忘れえぬ体験-原体験を教育に生かす

原体験を道徳教育にどのように生かしていくかを探求する。

実践コミュニケーションをめぐって(6)「元気マップ」での自己理解と傾聴

2012年01月02日 | 実践コミュニケーションの講義をめぐって
「偏愛マップ」を用いた対話やグループ・ワークは、自分が愛するもの、関心をもつことについて語り、聴いてもらうのだから無条件に楽しい。それは、コミュニケーションを深める入口としては最適である。「元気マップ」は、自分の元気のもとや、精神的な支えを「私」を中心にして構造化して描くものである。だから、「偏愛マップ」よりも一歩内面に踏み込んで、自分自身への理解を深めるきっかけとなる。ただし、日常から自己の内面を探る習慣がないと、マップの描かれ方も平板になりやすい。それを用いた対話や、グループ・ワークもあまり内面的な方向に深まらない傾向がある。

そこで講義(実習)の第5回目は、前回作成した「元気マップ」を使いながら、少し内面に立ち入るよう条件を課した。これを課することによって、傾聴の実践練習としても、少しだけ語る人の内面に触れる話を「傾聴」することになる。

1)「傾聴力」を高めるワーク(2)
《やり方》
①5~6人のグループになる。
 
②一人一人が、前回作成した「元気マップ」を示し、説明しながら3分~4分間話す。ただし、マップに挙げた項目のなかに、「これはすごく楽しいのだけど、ここが変わればもっといいのに」とか、「このサークルにいると元気になるけど、○○さんが戻ってくれればもっといいのに」とか、小さな悩み・心配・気がかりなどを加えて語るようにする。

③聞いている他のメンバーは、前回確認した「受容」や「支持」を意識して、うなずいたり相づちを打ったりして聴く。

④聞いていたメンバーの全員が、相手の気持ちに沿って質問し、気持ちや思いを引き出す質問を心がける。小さな悩み・心配・気がかりに関する質問も入れる。
⑤全メンバーについて同じことを行う。
 
《ねらい》
①「元気マップ」の中にも小さな悩みがあることを確認し、人に語ることで自己理解を深める。
 
② 相手の気持ちに沿った質問をすることで、相手がより深く語れるようになることを確認する。

③ 表面的に「元気マップ」を語り合うのではなく、それぞれの内面により深く触れながら語りあう。


《「元気マップ」に小さな悩みを加えてグループで自分を語り、質問を受けてそれに答えるなどしてどのように感じたかの感想》
★自分の小さな悩みを共感してもらえたりするとほっとします。
★どんなに好きなことにも少しは不満があることがわかった。
★悩みについて触れてくれて、真剣に話せた。
★小さな悩みを加えると、なるほどなーという顔をしてくれたりします。だから共感してくれているのかなと思いました。その辺りの質問はあまりなくて感じがよくわからない。
★自分のことをみんなに知ってもらえてうれしい気持ちになるし、逆にあいてのことを知ることができて、たのしかった。
★小さな悩みを話して、質問されると相手が自分を理解しようとしてくれていると感じた。

《グループの各メンバーが「元気マップ」を用いて語り、質問に答えたりしているのを聞いてどう感じたか》
★皆、楽しそうに悩みをうちあけられてて、こーゆうの良いなと思いました。
★発表している人の「元気マップ」に皆が興味を持っている感じがしてよかった。質問の時間が面白かった。
★話題が決まっていると話し始めがやりやすいから自然に話せると思った。
★自分の「元気になれるもの」だから目がキラキラしていたり、どんどんしゃべっていました。だから嬉しいんだなと思いました。
★ほぼかかわったことのない人たちとグループだったので、いつも一緒にいる人の話を聞くより面白かった。

《ワーク全体を振り返って感じたこと、学んだこと、気づいたことなど》 
★日に日に仲良くなってきている気がします。お互いのことを知っていくのは人生で大切な事だと思いました。
★今日を振り返り、雑談、元気マップをやって、みんないっぱい書いてたり話をしたりと楽しかった。今度全員とやりたいです。
★前よりも上手に話せたり、長く話せた。やっぱり人と話すことは楽しいと思った。
★しゃべっていて聞いてくれていると思うとどんどんしゃべりたくなるし、自分の事を知ってもらいたくなりました。
★もっと関わりのない子と話して、理解していきたいと思った。
★好きなものの話題が続くのは当たり前だけど、悩みも会話が続くことに気づきました。
★人と話すのは楽しい。この授業を機に色んな子と話せるからうれしい。


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