魚を大事にしない日本人シリーズ R5-2
ROUND5 魚を食べる時に思った疑問
魚を焼く時なぜ遠火の強火がいいのでしょうか?
放射熱によって外はこんがり、中はふんわりと仕上がる
昔から焼き魚のポイントは、「遠火の強火」で焼くことだと言われています。そうなら省エネで、“近火の弱火”でも同じではないかと考えるのも不思議ではありません。しかし焼き上がりや美味さ・食感は、まるで別物になってしまいます。
「遠火の強火」は、四方八方に200~300℃の熱が伝わる放射熱を利用して加熱する方法です。その温度帯が魚の表面のたんぱく質を素早く固めて、中に旨味を閉じ込めるのです。また皮はほどよく焼けて香ばしく、中はふんわりと水分が保たれておいしい焼き魚に仕上がります。しかし“近火の弱火”では中々焼き上がらず、部分焼けもあり美味しくないのです。
同じ「遠火の強火」でもガスコンロに網を乗せて焼くと、ガスは1000℃以上の高温でも放射熱は発しません。中に火が通る前に、皮が焦げて炭にようになってしまいます。最近は魚焼きグリルの性能が良くなりましたが、それは放射熱ではなく対流熱を利用しています。技術が発達しても、やはり放射熱による「遠火の強火」が一番です。
焼き魚は、お父さんが足繁く通う?居酒屋の炉端(ろばた)焼きや囲炉裏端(いろりばた)が最高ではないでしょうか?「理に適っている!」という言い訳をして、オヤジは今夜もまた夜の街を彷徨うのだった。