相手が言いたいこと」と「自分が言いたいこと」が混ざってしまい、相手を深く理解することができない。また、相手も理解してもらえたと感じられない。だからこそ深い「傾聴」の技術を学ぶ必要がある。
《学生たちの感想》
3)「傾聴力」を高めるワーク《やり方》を行って見ての感想を書こう。
①話し手として、
★確認をしてもらうと話しやすかった。
★確認されながらだったので話しやすかった。
★相づちをしてもらうと聞いてくれている感があっていいと思う。
②聴き手として、
★相手中心に話を聴くことは普段からやっているつもりでも、自分の意見も言いたくなる。
★どうしてもあいづちだけではおさまらずに話してしまった。
③チェックする人として、
★意外と「ここ、こうした方が良いかな」っていう所もあったり「ここ良いな」という所があったりと第三者の立場で色々気づくこともあった。
★聴き手の反応を観察することってあまりないので新鮮だった。
4)今日のワーク全体を振り返って感じたこと、気づいたこと、学んだことなどを書いてみよう。
★三人だと二人より色々と気づけることが多いと思いました。
★喜怒哀楽‐気のどれかを話すだけで、かなり親密になれるきっかけになるんだなと思いました。
★話をしている人を見ているのは楽しかった。自分では聞き逃してしまうことも聞けた。
★第三者という立場でやってみて二人の会話を見るのがすごく面白かった。
★やはりみんなと話すのはたのしいです。もっと受け入れる態勢をしっかりつくっていきたい。
★今回のようなワークは楽しかった。またやりたい。また、新たに知った事、発見したことがあった。
★今日の傾聴力ゲーム?は楽しかった。話が弾んでいるから観察者なのについ話に加わってしまった。
★今日を振り返り、自由に相手を探しての雑談はすごく楽しかったです。「傾聴力」を高めるワークの1回目は充実していたのですが‥‥
★たくさんしゃべっていたので疲れた。でも楽しかった。
★喜や楽の話をしているときは、みんな笑顔ですごく楽しそう。
★真剣に話を聴くことは大切だと思った。
★良いコミュニケーションをとるには相づちをうったり、うなづいたり、確認して良い質問をし、相手中心に聴くことが大切なんだなと思った。
(Noboru)
内容が来談者中心のカウンセリングの基礎演習といったものに近く、よほどしっかりと動機づけをしないと、必修で受けている学生すべてに強い関心をもたせることのむずかしさを感じた。次年度の取り組みでは、動機づけのための導入をよほどしっかりしなければいけないと反省した。
一方で、演習の2回目、3回目で行った「偏愛マップ」を用いたコミュニケーションでの学生たちの盛り上がりや楽しそうな表情は、あまりに印象的であった。学生たちがそのように関心をもって取り組める演習の中心となる要素を、もっと発展させた演習はどうすれば可能かというのも、もう一つの課題となった。
要するに、学生たちにとっては一見しただけだったり、表面的な付き合いからでは分からない、相手の意外な興味・関心の世界に触れ、相手の大切にしている世界に触れるのが楽しく、またそれを通して何か大切なことを学ぶのである。もちろん逆に、自分が深く関心をもったり、それこそ「偏愛」していたりする分野について聞いてもらえるのは無条件に楽しい。
たとえば「偏愛マップ」を用いての対話の延長として、毎回、相手のこれまでとは違う何か新しい世界を発見しそれを相互に話題にするという課題を加えるのもよいかもしれない。まだまだ工夫の余地はありそうだ。
単純に「コミュニケーションをとることは楽しい」と学生たちに実感してもらえるような演習が半期通してできれば、この演習の意義は十分にあったことになるだろう。
それに対し、今回の演習では、三人が組んで一人が観察役になり、「傾聴」がしっかりできているかどうかをチェックしてもらうという形態をとった。15回の演習の最後に、演習全体を通して感想を書いてもらった中では、この三人一組での演習が意外と不評であった。互いにチェックし合ってカウンセリング的な傾聴の態度を学習するというところまで動機づけができていなかったというのもあるだろう。チェックするのもされるのも、そしてチェックした内容を伝えるのも、それを真剣にやるだけの動機づけが学生たちになかったといえるだろう。
