たわいもない話

かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂

恐怖の一日 (愛犬家よマナーを守れ)

2009年10月18日 11時41分15秒 | 雲雀のさえずり
 キノコ採りでの恐怖体験

雨上がりの10月15日(木)朝8時頃、カブの荷台にリックを乗せ、大山山麓の深山に向かう。

標高が高くなるにつれ、カブの力が次第に弱くなり、トップギヤーからセコンドに切り替える。

エンジン音に反比例するかのように、身体に吹く風は次第に冷たくなり、霧も濃くなってくる。

最後の上り坂で、ローギアーにチェンジすると、エンジンはけたたましい騒音をあげ、ようやく中国遊歩道の香取入口に着いた。(8時50分)

今日の目的は、往路はここから大休峠までの4kmの遊歩道を歩き、復路は深山に分け入り、キノコ採りをしながら香取登山口に帰る計画であった。

香取登山口から中国遊歩道に入り、急な坂を下り阿弥陀川の清流を左右に見ながら、古びた小橋を渡る。

遊歩道はこれから1.5km余り急な上り坂が続く、足元は雨に濡れた木の根、苔の生えた石が露出し、“ズルズル”滑り、少しの油断も許されない。

急な上り坂を過ぎると、野添・野井倉方面からの大山参道として1600年頃に造られたといわれている石畳道、さらに色づきはじめた紅葉を観賞しながら、ようやく大休峠の山小屋へ到着した。(10時15分)

山小屋で早めの昼食、休息をとり、復路はブナ林に分け入り香取登山口に向かう。(10時35分)

ブナ林は、雑草・熊笹などに覆われ、足元もおぼつかない中、ブナの倒木を目当てにピッケルを片手に持ち、いくつもの沢を上り下りしながらキノコを探す。

目につくのはカノシタ茸ばかり(雑茸で美味しくない)目当てのナメコ、ザアザア茸は全く見つからない。

「しかたない、カノシタでも採るか」

胸高直径80㎝位のブナの倒木に生えていたカノシタをカッターナイフではぎ取り、リックに3分の2くらい詰め込み、ナメコ、ザアザア茸を探してさらにブナ林の奥深く分け入った。

いくつめかの沢に差し掛かった時、谷底から“ガザガサ、ガサガサ”という物音が耳に入った。

谷底に目をやると、小牛くらいはありそうな、白黒の大きな動物が茂みの中をうろついている。

“ドキ!”一瞬、血の気が引き、身がすくみ棒立ちになる。

「熊、パンダ?」

まさか、目を殺す。

熊なら黒いはず、パンダはこんな所にいるはずもない。白黒のこの動物、いったい何者?

ピッケルをかたく握りしめ、さらに凝視する。

「犬?」よくよく見ると大型犬のようだ!

大型犬は反対側の谷を少し登ると、茂みの陰から僕の方に顔を向けた。

「こちらに向かってきたらどうしよう!」

僕はとっさに、ポケットからカッターナイフを取り出し身構えた。

大型犬は谷底を、上に行ったり下に行ったりしながら、時々僕の方に顔を向ける。

「もし襲ってきたら、このカッターナイフで頸動脈を切ってやる」

ナイフの刃を“カチカチ”といっぱいに伸ばし身構えた。

その時、沢の上の方から飼い主らしき人の声がかすかに聞こえ、白黒の大型犬は谷を上の方に登って行った。

張り詰めていた緊張の糸が“ほ~”と緩み我に帰った。

もしあの大型犬と谷底で出会っていたら、そう考えると足は“ガクガク”ふるえ、しばらくその場に立ちすくんでしまった。

僕は、もう二度とこの大型犬と遭いたくないと思い、谷を下に向かってキノコを探しながら、雑草に覆われたブナ林を香取登山口へと向かった。

ところが三つか四つめの沢に差し掛かった時、また谷底を歩く白黒の大型犬に遭遇した。

この時は距離も遠く、相手もこちらに気づいた様子はなく、比較的冷静に対応できたが、こんな大型犬に襲われたら無事にはすむまいと考え、キノコ採りを断念、登山道に向かって降りることにした。

“二度あることは三度ある”とはよく言ったもので、登山道の上までたどり着くと、真下の道をまたしても白黒の大型犬、その後を15mくらい離れて小柄で細身、黒色のジャンバーを着た60歳前後と思われる男が、犬にリードも着けずに歩いているではないか。

「この非常識者!!!」

僕は、この男に対する怒りと、大型犬の恐怖を感じながら犬が見えなくなるまでやり過ごし、ようやく香取登山口に着いた。(14時30分)

この道は中国遊歩道、土日休日は多くはないが登山者の通る道。

大型犬が登山者に襲いかかりでもしたら、さぞや悲惨な結末が待っていることだろうと考えると身の毛のよだつ思いが込み上げてきた。


【愛犬家の皆様 マナーは大切に】


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