たわいもない話

かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂

砂電車の冒険 (2)

2008年11月11日 17時48分59秒 | 砂電車の冒険
砂 電 車 の 冒 険  ( 1-2 )

五月のさわやかな風が吹き抜ける穏やかな日曜日のことです。
居間のソファーに腰掛けテレビを見ていた陽朗さんが、渚君を寝かせ横で洗濯物をたたんでいた砂千子さんに向かって
「ママ、来週の土曜日みんなで潮干狩りに行ってみない?」
砂千子さんはソファーの陽朗さんを振り返ると
「子供たちもきっと大喜びすると思うわ!」
“ニッコリ”答えました。
砂千子さんはキッチンテーブルで、電車のペーパークラフトを作っていた海人君に
「海人、来週の土曜日、パパが潮干狩りに行かないかって、どうする?」
作りかけのペーパークラフトをテーブルの上に置いた海人君は
「僕も潮干狩りに行きたいよ!」
はずんだ声で答えました。
海人君はさっそく奈美ちゃんに知らせようと、家の中を探しますが姿が見えません。
「ママ、奈美は何処にいるか知らない?」
「さっきまで人形を持って、おもちゃの部屋で遊んでいたわよ」
海人君は外に出ると家の周りを探しました。
すると奈美ちゃんは庭の赤いチューリップの前に座り、もみじのような可愛い手で、チューリップの花びらを包み込むようにして眺めていました。


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砂電車の冒険 (1)

2008年11月11日 17時48分25秒 | 砂電車の冒険
砂 電 車 の 冒 険  ( Ⅰー1 )

私たち日本人が古くから親しみ愛してきた山桜は、バラのようなあでやかさはありません。

しかし、心の底に沁いるような気品と品格をそなえた花です。一方、ヨーロッパの人達に愛されてきたバラの花は、美しさの陰にトゲを隠し持っています。

私は日本人が古くから持ち続けている素朴で温かみのある、山桜のような家族愛を大海さん一家のお話をとおして表現できたらと考えています。

では、さっそく大海さん一家の紹介をします。

大海さん(オオミ)の住まいは山陰の片田舎、海の近くのなだらかな高台にあります。

白い2階建の家からは、東に秀峰大山が四季折々に美しい姿を見せてくれます。

また西には日本海が広がり、晴れた日には遠く隠岐諸島も望むことができ、家の周りは緑におおわれ、春には近くの公園に咲く、美しい桜も眺めることができる閑疎な住宅地です。

白い玄関の前には四季の折々の花を植えた花壇があり、その右側に陽朗さんと砂千子さんの車庫、奥にチロの犬小屋があります。

花壇の左奥に芝生の庭があり、その横に陽朗さん手作りの小さな砂の遊び場があります。

家族は、お腹が少し“ふっくら”してきたパパの陽朗(カゲロウ 父37歳)さん、丸顔で“ぽっちゃり”と笑顔が似合うママの砂千子(サチコ 母35歳)さん、色白で“ノッポ”の海人(カイト 一男7歳)君、ポニーテールがよく似合う瞳が“パッチリ”と可愛い奈美(ナミ 一女5歳)ちゃん、イガグリ頭で“きかん坊”の渚(ナギサ 二男3歳)君、そして子供のアイドル、柴犬チロ(4歳)の五人と一匹の六人家族です。




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