ただし、この演習の最後に書かせた学生たちの感想の中では、このチェックし合う演習について「いやだった」という感想は出てこない。この差が何なのかはよく分からない。最後(15回目)に振り返ってみると、相対的にあれがいちばんいやだったということなのだろうか。
いずれにせよ、学生たちに渡したプリントから演習方法の部分を抜粋してみる。
《やり方》
①3人が1ペアになり、AさんがBさんに話をする(「喜怒哀楽+気」のどれかを用いる)
②Aさんが3分間話をし、Bさんは受容、支持、確認((頻繁に入れる)、質問のすべてを用いながら聴く。Cさんは以下の点をチェックしながら観察する。(以下の項目に○△×をつけチェック)
ア)受容・支持(うなずき、相づち、「そうだね」等)が充分に行われていたか。
イ)確認‥‥話の内容を適度な間隔で確認し、それにずれがなかったか。
ウ)質問‥‥相手の気持ちに沿い、話を深める質問ができていたか。
エ)相手中心に聴けたか。
(話の内容をかってに解釈したり、取り違えたり、自分の意見やアドバイスを言ってしまわなかったか。)
③Cはチェックの内容を伝える。Aは話しやすかったか、理解してもらえたと感じたかなどを伝える。Bは、話を聴いていたときの感じなどを伝える。
④役割を交代して順番に行う。
《ねらい》
①聴き手は、深い「傾聴」のための技術をすべて使って聴き方を練習をし、その技術を学ぶ。第三者にチェックしてもらうことで不充分な点を客観的にチェックできる。
②話し手は、深い「傾聴」の技術と姿勢で聴いてもらったときの感じを体験する。
※日常での会話では、ついつい
•話の流れを変える •違うことを言う
•大げさに言う •割り引いて言う
•相手が求めていないのに助言をする
などといった返答をしてしまう。これでは「相手が言いたいこと」と「自分が言いたいこと」が混ざってしまい、相手を深く理解することができない。また、相手も理解してもらえたと感じられない。だからこそ深い「傾聴」の技術を学ぶ必要がある。
《学生たちの感想》
3)「傾聴力」を高めるワーク《やり方》を行って見ての感想を書こう。
①話し手として、
★確認をしてもらうと話しやすかった。
★確認されながらだったので話しやすかった。
★相づちをしてもらうと聞いてくれている感があっていいと思う。
②聴き手として、
★相手中心に話を聴くことは普段からやっているつもりでも、自分の意見も言いたくなる。
★どうしてもあいづちだけではおさまらずに話してしまった。
③チェックする人として、
★意外と「ここ、こうした方が良いかな」っていう所もあったり「ここ良いな」という所があったりと第三者の立場で色々気づくこともあった。
★聴き手の反応を観察することってあまりないので新鮮だった。
4)今日のワーク全体を振り返って感じたこと、気づいたこと、学んだことなどを書いてみよう。
★三人だと二人より色々と気づけることが多いと思いました。
★喜怒哀楽‐気のどれかを話すだけで、かなり親密になれるきっかけになるんだなと思いました。
★話をしている人を見ているのは楽しかった。自分では聞き逃してしまうことも聞けた。
★第三者という立場でやってみて二人の会話を見るのがすごく面白かった。
★やはりみんなと話すのはたのしいです。もっと受け入れる態勢をしっかりつくっていきたい。
★今回のようなワークは楽しかった。またやりたい。また、新たに知った事、発見したことがあった。
★今日の傾聴力ゲーム?は楽しかった。話が弾んでいるから観察者なのについ話に加わってしまった。
★今日を振り返り、自由に相手を探しての雑談はすごく楽しかったです。「傾聴力」を高めるワークの1回目は充実していたのですが‥‥
★たくさんしゃべっていたので疲れた。でも楽しかった。
★喜や楽の話をしているときは、みんな笑顔ですごく楽しそう。
★真剣に話を聴くことは大切だと思った。
★良いコミュニケーションをとるには相づちをうったり、うなづいたり、確認して良い質問をし、相手中心に聴くことが大切なんだなと思った。
(Noboru)
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