ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

クリスマス

2018-12-25 06:55:24 | 思うこと


クリスマス、というと昭和に思い出を持つものとしてはどうしても「悲しい話」のイメージが先に湧いてきてクリスマス=切ない。という連鎖反応をしてしまう。
今でも「クリぼっち」などという悲しみがあるように昭和では裕福もしくは中流家庭がそれぞれの楽しいクリスマスを過ごしていると必ず貧しい子供の映像が流れてきてやるせない気持ちにさせてしまうのである。悲惨な場合もあるし、時には貧しいなりの小さなクリスマスプレゼントがあったりしてほっこりさせるのだけど、どうしてもこのイメージは拭い去ることができない。
とはいえ、楽しいはずのクリスマスの夜に貧しいとかひとりぼっちだとかで辛く悲しい思いをしている人々子供たちにこそほんのりと小さな幸せを感じる何かを語ることこそがクリスマスの喜びなのではないかと思うのであります。

色とりどりの明るいイルミネーション、寄り添って歩く恋人たち、パーティで騒ぎ散らすお道化た喧噪の間を空腹を抱えて歩く貧しき人よ。恋人のぬくもりも暖かな家庭もなく寒さに震えかじかんだ指に息を吹きかけ自分にも平等に落ちてくる雪を見上げる。
クリスマスは必ず訪れ、君の涙を凍らせるだろう。

安心してほしい。世の中にはそういう人々がいっぱいいるのだよ。などと言う言葉では心は温かくならないね。

メリークリスマス。


みんなが幸せを感じられますように。



誰かに愛を贈ってみましょうか。


「サウンド・オブ・ミュージック」ロバート・ワイズ

2018-12-25 06:17:12 | 映画


TV放送していたのでついつい鑑賞。もう何度目かの鑑賞ですが、最初子供の頃見た時は物凄くわざとらしい偽善的映画で主人公は綺麗じゃないし、子供たちは可愛くないしお父さんは嫌な感じで歌もあほらしい、と思っていたのですが、大人になってから再鑑賞したらあまりの素晴らしさに泣いてしまい、以来たびたび見ています。

今見ると7人の子供たちが可愛くてしょうがないし、ジュリー・アンドリュースの素晴らしさに見入ってしまいます。歌もさることながら清潔な美しさは比類なきものですね。大佐が笛を吹いて子供たちを整列させるのがおかしいし頑固さもチャーミングです。昔馬鹿々々しい、と思っていた歌もその意味を考えながら見てしまうのでオープニングのマリアの歌からもう涙がこみ上げてくるのはいささか気が早すぎるとは思いますが。

子供の時は全く何もわかってなかったのですね。歴史と戦争の恐ろしさを学ばなければいけないということを感じます。
この映画に歌にどんな思いが込められていたのか。映画はとても細やかな作り方をされていてナチスさえも過剰な演出をしていないのがこの映画の良さであると思います。


以下ネタバレ含みます。




それにしても昔の映画というのは困ったときは修道院や寺などに逃げ込むという手段がよく使われますね。弱いものが権力から逃れることは困難で、そういう時にここに逃げ込めば如何に悪党でも神や仏の前ではそうそう手荒なことはできない場所がある、ということにほっとしたものです。
今はそういう場所がなくなってしまったようで恐ろしい気がします。

良い人なのだけど厳格で頑固な軍人である父親が婚約者の前で歌を歌う子供たちに心を溶かされてしまう場面が泣けてしまうのです。ここも落ち着いた繊細な演出になっていますね。

ダンスパーティの場面、マリアとダンスの練習をする息子に代わってくれと手真似する大佐がすごくかっこいいのです。ここで大佐とマリアが恋に気づいたのを表現する演出ですね。この後は忘れました、というセリフも意味を含んでいます。

最期、めでたくマリアと大佐と結婚した直後、ナチスから大佐に召集がかかります。執拗なナチスから逃れるためトラップ一家が力を合わせてアルプスを越えていく場面。すべての山に登り谷を渡りなさい、という歌声が響きます。
素晴らしいエンディングでした。